みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方薬や健康食品を飲んだ後に、胃もたれや下痢などの不調を感じたことはありませんか?
実は、一部の漢方薬や生薬には胃腸に負担をかける性質のものもあるんです。
良い漢方薬、食事を摂取しても胃腸を壊してしまえば消化、吸収されませんし逆効果です。
漢方薬の原料の生薬には胃腸に負担がかかるものがあります。
そこで今回は胃腸に負担のかかる恐れのある生薬、漢方薬をご紹介していきます!
- 胃腸が弱い
- 漢方薬を飲むと下痢する
- これから漢方薬を飲んでみたい
- 地黄|滋養強壮でも胃に重い?注意が必要な生薬
- 当帰|女性の味方だけど腸に重い?潤腸通便に注意
- 何首烏|髪や血に良いけど便がゆるくなることも
- 酸棗仁|安眠の生薬が胃腸に負担?実は合わない人も
- 桃仁|血流改善に強力でも腸を緩める副作用あり
- 大黄|将軍と呼ばれる強力な下剤生薬にご用心
- 天門冬|肺腎を潤すが重たくて胃もたれに注意
- 麦門冬|潤いを補うけど腸に重い?胃にはむしろ良い
- 阿膠|補血・止血の高級生薬、でもベタつきで胃腸に負担
- 胡麻仁|髪や血に良いが潤腸作用で下痢を誘発することも
- 遠志|意外と書かれている胃腸への影響とは?
- 麻子仁|子供や高齢者にやさしい下剤、でも合わない人も
- 杏仁|咳止めの定番生薬、実は便がゆるくなることも
- まとめ
地黄|滋養強壮でも胃に重い?注意が必要な生薬
養血薬、滋陰薬の要薬でとても大事な生薬です!
ただ、胃に負担がかかる人が多い生薬でも有名。
胃腸が弱い人には縮砂や木香といった胃腸を動かす生薬と合わせることが多いです。
相性が大きく関係しているようで、単に胃が弱い人だけがダメというわけではないようです。
【代表漢方薬】 八味地黄丸(八味丸)、六味地黄丸(六味丸)、四物湯

当帰|女性の味方だけど腸に重い?潤腸通便に注意
女性の聖薬とも呼ばれる養血薬の要薬。
こちらは胃より腸に重く感じる生薬です。(中には胃も)
潤腸通便といって便をゆるくする効能あり!
逆に軽い便秘だと下剤を使わずに当帰だけでもでるようになります!
妊娠中の便秘だと下剤が使えないので重宝します。
そこまで強い作用ではないので多量しなければ普通は大丈夫じゃよ。
【代表漢方薬】 当帰芍薬散、四物湯、加味逍遥散、婦宝当帰膠

何首烏|髪や血に良いけど便がゆるくなることも
当帰や地黄と同じ養血作用があります。
皮膚の乾燥や髪の問題によく使う生薬です。
当帰と同じ潤腸通便作用あります!
【代表漢方薬】 当帰飲子
酸棗仁|安眠の生薬が胃腸に負担?実は合わない人も
「養心安神」といって、気持ちを落ち着かせる効能があります!
栄養不足からくる不眠、不安感によく使います。
中薬学の教科書には書いては無いのですが、実感として胃腸が弱い人には不向き。
種子系の生薬は便通をつける効果があるので注意が必要。
【代表漢方薬】 帰脾湯、酸棗仁湯、天王補心丹

桃仁|血流改善に強力でも腸を緩める副作用あり
活血破瘀(かっけつはお)という作用がある生薬。
名前の通り血流を改善する生薬では比較的強めです。
潤腸通便があるので便が柔らかくなりやすいです。
【代表漢方薬】 桃核承気湯、桂枝茯苓丸

大黄|将軍と呼ばれる強力な下剤生薬にご用心

瀉熱通腸、清熱解毒などの作用を有し『将軍』という別名のある作用の強い生薬です。
血液の熱や体の不要な湿気を便と一緒に抜く薬。
はっきり言うと下剤です!
昔は急性期の熱(高熱の風邪など)や瘀血(打撲や交通事故)に対して、大黄が配合された漢方薬で一気に治療していました。
現在では風邪に対して下剤を使うことは少なくなりましたが、外傷の場合には大黄を含む漢方薬がいまだに活躍しています。
キチンと使えば非常に有能な生薬じゃ!
効能に便秘をうたってない漢方に入っている時があるので注意!(柴胡加竜骨牡蛎湯など)
【代表漢方薬】 大承気湯、治打撲一方、通導散、茵蔯蒿湯、女神散、柴胡加竜骨牡蛎湯

天門冬|肺腎を潤すが重たくて胃もたれに注意
潤腸通便。滋陰薬として肺と腎に効果がある生薬。
便も柔らかくしますが胃もたれも起こすことがあります。
【代表漢方薬】 滋陰降火湯
麦門冬|潤いを補うけど腸に重い?胃にはむしろ良い

胃と肺を潤す生薬のだ意表です。潤腸通便作用アリ。
腸には重いが胃には良いです。
胃陰虚という症状に使います。
食べたいのに食べれないなどの脾胃の潤い不足にはむしろ使ったりします。
【代表漢方薬】麦門冬湯、麦味地黄丸

阿膠|補血・止血の高級生薬、でもベタつきで胃腸に負担
ロバの膠。最近値段が高騰している高級品。
動物由来の生薬なので効果も高いです!
補血、止血作用を有する。
【代表漢方薬】 芎帰膠艾湯、婦宝当帰膠(婦人宝)、温経湯

胡麻仁|髪や血に良いが潤腸作用で下痢を誘発することも
補血、滋陰薬として髪の症状によく使う生薬です。
潤燥滑腸という作用があるので下痢しやすいタイプは注意が必要です。
【代表漢方薬】 消風散
遠志|意外と書かれている胃腸への影響とは?
中薬学の教科書に書いてあって驚きました。
実感としては、さほど胃腸に触ることはないと思いますが、酸棗仁や当帰と一緒に使われることが多いので一応注意が必要。
【代表漢方薬】 帰脾湯、加味帰脾湯

麻子仁|子供や高齢者にやさしい下剤、でも合わない人も
潤下薬といって緩和な作用の下剤です。
大黄ほどの激しい作用ではないので子供や高齢者の便秘に向いています。
【代表漢方薬】 麻子仁丸、炙甘草湯、潤腸湯

杏仁|咳止めの定番生薬、実は便がゆるくなることも
止咳平喘薬で咳止めの漢方薬によく入っています。潤腸通便作用あり。
【代表漢方薬】 麻黄湯、麻杏甘石湯、五虎湯、麻子仁丸、潤腸湯

まとめ

胃腸に負担がかかる生薬は意外と多いです!
効能に『胃腸障害がなく・・』と書いてあるものは大体負担がかかるので注意しましょう!
もし漢方薬を服用して胃腸に不具合が出た場合は漢方薬を変更するか、飲み方の工夫をしてみましょうね!
また、症状によっては胃腸の漢方薬と組み合わせると良い場合もあります。
わからない場合はしっかりと専門家の意見を聞くようにしましょうね。
