飲むとなんだか調子が悪いわ・・
どう調子が悪いの?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
婦人科の常用漢方薬24番でおなじみ加味逍遥散(かみしょうようさん)。
当帰芍薬散(23番)、桂枝茯苓丸(25番)とも「三大婦人漢方薬」ともいわれる超有名処方です。
でも、意外ときちんと使われていない漢方薬でもあります。
「更年期障害だから!」
「生理不順だから!」
コレだけの情報だけでは効かないこともあります。
では、どんな人に有効な漢方薬なのでしょうか?
そこで、今回は婦人薬の超有名漢方薬の「加味逍遙散(かみしょうようさん)」について解説していきます。
- 生理不順がある
- 精神的にイライラしやすい
- 加味逍遙散が効いていない
加味逍遙散ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると、
体が火照るタイプで気血のめぐりが悪くなった時に起こるイライラや体の不調に使われる漢方薬です。
なら冷え性の私には向かないかも。
後述しますが、ここが大事なとこでもあります。
加味逍遥散は和剤局方(1100年頃に作られた医学書)に記載されている逍遥散という処方がベースです。
明の時代にこの逍遥散に牡丹皮(ぼたんぴ)と山梔子(さんしし)を加えて開発された処方が加味逍遥散です。
別名があり『丹梔逍遙散』とも言います。
構成生薬
生薬 | 効能 |
---|---|
柴胡 | 君薬で疏肝解鬱(そかんげうつ)←ストレスを去る |
薄荷 | 疏肝解鬱を強める |
当帰 芍薬 | 養血←ストレスで失った血を補う |
白朮、茯苓、甘草 | 健脾←胃腸を強める |
牡丹皮 山梔子 | 火を瀉す←熱を抑える |
加味逍遥散は
この様な状態を改善できる構成になっています。
また『肝鬱化火(かんうつかか)』という症状を改善できるのが特徴的です。
『肝鬱化火』とはストレスにより「血」が失われ身体に火がついてしまった状態です。
そのため「イライラしてほてるタイプ」の人へのファーストチョイスの漢方薬として使われることが多いです!
メーカーによって白朮→蒼朮です。
健脾作用は蒼朮にはありません。
また白朮よりも燥性(乾燥させる)が強い生薬です。
よく使う症状
体力中等度以下で,のぼせ感があり,肩がこり,疲れやすく,精神不安や
いらだちなどの精神神経症状,ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:
冷え症,虚弱体質,月経不順,月経困難,更年期障害,血の道症,不眠症厚生労働省 薬局製剤指針より引用
※血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期障害などの女性のホルモンの変動に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のことである。
冷えのぼせ
加味逍遥散を方剤学の本で調べてみると…
【中医学的 効能】
疏肝健脾 和血調経 瀉火
この様に『瀉火』という記載されています。
瀉火とは「火を瀉す≒火を消す」
身体を冷やす方向の漢方薬ということがわかります。
そのため「のぼせ」がある人が使いやすい漢方薬です。
添付文書の効能効果に「のぼせ感」「冷え性」と相反する記載がありましたが。
「冷え性」単体では使うべき処方ではないと考えられます。
「冷えのぼせ」などの寒熱が同時に出ているときの処方です。
相談で多いのは「上部がのぼせて、下部が冷える」上熱下寒という状況が良いと思います。
月経不順・更年期障害
どちらにもとても有効な漢方薬です。
精神的な症状を伴う人には使いやすいです。
特にイライラしやすい人は検討してみる価値はあります。
不眠症
こちらもイライラ・ほてるタイプの不眠症には向いていると思います。
体質があっていれば男性でも服用してOKです。
加味逍遥散の使いにくいタイプ
応用範囲が広く便利な漢方薬ですが注意点もあります。
体が冷えるタイプ
上記の通り「逍遥散」牡丹皮と山梔子が加わることで瀉火の作用が加わっています。
字のごとく「火を瀉す」体を冷やします。
冷えて生理が乱れる、生理痛が重い人は逆効果です。
乾燥するタイプ
牡丹皮と山梔子この2種類の生薬が加わると「乾燥させる」が強くなります。
特に山梔子は「三焦」(水の通り道)を冷やし、乾かす生薬です。
冬場などの「冷え+乾燥」の状況で体調が悪くなる人は気を付けましょうね。
極端に胃腸が弱い人
出典ではストレスからくる胃腸の不具合などで使うことのある処方ですが胃腸が弱いタイプは注意です。
- 当帰・芍薬⇒胃腸に重い可能性
- 冷やす生薬が多い⇒胃腸は冷えを好まない
下痢したり食欲不振になる場合は量を減らしたり、他の処方にしましょう。
基本的に中国人の方が胃腸が強いとされています。
じゃあ元の処方の「逍遥散(しょうようさん)」って?
体力中等度以下で,肩がこり,疲れやすく精神不安などの精神神経症状,
ときに便秘の傾向のあるものの次の諸症:冷え症,虚弱体質,月経不順,
月経困難,更年期障害,血の道症,不眠症,神経症厚生労働省 薬局製剤 逍遥散料の効能効果より
「牡丹皮」「山梔子」が入っていない逍遥散も製品になっています!
おすすめポイント①体を冷やさない
逍遥散は寒証、熱証はそこまで細かく考えなくて良い処方です。
ほてりがなくても使用できるのはとても便利です。
また「脾虚」(胃腸が弱い)人にも胃腸を冷やさない為使いやすいです。
おすすめポイント②体を乾かさない
「加味逍遥散」「逍遥散」の君薬「柴胡」は燥性が強い生薬です。
そこに「牡丹皮」「山梔子」が加わると燥性がぐっと上がってしまいます。
乾燥肌のタイプには「逍遥散」の方が向いています。
まとめ
加味逍遥散は気血両虚で肝気鬱結のに有効な漢方薬です。
効能を簡単にまとめると
- ほてりをとる
- 月経を調える
- イライラをとる
- 胸の張りをとる
- ストレス性の胃腸障害を改善する
特にイライラタイプの婦人病に良く効きます。
注意点としては
- 冷える、乾燥するなら『逍遥散』
- 山梔子の副作用が気になる人は『逍遥散』
- 白朮で作ったものを選ぶ
②イライラする
この2つを押さえておけば間違いが少ないよ!
しかも生理前~
(# ゚Д゚)むきーー!!