漢方で免疫って上がらないの??
皆さんこんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
春はウイルスや花粉が流行する時期ですね。
この時期は漢方薬局にも『免疫を上げる漢方薬をください!』
こんな相談をされます。
中医学の世界には『免疫力』と近い意味に
『衛気(えき)』というものが存在します!
この『衛気(えき)』体にとってとても大事な作用をしています。
そこで今回はこの『衛気(えき)』について解説していこうかと思います。
- 免疫力を上げたい人
- 花粉症の人
- ウイルスが怖い人
目次
免疫力とは?

まずは皆さんが一般的に使う言葉『免疫』『免疫力』という言葉のおさらい!
キチンとした意味はご存知でしょうか?
体内に侵入したウイルスや細菌などの病原体や毒素を異物(非自己)として認識し、生体を防御するためにこれを排除しようと働く力。「免疫力の増進・減退」「免疫力の上昇・低下」「免疫力が上がる・下がる」「免疫力が高い・低い」などと表現し、免疫力の低下は生体が病気にかかりやすい状態をつくりだす。
日本大百科全書より引用
細菌やウイルスに対する『抵抗力』だね!
最近では腸内細菌がこの免疫力に影響していると研究がされていますね。
この免疫力は
- ストレス
- 疲れ
- 睡眠不足
- 暴飲暴食
- 冷え
この様なことで体調が悪くなると低下してしまい病気になりやすくなってしまいます。
特に体温の低下は免疫力を下げます。
マスクも大事だけど防寒も大事⛄
マスク危機で『防寒』忘れてないですか?
体温が一度下がると免疫力は30%低下すると言われています。
最近は朝晩の寒暖差の大きいです。
羽織る物を一枚カバンに入れておきましょう👍
この手の話は男性に響きにくいので強く言います。( ゚Д゚)📢もう一枚着ろ~
— 🐢漢方薬剤師 玄🐍 (@gen_kanpo) February 25, 2020
冷えは万病の元!
冷えに対してはきちんと対策をとりましょうね!
中医学での免疫力『衛気(えき)』

