なにか良い漢方ってない??
何かつらい症状ある??
婦人病によく使われるの漢方薬『桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)』
駆瘀血剤(血行を改善する漢方)の代表格です。
病院で処方されたり、ドラッグストアでも買うことのできるこの処方。
女性の様々な不具合を改善することができます。(もちろん男性もOK)
そこで今回のテーマは『桂枝茯苓丸』の正しい使い方を解説していきます。
目次
桂枝茯苓丸ってどんな漢方薬?

桂枝茯苓丸はもともと女性の子宮筋腫や子宮内膜症を治療する漢方薬です。
出典は西暦200年年頃に書かれた『金匱要略(きんきようりゃく)』という医学書です。
そこに婦人で
- もともと腹部にしこりがある人。
- 2,3ヶ月生理か止まる。
- その後出血止まらない+お腹に動悸
こんな時はもともとあった『しこり』が悪さをしているから桂枝茯苓丸で治療しよう!
とされています!
※超意訳
この時の『しこり』というのは現代だと『子宮筋腫』『子宮内膜症』と考えられています。
じゃあ『しこり』がなかったら飲んじゃだめ??
あくまで一番最初に作った目的だよ!!
その後、色々研究がされ現在では瘀血(おけつ)を去る血行改善薬の代表処方として使用されます。
そのため応用範囲が広く
- 子宮内膜
- 子宮筋腫
- 生理痛
- 生理不順
- 頭痛
- 肩こり
- めまい
- しみ
- etc.
こんな症状に有効です。
上記の症状でも『瘀血が原因』という大前提がつくから間違えないようにね!
原典の処方よりも日本人向け!

生薬名 | 効能 |
---|---|
桃仁 | 活血化瘀←瘀血を去る、血行改善(強力) |
牡丹皮 | 活血涼血←瘀血を去る、体(血)を冷やす |
赤芍 | 活血涼血←瘀血を去る、体(血)を冷やす |
桂枝 | 通脈←体を温め血行改善、余分な水分を去る(補助) |
茯苓 | 健脾利水←胃腸を整え余分な水を抜く。 |
3種類の瘀血を去る生薬がしっかり入った処方です。
現代の日本の『桂枝茯苓丸』は
桂枝→桂皮 赤芍→白芍薬
桂皮は体をかなり温める生薬で性質『大熱』
桂枝は風邪薬などに使う生薬で性質が『温』
どちらでも良い!という専門家が多い。
問題はこの
赤芍(せきしゃく)
白芍(びゃくしゃく)
【赤芍】
- 瘀血を去る(血行改善)
- 身体を冷やす
【白芍】
- 補血
- 止血
- 鎮痙(けいれんを止める)
- 止痛
この差で本来は強力な駆瘀血薬である『桂枝茯苓丸』がマイルド効果になっています!
ただこれはデメリットだけではなく結果として日本人にマッチしたマイルドになっているとも考えられます。
強い活血(血行改善)薬は虚弱な人に使用すると身体に負担がかかる恐れがあります。
そして日本人は中国人に比べると胃腸も弱く漢方薬に負けてしまう人が多いのです。
赤芍薬が白芍薬に代わることで『強い活血(血行改善)』が減り『栄養を補う作用』追加されるます。
そのため『長期でゆっくり瘀血の症状を改善したい』場合に適した処方になっています。
桂枝茯苓丸が合うタイプ
血行不良の人なら大体使える漢方薬『桂枝茯苓丸』
では具体的にどんなタイプににあうのでしょう?
その中でも特にオススメなタイプを紹介するよ!
生理不順

