ただ『痩せ薬』みたいな売り方、CMは気になるね!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
テレビで太ったお腹がスッキリするCM見たことがありませんか??
あのCMは防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)という漢方薬です。
あそこだけ見ると『やせ薬』のイメージを持ってしまうかもしれませんね。
ですが防風通聖散は「やせ薬」ではありません!!
体質にあっていないと意外な副作用の恐れもあります。
そこで今回のテーマは『防風通聖散』の正しい使い方について解説していこうかと思います。
防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)は
- ナイシトール
- コッコアポ (A EX)
という名前でもドラッグストアなどで売られている漢方薬です。
もしかしたら自分が飲んでいる物が防風通聖散かもしれません。
- ダイエットの漢方薬を探している
- 体重が増えてきた
- 防風通聖散が効かない
防風通聖散ってどんな漢方薬??
防風通聖散はざっくりいうと本来は風邪薬の一種です!!
『防風通聖散』は中国の金元時代の四大家『劉完素(りゅう かんそ)』の医学書『黄帝素問宣明論方(こうていそもんせんめいろん)』が出典です!
- 発熱、悪寒
- 熱毒
- 便秘
- 水分代謝の低下
の治療で考案された漢方薬と考えられていいます。
- 風邪が少し深く入り込み内臓疾患をともなう
- もともと内臓に熱を含むような疾患を持っている人の風邪
- 化膿性の皮膚疾患
なぜ『痩せ薬』のような売り方をしているの??
この処方が注目されるきっかけになったのは日本の明治・大正・昭和時代に活躍した森道伯先生が創始した流派『一貫堂』
この一貫堂が『臓毒証(ぞうどくしょう)』というタイプの体質改善の治療に防風通聖散を常用したことが影響しています!
この『臓毒証』を都合よく解釈した結果
防風通聖散=痩せ薬
のイメージが定着してしまったのです!!
『臓毒証(ぞうどくしょう)』とは?
臓毒とは風毒・食毒・水毒・梅毒の四毒
現代の防風通聖散はこの『食毒』『水毒』のところだけをピックアップした形の効能効果になってます。
風毒(ふうどく)
中医学、漢方の世界で『風(ふう)』の定義は難しいのですが
『風邪などの細菌性(ウイルス性)の感染症』
とらえておくとよいと思います。
食毒(しょくどく)
『食毒』は食中毒などの急性中毒ではなく
食べ物による『慢性中毒』とされています!
昔ながらの日本食ではなく
- 甘い物
- 脂っこい物
- 肉食重視
- 野菜不足
こんな食生活が中心でたまった毒とされています。
森道伯先生がすごした大正、昭和の時代は平穏な時代だったようです。
特に都市部では美食や贅沢をする人も多く『成人病』の様な病にかかる人もいたそうです。
そこで活躍したのが『防風通聖散』という訳です。
その時代の人の疾患に大きく貢献した『防風通聖散』は同じく平穏な時代に生きる私たちの体にもフィットすると考えられます。
梅毒(ばいどく)
性病の一種です!
抗生剤が発達した現代だと梅毒に使うことはないです。
ってことだけおぼえておこう!
水毒(すいどく)
水分代謝の低下により体の中に余分な水分がたまった時に『水毒』は発生するとされています。
尿量の減少や汗をかかないことも原因です。
水分は主に尿で排出されますが汗も大事。
- 温度調節されたオフィス
- デスクワーク
- 運動不足
意識して汗をかかないと水毒ができる原因になります。
・頭痛
・めまい
・冷え
・動悸 など
様々な病気の原因になるよ~
しっかり代謝されてないのに水分を1日2ℓも飲むなんて論外ですよ!!
防風通聖散が合うタイプ
防風通聖散が『臓毒証』の漢方薬であることを解説していきました。
では具体的にはどんなタイプの人が向いているのでしょうか??
