響声破笛丸(きょうせいはてきがん)とは?|声・喉を使う人のための漢方を生薬構成から考える

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「声がかすれる、長く話すと声が続かない、のどに何か詰まった感じがする…」
こんな経験はありませんか?
こうした「声の不調」に用いられる代表的な漢方薬が「響声破笛丸(きょうせいはてきがん)」です。
市販薬でも売ってるので、見たことある人もいるかもしれませんね。
実は声を使うお仕事(ラジオのパーソナリティや歌手など)にも御用達の漢方薬です。
声を使い過ぎて喉に違和感がある人は参考にしてみてくださいね!
- 喉の不調が多い
- 声を使う仕事
- 声がしわがれる
響声破笛丸ってどんな漢方薬?


簡単に説明すると
声枯れ・声が出にくい状態の改善を改善させる漢方薬です
「響声」は声を響かせること、「破笛」は詰まった笛の通りをよくすることがイメージできますね。
この処方名から、炎症などによって詰まり、通りにくくなった声を回復させることを目的とした漢方薬であることがうかがえます。
出典の「万病回春」には
「歌って失音するものは、火動なり。」
声の使いすぎ、歌って声が出なくなった人は「火(炎症)」が起こっている。
※超意訳
このように書かれています。
シンプルな条文なのですが、響声破笛丸は
- 単純なカゼなどの炎症ではなく、慢性的な声枯れなどに有効
- 炎症を背景とした声の不調
といった状態に適してると考えられます。
カゼや扁桃炎、アレルギーといった一時的な声枯れよりも、「治りきらずに続いている声の不調」に用いられることが多い点が特徴です。
ちなみ、に古典では9種類の生薬を粉末にして卵白で丸薬としたものを就寝時に口に含み、徐々に嚥下するように指示があります。
構成生薬
| 連翹(レンギョウ) | 清熱解毒作用を持ち、のどの炎症や熱感を鎮めます。炎症によって声がかすれるタイプの嗄声に用いられます。 |
|---|---|
| 桔梗(キキョウ) | 宣肺利咽の働きにより、咽喉の通りを良くし、声を出しやすくします。声が通らない・詰まる感じの改善に重要な生薬です。 |
| 甘草(カンゾウ) | 清熱・緩和作用により炎症を抑えつつ、他の生薬の働きを調和します。のどへの刺激を和らげる役割もあります。 |
| 大黄(ダイオウ) | 瀉下・清熱作用により、体内にこもった余分な熱を外へ排出します。慢性的な炎症が長引く背景を整える目的で配合されます。 |
| 縮砂(シュクシャ) | 行気・温中作用により気の巡りを整え、処方全体のバランスを取ります。清熱薬中心の処方による冷えすぎを防ぐ役割も担います。 |
| 川芎(センキュウ) | 活血行気作用により血の巡りを改善し、咽喉部の停滞を解消します。治りきらない声枯れに用いられる理由の一つです。 |
| 可子(カシ) | 斂肺利咽作用により、声の使いすぎによる消耗を抑え、嗄声を改善します。慢性的な声枯れの回復を支えます。 |
| 阿仙薬(アセンヤク) | 収斂止痛作用により、のどの荒れや違和感を引き締めます。刺激に弱くなった咽喉を保護する役割があります。 |
| 薄荷(ハッカ) | 疏風清熱作用により、のどの違和感を軽減し、発声をすっきりさせます。声の抜けを良くする補助的な役割を果たします。 |
これらの生薬構成から考えると、響声破笛丸が目標とするのは「炎症+停滞」による声の不調です。
具体的には、
- のどに熱感や違和感がある
- 声がかすれて、通りにくい
- 声を使い続けると、すぐに枯れてしまう
といった状態が想定されます。
響声破笛丸の特徴として外せないのが、薄荷(はっか)を大量に配合している点です。
薬局製剤では1日量中に約4g含まれており、加味逍遙散(約1g)と比べても、薄荷の比重が非常に高い処方であることが分かります。
薄荷には、
- 風熱を去る
- 咽喉の熱感や炎症を鎮める
- こもった気を通す
といった作用があり、清涼感とともに喉をスッと楽にするのが特徴です。
よく使う症状


しわがれ声,咽喉不快
薬局製剤指針より引用
しわがれ声・咽喉不快
響声破笛丸は、一般的には慢性的で治りにくい「声がれ」や嗄声に用いられる漢方薬です。
一方で、生薬構成を考えると短期的な使用にも適した側面があります。
本処方には薄荷が多く含まれており、服用すると咽喉がスッと通るような清涼感があります。
そのため、
- これから長時間話す予定がある
- 明日に大事なプレゼンや講演を控えている
- 声を使い過ぎて違和感が出始めた
といった場面で、一時的に用いることも可能です。
また、甘草と桔梗の組み合わせは桔梗湯という漢方薬で、急性の炎症を伴う咽喉症状にも対応できる構成です。
慢性の声がれだけでなく、声を使う直前・使い過ぎた後のケアとして使われるケースが多いです。
注意点


冷えが強い方、寒さで悪化する声枯れには不向きな場合がある
薄荷や連翹などの炎症を鎮める生薬を多く含みます。
冷えやすい人や寒さで悪化する人は注意しましょう。
漫然と長期使用しない
慢性的に声の不調に有効とされますが注意点もあります。
それは虚証タイプに対して。
- 睡眠不足や体質など→陰虚・血虚タイプ
- 乾燥した環境
などタイプも「しわがれ声や喉の炎症」の症状がでやすくなります。
このタイプは生活要因や体質の影響も大きいため、養生と併せて用いることが重要です。
特に「陰虚」「血虚」といった体の潤いが不足しているタイプには注意。
響声破笛丸には潤す生薬が不足しており、炎症には有効ですが惰性で飲むと血虚・陰虚が悪化する可能性があります。
まとめ


響声破笛丸は「声がかすれる・出にくい」状態に用いられる漢方薬。
普段から声を使うお仕事の方は覚えておくと便利ですよ。
今回の内容を簡単にまとめると
響声破笛丸は声の使い過ぎによる慢性的な声枯れ、しわがれ声に有効な漢方薬。
※急性期でもOK
【よく使う症状】
- しわがれ声・咽喉不快
【注意すべき点】
- 冷えが強い方、寒さで悪化する声枯れ
- 漫然と長期使用しない
長引く場合は、漢方に詳しい専門家へ相談することをおすすめします。