瘀血が原因の生理不順は
- 血塊がでる
- 生理前半が痛み強い
- 生理が重い
- 生理が来ない
この様な症状に使用すると改善することができます。

瘀血で火照るタイプ

中医学では『滞ると熱が産まれる』と考えるため瘀血(血行不順)があると体はほてります。
特徴としては
- 冷えのぼせ
- 舌が黒(紫)っぽい
- 他の瘀血の症状をともなう
この様なほてり(のぼせ)に有効です。
ただここで間違えてはいけないのが『陰虚のほてり』
陰とは体を『潤す』『冷やす』成分。
『陰虚』のほてりは
- 冬でも夜中布団から手足をだしたい
- 寝汗をかく
- 舌が真っ赤
- 身体が乾燥する
この様な症状で瘀血の症状がない場合は『ほてり』に対して桂枝茯苓丸を単独で使用すのはやめておきましょう。
牡丹皮(本来は赤芍も)が入った桂枝茯苓丸は瘀血でほてるタイプにピッタリです!
ちなみに瘀血がある人は『冷え』も出る可能性がある!
注意しましょう。
冷え=瘀血
ほてり=瘀血
ではないからね!
肩こり、頭痛

当然ながらあくまで瘀血の肩こり、頭痛に有効です。
- 座り仕事が長い
- 運動不足
- ズキズキ痛い
- 生理前に悪化

子宮内膜症、子宮筋腫

もともと『桂枝茯苓丸』が作られた目的です。
子宮筋腫や子宮内膜症は『瘀血』が原因の場合が多いです。
そのため桂枝茯苓丸を始めとする駆瘀血薬で治療していくことが一般的。
もちろんすぐに治る訳ではありません。
前述した通り現在の『桂枝茯苓丸』は効き目がマイルドになっていこともあり
長いスパンで治療していきます!
また本来の剤形が丸剤なのも慢性病に対してゆっくり効かせるためです!
つらい症状がなく手術をしたくない時に最適です!
合わないタイプ

応用範囲が広く使いやすい『桂枝茯苓丸』ですがもちろん合わないタイプも存在します。
血虚(貧血気味など)
何度も書きますが『桂枝茯苓丸』は瘀血を改善する漢方薬です!
『血』が足りないタイプに単独で使用するのは適しません。
- 貧血気味
- 皮膚が乾燥する
- 髪がパサつく
- 爪がもろい
- 痩せ気味
こんな症状の人には『桂枝茯苓丸』単独で使用するの気をつけましょう!
悪化する可能性があります。
『血』が足りない人は悪化するの?
血の量→川の水の量
血行不良→川の傾斜(かたむき)
川も水が少ないのに『傾斜』だけつけたら干上がるでしょ!
水(血)を補いながら『傾斜(血流改善)』もつけるのね!
専門用語で
血虚+血瘀=血虚瘀血(けっきょけつお)
※瘀血とは病理物質
血瘀とは瘀血がある事を指します。
虚弱体質

芍薬(白芍)がはいっているとはいえ構成するほとんどが瀉する生薬です。
エネルギー不足の人に使用すると補わないままどんどん消費して悪化してしまいます。
虚弱体質の人で瘀血がある人は『芎帰調血飲第一加減』にしましょう。

妊婦

色々意見がありますが、個人的には妊娠の可能性がある人には避けるべき!
っと考えます!
桃仁、牡丹皮はしっかりとした活血薬!
卵も一緒に流してしまうリスクがあります。
桂枝茯苓丸加薏苡仁

名前のとおり
桂枝茯苓丸+薏苡仁(ハトムギ)
日本の経験方とされています。
皮膚炎などにはこちらの方が有効な場合もあります。
また『しこり』の症状が重い場合もこちらがオススメです!
特にニキビ!
色素沈着したニキビなんかにはとってもオススメです。
薏苡仁(ハトムギ)は利尿作用があるからね。
まとめ

瘀血を去る漢方薬の代表『桂枝茯苓丸』
特に婦人病に大活躍です。
ただどんな婦人病にも良いわけではありません!
きちんと自分のタイプを考察しましょう。
簡単にまとめると
- 本来は女性のしこり(子宮筋腫など)の漢方薬
- 現代の処方はマイルドで血行不良の症状全般に使用できる
【合うタイプ】
- 瘀血の症状
- 生理不順
- 瘀血で火照るタイプ
- 子宮内膜症、子宮筋腫
【合わないタイプ】
- 血虚
- 虚弱体質
- 妊婦
桂枝茯苓丸は構成生薬が少ない処方だから他の漢方薬とも組み合わせしやすいんだ。
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ウチダの桂枝茯苓丸は原末を使っているから有効成分もしっかり残っているよ!