年末年始の養生とは?意味からわかる正月明けに体調を崩しやすい理由【漢方薬剤師が解説】

みなさん、こんにちは。
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
年末年始は、まとまった休みを取りやすい貴重な期間ですね。
一方で、「ゆっくり休めましたか?」と聞くと、首をかしげる方が多いのもこの時期の特徴です。
というのも‥年始は体調を崩して来局される方が非常に多いからです。
毎年、年明けの薬局はにぎわいます。(毎年うれしいような、少し複雑なような…光景ですw)
そのうえで今回は、年末年始という、最も生活が乱れやすい時期に起こりやすい不調と、お正月に養生する意味を、漢方・中医学の視点から整理してみました。
毎年「正月明けに調子を崩しがち」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
- お正月の後に体調崩す
- 年末年始に胃腸の調子が悪い
- 長く休んでも疲れが取れない
ここで少し、「養生」という言葉について触れておきます。
養生とは、単に休むことや我慢することではありません。
中医学では、生活の中で生じた乱れを、その都度整え、体を本来の状態に戻していくことを養生と考えます。
養生という言葉の意味や考え方そのものについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
→養生の意味を一から理解する|必ず押さえる3つの養生法(睡眠・食事・運動)
年末年始にまつわる行事と生活リズムの変化


年末年始は、体にとってイレギュラーが重なりやすい時期です。
- クリスマス、忘年会、新年会による食事量・飲酒量の増加
- 帰省や旅行による移動・環境変化
- 夜更かしや朝寝坊などの生活リズムの乱れ
といった季節行事も重なり、心身ともに「切り替え」が難しいタイミングでもあります。
年末年始に起こりやすい不調


この時期に多い不調は、主に次の3つに集約されます。
食べ過ぎ・飲み過ぎによる胃腸の不調


年末年始は、アルコール、味の濃い料理、甘いものが一気に増えます。
これらを摂り過ぎると、中医学では「痰湿」「湿熱」が生じやすくなると考えます。
痰湿・湿熱がたまると、
- 胃もたれ
- 胸やけ
- 食欲の暴走
- 体のだるさ
といった症状が出やすくなります。
しっかり休んでも取れない「体の重だるさ」に注意
しっかり寝たはずなのに、休んだはずなのに、なぜか体の重だるさが抜けない。
こんな状態が続く場合、単なる「疲れ」ではなく、体に不要な水分である「痰湿」がたまっている可能性があります。
中医学では、食べ過ぎ・飲み過ぎ、甘いものや脂っこいもの、アルコールの摂り過ぎなどによって、
体の中に処理しきれなかった水分がたまり、痰湿を生むと考えます。
年末年始は、こうした生活が続きやすく、
湿熱や痰湿がたまりやすい時期でもあります。
疲れと痰湿の「重だるさ」の違い
実は、「疲れ」と「痰湿」による重だるさは、とてもよく似ています。
見分ける一つの目安は、軽く体を動かしたときの反応です。
疲れが原因の場合、気が不足しているため、動くことで消耗が進み、だるさが強くなります。
一方、痰湿が原因の場合は、軽く動くことで水の巡りが改善し、重だるさが和らぐことがあります。
「休んでも取れない重だるさ」があるときは、休養だけでなく、食事内容の見直しや、軽い運動で巡りを促すことも大切です。
お餅との付き合い方


