女性にオススメの漢方薬

【漢方薬剤師が解説】命の母Aを飲んでいい人・やめたほうがいい人

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。

「命の母」という市販薬はご存知ですか?

うちの漢方薬局で「今飲んでいるおくすりはありますか?」とお聞きすると、
「命の母を飲んでいます」と答える方が、実はとても多いんです。

CMでもよく見かける、あの「命の母」。
ドラッグストアでも手に入りやすく、更年期の不調に悩む方が手に取りやすい市販薬ですよね。

今回は、その中でも最も一般的な「命の母A」について、漢方のプロである私が、中医学的な視点から解説してみたいと思います。

※命の母シリーズにはいくつか種類がありますが、今回は「命の母A」についてのお話です。お間違えのないようご注意ください。

命の母Aってどんなお薬?

「命の母A」は、更年期障害やPMS、自律神経の乱れによる不調に悩む方をサポートする市販薬です。
複数の生薬成分に加え、ビタミン類なども含まれており、漢方薬というよりは「生薬×栄養素」の複合製剤として位置づけられます。

※「命の母A」は第2類医薬品です。使用前には必ず添付文書を読み、ご自身の体質や症状に応じて適切に判断してください。

命の母Aの成分と作用

命の母Aには、婦人科領域でよく使われる生薬が含まれており、以下のような生薬が配合されています。

生薬名主な作用
大黄瀉下・清熱|排便を促す 不要な熱を去る
カノコソウ安神|神経の高ぶりや不眠をやわらげる
桂皮温中・散寒|血行を促し、冷えや腹痛を改善
川芎活血・行気|血行を促進し、冷えや頭痛に
蒼朮健脾・利水|消化吸収を助け、むくみ改善
芍薬養血・緩急|血を補い、筋肉の緊張をゆるめる
茯苓利水・安神|むくみ改善と精神の安定に
当帰補血・活血|血を補い、血行を促進
香附子理気|気の巡りを整え、ストレス性の不調に
呉茱萸温中・止痛|冷えからくる腹痛や下痢に
半夏化痰・止嘔|水分代謝を促し、吐き気や胃もたれに
人参補気|体力や胃腸機能を補う
紅花活血・通経|血行促進や月経不順に

備考:命の母にはビタミンB1・B2・B6・E、葉酸、タウリン、なども配合されており、純粋な漢方薬ではなく「生薬+栄養素」の複合製剤です。

詳しくは命の母オフィシャルページで確認してみてください。

玄先生
玄先生
これらの生薬は「気・血の巡りを整える」ことに重点が置かれている印象です。

また、補う作用(補血・補気)は弱めで、巡らす生薬が中心となっているため、慢性的な疲労や単純な血虚体質の方には合いづらそうです。

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命の母をおすすめする人

以下のような方には、命の母Aが比較的適している可能性があります

  • 更年期障害でイライラ、怒りっぽさ、気分の波が激しい
  • PMS(月経前症候群)で情緒不安定や胸の張りがある
  • 冷えのぼせ(手足は冷たいのに顔が熱い)
  • ストレスを感じやすく、自律神経の乱れがある
  • 漢方薬だけでなく、ビタミンなども補いたい

命の母Aに含まれる生薬には、香附子(こうぶし)など「気の巡り」に関わるもの、川芎(せんきゅう)や紅花(こうか)といった「巡りの滞り(瘀血)」に配慮したもの、さらに茯苓(ぶくりょう)や蒼朮(そうじゅつ)といった「余分な水分の偏り(水滞)」を整える働きをもつものも含まれています。

そのため、中医学の考え方では、気血水(津液)の巡りが滞りがちな人に合いやすいと思います。

「なんとなく不調だけど、どこが悪いのかわからない」そんな方にも選ばれている命の母Aは、セルフケアの第一歩として手に取りやすい漢方製剤です。

「病院に行くほどじゃないけれど、つらい…」という時、まずは市販薬で整えるという選択肢も。あなたの毎日に、もう一度“いつもの調子”を取り戻す手助けになるかもしれません。

玄先生
玄先生
具体的にはイライラ、冷えやむくみを感じやすい方に合いそう!

