漢方薬の剤形の違いとは?煎じ薬・粉薬・錠剤・丸剤を漢方薬剤師が解説

(# ゚Д゚)プンプン
粉じゃなくても漢方薬なの?効き目は同じ?
ただし、同じ処方名でも製品によって生薬の量や製法などが違うことがあるから、単純に「全部同じ」とは言えないよ。
漢方薬というと「苦い粉薬」をイメージする方が多いかもしれません。
しかし、実際には煎じ薬・エキス顆粒・細粒・散剤・錠剤・丸剤など、さまざまな剤形(薬の形)があります。
漢方相談をしていると、
「粉薬が苦手で続けられない」
「錠剤の漢方薬でもいいですか?」
「煎じ薬とエキス顆粒は何が違うの?」
といった質問をよくいただきます。
漢方薬は一定期間継続して服用することも多いため、自分が無理なく続けられる剤形を選ぶことも大切です。
この記事では、漢方薬剤師の立場から、煎じ薬・粉薬・錠剤・丸剤などの違いや、それぞれのメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
漢方薬にはどんな剤形がある?
漢方薬にはさまざまな剤形があります。
代表的なものは次の通りです。
【煎じ薬】
生薬を水で煮出して服用する
【エキス顆粒・細粒】
生薬を煎じたエキスなどを顆粒・細粒状に加工したもの
【散剤】
生薬などを細かい粉末にして服用する
【錠剤】
エキスなどを錠剤状に加工したもの
【丸剤】
生薬の粉末などを丸い形にしたもの
同じ「漢方薬」でも、作り方や飲みやすさ、携帯性などには違いがあります。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
煎じ薬とは?生薬を煮出して飲む漢方薬


煎じ薬は、刻んだ生薬を組み合わせ、水で煮出して服用する漢方薬です。
「○○湯」と呼ばれる漢方処方の多くは、もともと生薬を煎じて服用する方法が基本となっています。
薬局によっては生薬をそのまま渡すだけでなく、煎じたものをパックにして提供する場合もあります。
煎じ薬のメリット
煎じ薬の大きな特徴は、患者さんの状態に応じて生薬の種類や量を細かく調整しやすいことです。
漢方相談では、その人の体質や症状に合わせて処方内容を調整することがあります。
また、生薬を実際に煎じるため、漢方薬特有の味や香りを強く感じるのも特徴です。
- 生薬の種類や量を調整しやすい
- 一人ひとりの状態に合わせた処方を作りやすい
- 生薬そのものを煎じて服用できる
煎じ薬のデメリット
一方で、煎じ薬は手間がかかります。
自宅で煎じる場合は一定の時間が必要で、作った後の保存にも注意が必要です。
また、生薬特有の味や香りが強く、苦手な方には続けにくいことがあります。
効果だけでなく、生活の中で続けられるかも大切なんだよ。
煎じ薬の詳しい作り方については、こちらの記事でも解説しています。
粉薬には「エキス顆粒・細粒」と「散剤」がある


漢方薬の「粉薬」は、すべて同じものではありません。
代表的なのがエキス顆粒・細粒と散剤です。
エキス顆粒・細粒


現在、医療機関などで広く使われているのがエキス顆粒・細粒です。
一般的には、生薬から抽出したエキスを乾燥させ、顆粒や細粒などに加工して作られます。
煎じる必要がなく、持ち運びやすいことが大きなメリットです。
- 煎じる手間がない
- 持ち運びやすい
- 服用量が決められていて使いやすい
- 医療用・一般用ともに多くの製品がある
一方、製品化するために賦形剤などの添加物が使用されることがあります。
また、同じ処方名でもメーカーや製品によって、生薬の配合量、エキス含量、添加物、1日の服用回数などが異なる場合があります。
「同じ○○湯という名前だから、中身もまったく同じ」とは限らない点には注意しましょう。
散剤


散剤は、生薬などを細かく粉砕して粉末状にしたものです。
「○○散」という名前の処方には、もともと生薬を粉末にして服用する方法が用いられてきたものがあります。
エキス顆粒とは製法が異なり、生薬の粉末をそのまま使用するタイプもあります。
エキス顆粒と散剤は、見た目はどちらも「粉」ですが作り方が違います。
エキス顆粒:生薬から抽出したエキスを顆粒などに加工
散剤:生薬などを粉末にして使用
ただし、製品によって製法や添加物などは異なるため、詳しくは各製品の表示を確認してください。
錠剤の漢方薬とは?粉が苦手な人にも選択肢