『防風通聖散を飲んでも痩せません!』
漢方家がここ数年ウンザリするほど聞いたセリフです😅
防風通聖散が効くタイプは
『俺(私)3食しっかり食べるんだよね〜!
しかも、た・べ・す・ぎ✩
体?強いよ〜
汗はかかないし、おしっこもでない
なんなら💩も出ない!ワッハッハー』ってタイプです👍
— 🐢漢方薬剤師 玄🐍 (@gen_kanpo) January 20, 2020
食べすぎる人
前述したとおり防風通聖散は『食毒』に有効な漢方薬。
食生活が乱れた、特に過食の人には有効な漢方薬といえるでしょう。
特に中年以降で食べ過ぎる人の病気の予防に良いとされています。
具体的には
- 神経痛
- 腎臓病
- 糖尿病
- 痔
- 動脈硬化
- 脳溢血
臓毒証のこんな病の予防&治療に使っていたそうです!
痩せ薬じゃなくて予防薬なんだね!
また石膏 黄芩といった胃の過剰な熱を下げる生薬が入っているので過食を避ける効果も期待できます。
代謝が悪い人
代謝といっても基礎代謝ではなく
『汗・尿・便』が出にくいタイプがオススメです。
防風通聖散には
『発汗・利尿・通便』
作用があり体にたまった不要な邪気や毒を抜く効果があります。
ただし!
この三つがそろってたまっている事が条件です!!
便秘の人→利尿、発汗は不要
むくみの人→通便、発汗は不要
汗が出ない人→利尿、通便は不要
でしょ??
防風通聖散=効かない
ってされる事があるのね☆
体が強い人
防風通聖散を用いる体質は
- 骨格がたくましく力仕事をするような『筋肉型』
- 美食家や上流階級などの『脂肪型』
とされています。
体格的が『がっちりタイプ』の方が良いとされています。
また『便・尿・汗』は排出するのに体力を必要とするので『体が強い人』がオススメです。
防風通聖散が合わないタイプ
臓毒証に有効な防風通聖散
では防風通聖散が合わないのはどのようなタイプでしょう?
虚弱体質
防風通聖散は体は
解毒の生薬>体を栄養する生薬
という構成。
虚弱体質の人にはオススメしにくい処方です。
- 疲れやすい
- 産後、病後
- 胃腸が弱い
- 不眠、不安感
この様なタイプには不向きです。
特に胃腸が弱いタイプは絶対に服用しないように!
強い通便作用で虚弱が進んでしまいます!
冷えが強い人
防風通聖散を作った劉完素は体を冷やす処方を得意としたため『寒涼派』と呼ばれています。
また防風通聖散には構成生薬に強力な『清熱』の作用のある『石膏』『大黄』『芒硝』などが含まれます。
そのため冷えが強いタイプにはオススメしにくいです。
女子には難しい~
結局のところ痩せるの?
上記で述べたように
- 便秘
- むくみ
- 汗をかきにくい
- 過食気味
この様な人にはある一定の体重減少の効果はあるかと思います!
ですが基礎代謝をあげるわけでは無いので本当に痩せたい人は運動と食事制限は必須になります!
特に食事の見直しは大事!
いくら『防風通聖散』で『臓毒』を解毒しても、どんどん毒を入れては元も子もないです。
個人的には「防風通聖散」単独をダイエット相談にオススメすることは少ないです。
体質に合った漢方薬・運動・食事
この三つがとても大事なって来ます。
まとめ
防風通聖散は単なるやせ薬ではありません!
『臓毒証』という不要な毒を体にため込んた人のを体質を改善することが出来る現代にフィットした予防の漢方薬です!
ですが体質によっては体調を崩す可能性があります。
簡単にまとめるとは
【本来の使い方】
- 本来は風邪薬の1種
- 臓毒証の体質改善薬
【防風通聖散が合うタイプ】
- 食べすぎる
- 代謝(汗、便、尿)が悪い
- 体が強い
【防風通聖散が合わないタイプ】
- 虚弱体質(特に胃腸)
- 冷えが強い