イヤ!それは、お酒の飲みすぎです(# ゚Д゚)
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
冬は冷えや血行不良、春になると頭痛やめまいの相談が増えます。
これらは外からやって来る邪気【六淫】が原因の1つです。
各季節には強くなる邪気があります。
特徴を掴んでおくと季節の養生の役に立ちますよ。
今回は外からやって来る病因【六淫(六邪)】について解説していきます。
※長くなってしまうので各邪気に対する詳しい養生は「記事下にある季節の養生の記事」を読んでくださいね☆
- 特定の季節に調子が悪い
- 体質が弱い
- 変化に弱い
病の原因は外因・内因・不内外因
中医学での健康とは陰陽、気血などのバランスがとれている状態を指します。
この均衡が崩れると不調となります。
不調(病気)の原因になるのが病因。
中医学では病気になる原因を3つの因子で考えます。
- 外因→人体の外からくる病因
- 内因→人体の中にある感情が猛烈なったもの(七情)
- 不内外因→それ以外(飲食物、疲労など)
※不内外因には体内で作られた病理物質である「瘀血」や「水湿」「痰飲」なども含まれます。
外因
外因は六淫(六邪)と癘気(れいき)
六淫(六邪)は風、寒、暑、湿、燥、火(熱)
季節性があり特定の季節に強くなる邪気があります。
ただ「寒い」や「暑い」などは邪気にはならないです。
風、寒、暑、湿、燥、火(熱)は自然の気候を示したもので「六気」と呼ばれます。
- 乱れた時、急に来た時
- 過剰になった時
- 自身の体調が悪い時
上記のようなときに六気は六淫(六邪)に変わります。
- 急に暑い(寒い)
- 不快指数MAX(湿度高い)など
こんな時に不調がでやすいのは六気が六淫に変わっていると考えられます。
養生とは自身の抵抗力(正気)を補い六気を六淫にしない意味もあります。
自然の流れにあった養生をしないと六淫となって体を害します。
【例】
- 寒いのに薄着をする
- 湿度が高いのに脂っぽいものを過食
逆にしっかり養生をすれば体が弱い人も六淫にやられることが少なくなります。
【癘気(れいき)】
疫気や戻気とも言われます。
気候の変動による六淫とは違い伝染性の感染症などを指します。
コレラやマラリア、インフルエンザなどがこれに該当します。
六淫が原因の症状よりも重く伝染性、流行性が高い傾向にあります。
六淫(六邪)
ここからは6つの邪気について解説していきます。
各邪気には特徴があります。
風邪(ふうじゃ)
風邪は「かぜ」ではなく「ふうじゃ」と読みます。
名前の通り風の邪気です。
春に強くなる邪気ですが風が季節問わず吹くように、どの季節にでも顔を出す邪気です。
【特徴】
- 変化が速い
- 病変部位が動く
- 症状が上半身、体表面に出やすい
- 他の邪気を連れてくる
どの季節にも顔をだし、他の邪を連れてくることから「風は百病の長」と言われています。
風+寒=風寒邪
風+熱=風熱邪
風+湿=風湿邪 など
体表面をおかす風邪(ふうじゃ)は風邪(かぜ)の原因です。
変化の早い風邪に対抗するのは防衛の気「衛気」を高めておくことが大事です。
衛気を高めるためには疲れがためない、胃腸を整えるなどが大事ですよ。
湿邪(しつじゃ)
本来は「夏の後1ヶ月」である長夏(ちょうか)に強くなる邪です。
日本では梅雨に強くなると考えるのが一般的です。
【特徴】
- 沈重性→体が重だるくなる
- 下を犯す→症状が下半身に出やすい
- 定着性→取り去りにくい
- 粘膩性→ネバネバ、ベタベタ
- 脾胃(≒胃腸)を傷つける
- 気のめぐりが悪くする
湿邪の性質は「重」と「濁」ベタベタ重いイメージです。
外の湿度が強い時は内側の湿気も気をつけましょう。
ベタベタした性質の食べ物を過食すると体に「内湿(ないしつ)」がたまり外の湿邪(外湿)を呼び寄せてしまいます。
湿度が高い時に体調が悪人は飲食物などにも注意しましょうね。
具体的には「肥甘厚味」を避けるようにしましょう。
- 肥→脂っこいもの
- 甘→甘いもの
- 厚→味の濃いもの
度数の高いアルコールも内湿になりやすいです。
お酒もホドホドにね。※アルコールは食欲を増進してしまう意味でも
暑邪(しょじゃ)
暑い夏に力をます邪が「暑邪」です。
特に最近の日本はとても暑いので気をつけたい邪です。
暑邪は「火(熱)邪に近い性質」ですが「湿邪と結びつく」という厄介な性質の邪気でもあります。
【特徴】
- 熱の性質を持つ