中医学には免疫力と似たような意味の言葉で『衛気(えき)』というものがあります。
『衛気(えき)』は気の1つで名前の通り『防衛の気』です。
体表面(皮膚、肌)に存在するとされており
- 体表を守り邪気の侵入を防ぐ
- 汗をコントロールして体温を維持する
- 皮膚や臓腑を温める
こんな作用があります。
この『邪気』には花粉やウイルス、ハウスダストなども含まれます。
口腔内、鼻、気管支、皮膚などの粘膜を強化するとも考えられており、簡単に言うと体のバリアの働きをしています。
中医学ではこの『衛気』が少ない人を衛気虚といい
- 病気になりやすい
- 暑くないのに汗をかく
- 体温調節が苦手になる
上記の様な症状が出やすいです。
確かに似ているわ~☆
また衛気虚でもう1つ大事な症状は『汗』
汗を大量にかくと体のエネルギー(気・津液)が失われます!
衛気はこれを防いでくれています!
衛気が薄くなると汗を体に留めておく事が出来なくなり漏れ出てしまいます。
この状態はエネルギーを垂れ流しているためどんどん疲れてしまいます。
葛根湯は免疫力を上げる漢方薬ではありません❌
午前中に来店の患者さん
『コロナウイルス流行ってるから免疫力上げるために葛根湯だしてくれたの!』
なんちゅうヤブ……
( >д<)、;’.・ ゲホゴホ葛根湯は汗で風寒の邪気を散らす漢方薬!
不要な人が飲めば逆に免疫力が下がります❌
— 🐢漢方薬剤師 玄🐍 (@gen_kanpo) March 4, 2020
衛気が足りない人に葛根湯なんか飲ませたら絶対ダメ!!
衛気(えき)を強化するには
それでは衛気を強化するにはどうしたらよいのでしょうか?
衛気は『気』の1種です。
気の生成には3ルートあり
- 父母から受け継ぐ
- 飲食物から
- 新鮮な空気から
衛気は主に飲食物からのルートで作られるとされています。
そのため暴飲暴食や疲労などで胃腸の機能が低下すると衛気は作られなくなってしまいます!
衛気を強くするためには胃腸に優しく、バランスの取れた食事を心がけましょう!
これは年末年始の暴飲暴食が原因の1つと考えられてるよ!
衛気(えき)を強くする漢方薬
衛気を強くするには生活の質を上げ胃腸に優しい食事をする事が第一です!
ですが既に衛気が足りない人には時間がかかってしまいます。
そんな時は漢方薬を上手く使って衛気を補いましょう!
衛気(えき)は気の1種なので強化するには『補気薬』というジャンルの漢方薬を使用します。
補気薬の中でも特に黄耆(おうぎ)という生薬が入っている漢方薬が良く効きます!
『気』が足りていない人は通年服用していても構いません。
予防で服用される方は症状のピークから1、2カ月前程から服用すると効果的です。
例えば花粉症などのような症状の場合はピークが2~3月なので12~1月ぐらいから服用するのがオススメです。
玉屏風散(ぎょくへいふうさん)
衛気が少なくなる『衛気虚』に対する代表処方で
『体の周りに屏風(びょうぶ)を置く』といわれる漢方薬です。
屏風(びょうぶ)とは風よけ!
体の外から入ってくる邪気を「避ける」為に作られた漢方薬です。
構成生薬が3種類とシンプルな処方で、その中でも黄耆の使用量が他の生薬よりも約3倍配合されています。
桂枝黄耆湯(けいしかおうぎとう)
(2021/03/06 13:37:57時点 楽天市場調べ-詳細)
虚弱者の風邪に有効な『桂枝湯(けいしとう)』に黄耆を加えた処方です。
桂枝湯も体表面を強くする作用があります。
そこに黄耆が加わると体表面の防衛力が更に強化されます!
黄耆建中湯(おうぎけんちゅうとう)
(2021/03/06 13:37:57時点 楽天市場調べ-詳細)
虚弱体質の腹痛になどに有効な漢方薬です。
黄耆の量がしっかり入っているため、衛気虚の人の体質改善の薬としてもってこい!
構成生薬は桂枝黄耆湯とほとんど同じですが、膠飴(麦芽の飴)が入っているのが黄耆建中湯です。
この膠飴(こうい)が入る事で胃腸を元気にする作用が強化されます!
黄耆建中湯は『中を建てる』と書きます。
中とは中焦、脾(胃腸)のことを指します。
○○建中湯というのは胃腸を強くする漢方薬ということを覚えておきましょう。
普段から『胃腸が弱いタイプ』『風邪や病気になりやすいタイプ』にとても有効な漢方薬です。
衛気を補えば病気にならない訳では無い!
ここまでの話を聞いていると
『衛気を補っていれば病気にならない!』
勘違いする人がいます!
病気は外から以外にも【内因】【不内外因】という原因があるんだ!
【内因】
- 体質的な虚弱体質
- 感情の過多
【不内外因】
- 飲食物の不衛生、不摂生
- 偏食
- 気血水の滞り
- 疲れ
- 運動不足
この様な事でも起こります!
誰でも衛気を補えば病を防げ訳では無いですから!
まとめ

体を邪気から守る
ウイルスや花粉が流行する時期には高めておきたい『気』です。
『衛気』について簡単まとめると
- 衛気は防御の気
- 免疫力と近い意味合い
- 体表を守り邪気の侵入を防ぐ
- 汗をコントロールして体温を維持する
- 皮膚や臓腑を温める
- 衛気を作るには胃腸が大事
- 衛気を作る漢方薬がある
- 衛気を補えば全ての病を防げるわけでは無い
いつもの食事に取り入れる程度がベターだよ!
食事が偏ると衛気は作られなくなるから注意してね!
気をつけま~す☆