命の母をおすすめしない人

次のようなケースでは、命の母は慎重に検討するか、避けた方がよいかもしれません。

下痢・お腹がゆるい人
命の母には大黄(だいおう)が含まれており、腸を刺激して排便を促す作用があります。そのため、元々お腹を下しやすい方、過敏性腸症候群のような症状がある方には、成分の作用と合わない可能性も考えられます。

慢性疲労・血虚タイプ
命の母Aは補剤(体を補う薬)が少なく、巡らす生薬が中心です。
そのため、エネルギー不足や貧血傾向のある方には効果が実感しにくいか、かえって疲れてしまう場合もあります。
顔色が悪く、爪が割れやすい・動悸がするなどの「血虚」の症状が強い人も他の漢方薬のほうが適していると思います。

肌荒れにも良いですが、これは便秘を伴う「溜め込みタイプ」だと考えられます。
血虚の肌が乾燥する人は少し注意しましょう。

単純なのぼせタイプ
温性の生薬(ショウキョウやカンゾウなど)が多く含まれているため、体内に熱を持ちやすい人や、顔が真っ赤になるような単純な「のぼせ」体質には合いづらいことがあります。
ただし、「冷えのぼせ(四肢末端の冷え+顔面紅潮)」には相性が良い可能性があります。

妊娠中の服用はNG
命の母に含まれる生薬(特に大黄やサンシシなど)には、子宮収縮を促す可能性があるため、妊娠中は服用を避けるべきです。
授乳中も慎重に!大黄が母乳に以降する可能性があります。

純粋な漢方薬ではない
命の母は生薬だけでなく、ビタミンB群やタウリンなども含まれた製剤です。
純粋な漢方薬を希望する方や、漢方の理論に基づいた処方を重視する場合は、専門家への相談の選択肢を検討するのが良いでしょう。

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体質チェックリスト|命の母が合う?合わない?

イライラよりも不安感が強い [ ]
月経後に情緒不安定になる [ ]
全身が火照り、汗をかきやすい [ ]
疲れやすく、顔色が悪い [ ]
お腹をこわしやすい [ ]
爪がもろく、皮膚が乾燥しやすい [ ]
純粋な漢方薬を探している [ ]

チェックが多い方は「体質に合わない可能性」があります。

※このチェックリストは、一般的な体質傾向の参考としてご利用ください。正確な診断や処方については医療機関または漢方薬の専門家にご相談ください。

加味逍遙散と似ているといわれるが‥

「命の母Aは『加味逍遥散』に似ていると言われることがありますが、実際の構成生薬を見てみると、加味逍遥散とはかなり異なります。
どちらかと言えば、血の巡りを整える桂枝茯苓丸と、水分代謝や血を補う当帰芍薬散と共通する生薬があり、それぞれの特徴を持つと考えられます
そのため、命の母Aは『血行不良・冷え・肌荒れ(便秘をともなう)・イライラ・更年期障害』など、幅広い不調に対応できるのが特徴です。」

まとめ

「命の母」は、ストレスや自律神経の乱れが原因となる不調に対して、巡りを整える方向で作用する市販薬です。ただし、体質によっては逆効果になることもあるため、事前のチェックや専門家への相談が重要です。

【命の母Aが合いやすいタイプ】

  • ストレスを感じやすく、イライラや感情の波が気になる
  • 手足は冷えるのに顔は熱くなる「冷えのぼせ」がある
  • 気分の落ち込みや、月経前後の情緒の不安定さがある
  • むくみやすく、水分代謝が気になる
  • 気の巡りや血の巡りが悪いと感じる(肩こり・頭重感など)

中医学的には、「気の滞り(気滞)」「血の巡りの悪さ(瘀血)」「水分の偏り(水滞)」が関わっているようなタイプに、構成生薬がマッチしやすい傾向があります。

【命の母Aを避けたほうがよい場合】

  • お腹を下しやすい、胃腸が弱い
  • 疲れが慢性的に強く、いつもぐったりしている
  • 妊娠中や授乳中の方(念のため使用は避ける)
  • 顔色が悪く、爪が割れやすい・動悸がするなど「血虚」傾向が強いタイプ

特に、冷えや疲れが極端に強く、補う力(気や血)が不足しているタイプには、構成上、やや刺激が強く感じられることもあります。ご自身の体調に合わせて選ぶことが大切です。

玄先生
玄先生
適切に使えれば、その名の通り「母(女性)」の心と体を支えてくれる存在になってくれそうです。
まずはご自身の体質や不調の傾向に合っているか、チェックしてみましょう。

↓ショート動画で簡単に振り返ってみたい方はコチラ

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漢方薬剤師 玄
✅資格:国際中医師 | 薬剤師 |健康運動実践指導者 ✅漢方相談歴10年以上✅胃腸を中心とした漢方相談が特徴。✅健康や中医学の情報を『楽しく面白く』発信中。 お気に入りにするとあなたの生活の質がちょっぴり向上するかも!