- 発散(汗をかかせる)
- エネルギー(気 陰)を消耗する
- 湿邪と結びつく
湿邪と結びつきやすいという点は要注意。
暑いからと水分をがぶ飲みしてしまうと体に「機能しない水」として残ってしまい、秋の不調や冬の冷えにも繋がります。
暑い日でも水分補給は「少量・ゆっくり・こまめに」心がけましょうね。
ガマン!ガマン〜☆
暑い時の不調は大きく2つに分ける事ができます。
現代の日本では「冷房が効いた部屋で冷たい物を食べすぎる」陰暑には注意です。
冷たい飲食物などで自身の体温が下がり相対的に暑邪に負けてしまいます。
「冬病夏治(トウビョウカチ)」
冬の病(冷えなど)は夏に治すとも言われます。
夏に冷やすぎる、水分を取りすぎると冷えが残ってしまい寒さが本番の冬に不調になります。
燥邪
秋に強くなるのは乾燥の邪気「燥邪(そうじゃ)」
【特徴】
- 乾燥する、津液を損傷しやすい
- 肺を傷つける
燥邪が侵入ルートは「口」「鼻」
秋の五臓である肺は嬌臓(きょうぞう)といって繊細で傷つきやすい臓です。
※「嬌」はかわいらしい。愛らしい。という意味があります。
肺は華蓋(王様の輿についている傘の意味)といって五臓で一番高い位置に存在しています。
燥邪は肺を傷つけやすい性質です。
秋に口、鼻の乾燥が気になる方は加湿器などを使い粘膜が乾燥しないように注意しましょうね。
燥邪には秋の経過のよって【温燥】【涼燥】があります。
【温燥】
初秋に夏の余気が残っている「燥」と「温熱」が合併してあらわれる
【涼燥】
晩秋に冬の寒気が近づき「燥」と「寒冷」が合併してあらわれる
乾燥に気をつけ体調を整えよう!
寒邪(かんじゃ)
冬の邪気はみなさんもご存知!
寒さの邪「寒邪(かんじゃ)」です。
【特徴】
- 体を冷す
- 凝滞性、収斂性
寒邪の「体を冷やす」には2つの意味があり、
- 全身、局所を冷やす→患部を冷やす
- 陽気も傷つける→温める元を傷つける
寒さを受けると体が強張ったり動きが悪くなるように気血、津液のめぐりが悪くなります。
血は津液は自身の力で動くことはできず「気の力をかりて」動いています。
陽気が傷つくと動きが悪くなります。
めぐりが悪くなると、
「不通則痛(ふつうそくつう)」=通らなければすなわち痛む
痛みの症状が悪化します。
内(飲食物など)と外(衣服、暖房など)両面からの冷え対策が大事なります。
冷え対策は足元から!三首(首、手首、足首)でも特に足首は冷やさないようにね!
熱邪→火邪
性質的には同じですが熱が盛んになったものを火邪と言います。
熱邪と火邪は少し違った性質で他の邪気が長く停滞すると変化することもあります。
火邪は熱が極まった状態なので体の内側からも発生します。
感情が過度になったり、臓腑にの熱が極まると火に変わってしまうことがあります。
【特徴】
- 熱性
- 炎上性
- 開泄(発散)する
- 気、津液を消耗する
- 発疹、出血しやすい
- けいれんする
熱邪(火邪)のは名前の通り熱の性質を持ちます。
症状では発熱や炎症が出たりします。
また温めると症状が悪化するという特徴もあります。
湿邪が下を犯すとは逆に熱邪は陽邪で「炎上」の性質があり、上半身や顔を症状が出やすいです。
放っておくと精神不安や、イライラして眠れないなどの症状が出るので注意です。
頭蓋骨で守られている脳は熱の発散が苦手です。
高熱だと思考力が低下したり、ボーっとするのは脳に熱がこもっているため。
長時間のスマホやPC、ゲームなどは陰血の消耗が激しくなります。
陰血が足りなくなると熱を冷やすことができなくなってしまいます。
休憩を適度にはさむなど熱がこもらないように工夫しましょうね。
熱邪におかされると体は体温を下げようと汗をかきます。
汗は大量にかくと「気+津液」を消耗します。
潤いが不足し口渇や便秘が起き、疲れを感じるようになります。
熱邪が血に侵入すると出血傾向になったり猛烈な痒みや炎症の原因になります。(血熱)
また熱は極まると「風を生む」と言われています。(熱極生風)
熱性けいれんや怒りで手がプルプル震えている人を想像するとわかりやすいです。
まとめ
季節の気である六気が過剰になった六淫(六邪)について解説していきました。
今回の内容をまとめると
季節が気が…
- 乱れた時、急に来た時
- 過剰になった時
- 自身の体調が悪い時
この時に六気が六淫(六邪)になる
六淫に負けないためには季節、体調に合わせた養生をする
あと夏場でも胃腸が冷えないようにアイスとジュースは少しにしたよ☆