お正月に欠かせないお餅は、アミロペクチン主体の高糖質食品。
「すぐにエネルギーになる」という点では非常に優秀です。
昔は肉体労働が中心だったため、補気の食材として理にかなっていました。
しかし、PC作業などの座り仕事が多くなった現代では、使われないエネルギーが余りやすいのも事実です。
そこで、おすすめは、からみ餅(大根おろし)。
大根は気を下ろし、消化を助ける食材!
大根おろしにすると消化を助ける力が強化され、胃もたれや食欲不振の強い味方になってくれます。
上手に組み合わせて、おせち料理やお餅での胃腸への負担を減らしましょう。
人日の節句と「胃腸を休める」意識
お正月明けの1月7日は人日の節句。
この日は七草粥を食べ、正月で疲れた胃腸を休める「大切な日」として知られています。
ただし大切なのは、「七草粥を食べること」そのものではなく、「胃腸を休めること」。
七草が用意できない場合でも、
- くたくたに煮込んだうどん
- 消化のよい鍋料理
- 白粥、雑炊
などで十分です。
温かい食事を、よく噛んで食べることを意識してください。
せっかく胃腸にやさしい食事でも、噛まずに流し込むと、かえって胃腸の負担になります。
休み太りと「むくみ」の正体
いつも正月に明け、体重は戻っていますか?
おせち料理は保存性を高めるため、塩分・糖分が高め。
そこにお酒やお餅が加わると、体は水分をため込みやすくなります。
過度な糖質も塩分も、体内に水を引き込む性質があります。
その結果、
- むくみ
- 体の重だるさ
が出やすくなります。
短期間で体重が増える「休み太り」の正体は、脂肪よりも「むくみ」であることが多いのです。
極端な食事制限や過度な運動より、まずは通常の食事リズムに戻すことを優先しましょう。
冬の運動と注意点
冬は体温維持のため、基礎代謝が上がりやすい季節です。
エネルギー消費が多くなり、実はダイエットに向いている季節なんです。
逆に寒いからと動かないでいると、気血が滞り、体重も増えがちになります。
まずは軽い運動からで十分です。
気持ちよい程度の運動をすることはメンタルの安定につながりオススメ!
体を動かす習慣をつけましょうね。
ただし、やり過ぎは禁物!
中医学では冬の大量の発汗は、体を温める力(陽気)を消耗すると考えます。
元々エネルギー不足(気虚)体質の人が大量の汗をかき陽気を失うと「疲れやすい」「冷えやすい」が助長する可能性があります。
また、運動後に体を冷やすと、寒さが一気に体の奥へ入り込むこともあります。
汗をかいた後は、冷やさず、早めに体を整えましょう。
帰省ストレスと気のトラブル


帰省は楽しみな反面、ストレスになる方も少なくありません。
- 長時間の移動
- 渋滞や混雑
- 気を使い続ける対人関係
これらは、気滞(気の滞り)や気虚(気の不足)を引き起こしやすくなります。
気滞タイプ


帰省のストレスや緊張、渋滞などで同じ姿勢が続くと気の巡りが滞ります。
肋骨周辺が苦しくなる「胸脇苦満」が出やすいのが特徴です。
深呼吸、軽く体を動かす、ミントのガムを嚙むなど、気を巡らせる工夫を意識しましょう。
気虚タイプ
年末年始はなにかと「気を配る」季節ですね。
気≒エネルギー
気を配る≒自分のエネルギーを配っている
つまりこのタイプの人は「気を配り過ぎる」ことで、持っている気を消耗しています
中医学でいう気の働きは、
- 動かす(推動)
- 温める(温煦)
- 守る(防御)
- 漏れを防ぐ(固摂)
- 変化させる(気化)
消耗が続くと、疲れやすさ、冷え、免疫低下につながります。
気を使ったら補う。
しっかり休息して補充することも忘れずに。
休み明けの憂鬱


人は「変化を嫌う」「楽な方に流される」と言われています。
そのため、年末年始などの連休明けに、憂鬱な気分になる人は少なくありません。
身近な例として、月曜日に憂鬱になる状態は「ブルーマンデー症候群」と呼ばれています。
これは、休みの日と仕事や学業のある日の生活環境に差があることで起こると考えられています。
同じことは、年末年始のような長期連休明けにも当てはまります。
休みの間にダラダラしすぎる、いわゆる「安逸過度(あんいつかど)」の状態になると、心身の切り替えがうまくいかず、つらさを感じやすくなります。
また、夜は不安感が増しやすい傾向があります。
昼夜逆転の生活や夜遅くまで起きている習慣が続くと、考え過ぎる状態、いわゆる「思慮過度(しりょかど)」に陥りやすくなります。
多少の生活の乱れは問題ありません。
しかし、生活の乱れが大きく、期間も長くなるほど、長期連休明けの憂鬱感は強くなりやすいと考えられます。
まとめ


年末年始は、どうしても生活が乱れやすい時期です。
そこを逆に年末年始を「乱れたものを戻す期間」という意識を持つようにしましょう。
大切なのは、
- 食べ過ぎたら整える
- 動かなかったら少し動く
- 気を使ったら休む
というシンプルな「極端なことをしない」という調整です。
逆に極端なことをすると心身は乱れます。
行事を楽しみつつ、体の声にも耳を傾ける。
それが、年明けを元気に迎えるための一番の養生ですよー。