漢方薬には錠剤タイプもあります。
エキスなどを賦形剤とともに固めて錠剤にしたものなどがあり、製品によって裸錠やフィルムコーティング錠などがあります。
最大のメリットは、漢方薬特有の味や粉っぽさを感じにくく、服用しやすいこと。
- 粉薬より飲みやすい人が多い
- 持ち運びやすい
- 煎じる手間がない
- 漢方薬特有の味や香りを感じにくい
一方で、漢方薬は1回あたり複数錠を服用する製品も多く、「錠剤なら必ず量が少ない」とは限りません。
また、錠剤にするために添加物が使用されることもあります。
粉薬と錠剤ではどちらが効く?
よく聞かれるのが、
「粉薬と錠剤では、どちらのほうが効きますか?」
という質問です。
これは剤形だけで単純に決めることはできません。
同じ処方名でも、製品によって1日量に含まれる生薬量やエキス量、製法などが異なることがあります。
そのため、「粉だから効く」「錠剤だから弱い」と剤形だけで判断するのではなく、処方内容や製品ごとの成分・分量を確認することが大切です。
飲みやすさだけでなく、中身もしっかり確認しよう!
丸剤とは?「○○丸」に使われてきた剤形


丸剤は、生薬の粉末などを丸い形にした剤形です。
伝統的には、生薬の粉末を蜂蜜などで練って丸める方法も用いられてきました。
「八味地黄丸」「六味丸」など、処方名に「丸」が付く漢方薬もあります。
ただ、現在の製品が必ず伝統的な丸剤の製法で作られているとは限らないから、製品ごとの確認が必要だよ。
丸剤には、
- 持ち運びやすい
- 生薬の粉末を利用した製品もある
- 製品によっては漢方特有の味を感じにくい
といった特徴があります。
一方、製品によっては1回に服用する丸数が多くなることもあります。
また、原料、添加物、製造方法などはメーカー・製品によって異なります。
煎じ薬・粉薬・錠剤・丸剤はどれを選べばいい?
「結局、どの剤形が一番いいの?」
と思いますよね。
しかし、すべての人にとって「この剤形が一番」と決めることはできません。
処方内容を細かく調整したいなら煎じ薬
煎じ薬は、生薬の種類や量を個人に合わせて調整しやすいのが特徴です。
一方で、煎じる手間や味・香りなどが負担になることがあります。
手軽さと選択肢の多さならエキス顆粒・細粒
煎じる必要がなく、医療機関や薬局でも広く使われています。
持ち運びもしやすいため、日常生活に取り入れやすい剤形です。
粉薬が苦手なら錠剤や丸剤も選択肢
粉っぽさや漢方薬特有の味が苦手で服用を続けられない場合には、錠剤や丸剤が選択肢になることがあります。
ただし、剤形が違えば、必ず同じ成分量・同じ用法になるとは限りません。
自己判断で製品を変更せず、医師や薬剤師に相談することをおすすめします。
漢方薬は「続けやすさ」も大切
漢方薬を選ぶときは、処方が自分の体質や症状に合っていることが大前提です。
そのうえで、
- 毎日無理なく服用できるか
- 味や香りが苦痛にならないか
- 外出先にも持っていけるか
- 煎じる時間を確保できるか
- 指定された服用回数を続けられるか
といった「続けやすさ」も考えてみましょう。
「粉が苦手だから漢方は無理」と思わず、薬剤師に相談してみてね。
同じ処方名でも剤形や製品が違う場合があるよ。
まとめ|漢方薬の剤形は特徴を知って選ぼう


漢方薬には、煎じ薬・エキス顆粒・細粒・散剤・錠剤・丸剤などさまざまな剤形があります。
それぞれに特徴があるため、「煎じ薬が一番」「錠剤は弱い」などと剤形だけで優劣を決めることはできません。
- 煎じ薬:生薬を煎じて服用。処方内容を調整しやすい
- エキス顆粒・細粒:手軽で持ち運びやすく、広く使われている
- 散剤:生薬などを粉末にした剤形
- 錠剤:粉が苦手な人でも比較的服用しやすい
- 丸剤:生薬の粉末などを丸い形にした剤形
大切なのは、体質や症状に合った漢方薬を、無理なく続けられる形で服用することです。
剤形や製品を変更したい場合は、自己判断で変更せず、医師や薬剤師に相談してください。
剤形を変えるだけで漢方薬がずっと続けやすくなることもあります。












