
その3つは「婦人の三大漢方薬」なんて呼ばれることもあるよ。
もちろん、誰にでも合うわけじゃないけど、この3つでかなり幅広く対応できるんだ。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
婦人科でよく聞く「当帰芍薬散」「加味逍遙散」「桂枝茯苓丸」。
漢方メーカーの番号では、それぞれ 23・24・25番 として有名です。
どれも「生理不順」「生理痛」「更年期障害」などに使われますが、実はタイプがかなり違います。
効能だけ見ても違いが分かりづらい…という声も多いですね。
そこで、今回は、漢方薬剤師の視点から「3大婦人漢方薬」の特徴・構成・向いている体質をわかりやすくまとめました。
- 生理不順、生理痛がある
- 更年期をむかえる
- 漢方薬がよく効かない
当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)|貧血・むくみタイプに◎


基本情報
| 医療用番号 | 23番 |
|---|---|
| 構成生薬(6味) | 当帰、芍薬、川芎、茯苓、白朮(蒼朮)、沢瀉 |
| 分類 | 補血利水剤 |
| 主な効能・適応 | 血を補い(補血)、水分代謝を整える(利水)。妊娠中や産後の体調不良にも用いられる。 |
| 向いているタイプ | 手足が冷えやすい、顔色が悪く貧血ぎみ、生理周期が遅れがち、むくみやすい、疲れやすい。 |
→ 「血虚+水滞」タイプ の代表処方。
注意点
瘀血(血の滞り)が強いタイプにはやや不向き。
血の巡りを促す力(活血作用)は弱め。
当帰芍薬散のまとめ
冷え・貧血・むくみのある人に。
「血(けつ)」を補い優しく体を整える「女性の定番漢方」です。妊娠中にも使われることがある安心処方。
もっと詳しく知りたい人はコチラの記事を!
加味逍遙散(かみしょうようさん)|イライラ・のぼせタイプに◎


基本情報
| 医療用番号 | 24番 |
|---|---|
| 構成生薬(10味) | 柴胡、当帰、芍薬、茯苓、白朮、甘草、薄荷、生姜、牡丹皮、山梔子 |
| 分類 | 補血疏肝剤+清熱薬 |
| 主な効能・適応 | 肝鬱化火(ストレスによる気滞+熱)を調整。PMS、更年期障害、不眠、イライラ、のぼせ、疲労感、不安感などに対応。 |
| 向いているタイプ | ストレスが多くイライラしやすい、顔がほてる・のぼせやすい、寝つきが悪い、肩や首がこりやすい。 |
→ 「肝鬱+軽い熱」タイプ にぴったり。
特徴と逍遙散との違い
加味逍遙散には、もともとその原型となる処方「逍遙散(しょうようさん)」があります。
この「逍遙散」に、牡丹皮と山梔子(清熱薬)を加えたものが、現在よく使われている加味逍遙散です。
加味逍遙散は熱を冷ます力がやや強いため、体が冷えやすい人や胃腸の調子が崩れやすい人では、かえって不調を感じることもあります。
そのような場合は、原方である「逍遙散」を検討してみるのも一つの方法です。
| 比較項目 | 逍遙散 | 加味逍遙散 |
|---|---|---|
| 構成生薬 | 柴胡・当帰・芍薬・茯苓・白朮・甘草・薄荷・生姜 | 逍遙散+牡丹皮・山梔子 |
| 清熱作用 | なし | あり(冷やす) |
| 向く体質 | 気が滞る+血虚タイプ | 逍遥散+熱っぽくイライラするタイプ |
| 主な症状 | ストレス、不安、冷え | イライラ、不眠、のぼせ、更年期症状 |
注意点
冷え性の人が飲み続けると体を冷やすことがある。
体質や季節によって見直しが必要。
加味逍遙散のまとめ
イライラ・のぼせ・PMSに。
「気」と「熱」のバランスを整える代表的な婦人薬。
ただし冷え性の人は要注意。
もっと詳しく知りたい人はコチラの記事を!
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)|瘀血(おけつ)タイプに◎


基本情報
| 医療用番号 | 25番 |
|---|---|
| 構成生薬(5味) | 桂枝、茯苓、芍薬、桃仁、牡丹皮 |
| 分類 | 駆瘀血剤(くおけつざい) |
| 主な効能・適応 | 瘀血(血の滞りによる病理物質)を改善し、血行を促進。月経痛、肩こり、頭痛、しみ、のぼせ、打撲などに使用。 |
| 向いているタイプ | 顔色がくすむ、唇が暗い、肩こり・頭痛、生理痛が強く血塊が混じる、下腹部の張り、冷えのぼせ(瘀血が原因の)。 |
→ 「瘀血」タイプ に向く代表処方。
特徴
「活血(血の滞りを去る)」で滞った血を巡らせる。
女性だけでなく男性にも使われる(肩こり・打撲など)。
同時に水分代謝も整え、活血作用をサポート(茯苓の作用)。
注意点
血虚・虚弱・胃腸が弱い人には不向き。
妊娠中や妊娠の可能性がある人は避ける。
体質を見極めて活用しましょう。
桂枝茯苓丸のまとめ
血の巡りを整える駆瘀血の代表処方。
月経痛や肩こり、しみなど“血の滞り”におすすめ。
妊娠中や虚弱体質の人は注意が必要です。
もっと詳しく知りたい人はコチラの記事を!
3大婦人漢方薬の比較まとめ


| 処方名 | 向く体質 | 主な特徴 | 代表的な症状 |
|---|---|---|---|
| 当帰芍薬散 | 血虚+水滞 | 補血・利水・安胎 | 冷え、貧血、むくみ、妊娠中の不調 |
| 加味逍遙散 | 肝鬱+軽い熱 | 疏肝・補血・清熱 | イライラ、不眠、のぼせ、更年期障害 |
| 桂枝茯苓丸 | 瘀血 | 活血・利水 | 月経痛、肩こり、シミ、冷えのぼせ |
婦人の三大漢方薬は、どれも女性の味方ですが、体質や症状が違うと、合う漢方も変わります。
- 冷え・むくみ・貧血 → 当帰芍薬散
- イライラ・のぼせ → 加味逍遙散
- 血の滞り・強い生理痛 → 桂枝茯苓丸
結構違いがあるのね!勉強になったわ!
迷ったときは、専門家に相談しましょうね。
簡単に復習したい人はコチラの動画をどうぞ!












