皆さんこんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
梅雨の時期は湿気が多くて困りますね。
季節の変わり目でもあるこの時期は体調不良の人が増えます。
原因は湿気の邪気『湿邪(しつじゃ)』
この湿邪が体に張り込むと色々な悪さをしていきます!
そこで今回は梅雨時期(湿気の時期)の養生法と『湿邪(しつじゃ)』の特徴について解説していきます!
- 梅雨時期に体調が悪い
- 低気圧で体調が悪い
- 体が重だるい
目次
梅雨(湿気の時期)の特徴
中医学の五行説では季節も5つに分けます。
そして湿気が強くなる時期を「長夏(ちょうか)」といい「夏の後1ヶ月」の期間を指します
!
この時期に体調不良になる人は『湿』に犯されている人が多いです。
湿気の時期に悪化しやすい症状

- 頭痛
- めまい(ぐるぐる)
- 胃腸の不具合
- 重だるい
- 関節痛
この様な症状は湿気の時期に悪化します!
原因は主に『湿』
この『湿』には
- 外気からくる外湿(湿邪)と
- 食べ過ぎ飲み過ぎでため込んだ内湿
が存在します。
特に五臓の『脾(胃腸)』は湿気を好まない性質で「湿」に弱く、湿気の時期は胃腸障害がおこりやすいです。
「ぐるぐるめまい」や「吐き気をともなう頭痛」も胃腸に湿気がたまると起こると言われています。
「湿」の特徴には「沈重性」があり「重だるい」という症状を引き起こします。
「重だるい」と「疲れた」は非常に似ています。
治療法が違うので見極めが大切です。
長夏の邪気『湿邪』の特徴

長夏の時期の邪気は「湿邪」です。
その特徴を見ていきましょう。
沈重性
湿邪に犯されると『身体が重だるい』という症状が出ます。
この症状は『疲れ』ととても似ているので注意が必要です。
区別としては
- 湿邪は朝が重だるい
- 疲れは夕方重だるい
と言われています。
下を犯す
湿邪に犯されると症状が下半身にでやすいです。
足の浮腫みなどがわかりやすいと思います。
定着性
湿邪の症状は中々取り除きにくいです。
そのため症状は長期化がしやすい傾向にあります。
また、他の邪気(熱邪、寒邪)等と同時に犯されるとさらに慢性化する恐れがあります。
- 寒湿邪→痛みの原因になりやすい
- 湿熱邪→化膿性や炎症の原因になりやすい
必ず『湿』を取る治療が必要なんじゃよ!
粘膩性
ネバネバ、ベタベタする性質を持っています。
湿邪が原因の皮膚炎は化膿する、ジュクジュクという症状になりやすいです。
脾(胃腸)傷つける
湿邪に犯されると食欲不振、悪心、嘔吐、下痢などを引き起こすと言われています。
これは夏バテなどにも関わってきます。
普段から食べ過ぎ、飲み過ぎの人は特に要注意です。
気の流れを悪くする
湿邪は同じ部位に停滞するので気の流れを悪くして痛みなどの起こします。
東洋医学では『不通則痛』という痛みの大原則があります。
これは気・血・水(津液)が滞ると痛みが出るという大原則です。
思則気結(しそくきけつ)

長夏は五行説の「土」に属し五志(感情)では「思」。
思い込むという意味があります。
過度な思い悩みは脾の気を滞らせます。
実際の現場では
- 不眠
- 下痢
- 胃もたれ
- 食欲低下
- ストレス性胃炎
などの症状がおこりやすいです。
そのため
- 軽い運動
- 心地よい音楽
- 読書
- 映画
等でリラックスすることを心がけましょう。
養生法

いかに体に『湿気』が入らないようにするかが大事です。
また体に入ってしまった『湿気』をいかに抜くかも大事になってきます。
- 油っぽい、甘いものを食べ過ぎない
- 消化の悪い食べ物を控える
- 適度に汗をかく
- お酒はほどほどに
- よく寝る
- 食べ過ぎない
- 生物を控える
- 過剰に水分を取らない(大事)
- 芳香性のある食べ物を取る
- 朝ストレッチ、体操をする
食べ過ぎ、飲み過ぎは注意じゃ!
五行説で長夏の味は「甘」

疲れると甘いものが食べたくなりますよね!
適度な甘味は長夏の対応臓器「脾(胃腸)」を栄養します。
ただ過剰に摂取すると湿気が溜まり逆に胃腸の動きが悪くなります。
黄色い食べ物がオススメ

長夏の色は「黄」
黄色い食べ物は「脾」に栄養を与えます。
サツマイモ、トウモロコシ、マンゴー、タケノコなど
「甘」「黄」の食べ物がおススメです。
特にオススメが【トウモロコシ】
【帰経】 脾 肝 腎
【性味】 甘 平
- 利尿効果で浮腫み(湿)の改善
- 胃腸を整える
- 平性
時期的、効果的にも長夏の時期にぴったりな食材です。
またトウモロコシの髭は
「南蛮毛」「玉米鬚 」
という生薬で利尿作用がとても高いです。
浮腫みが気になる人はお茶として服用すると良いでしょう。
オススメ漢方薬

香蘇散(こうそさん)
本来は風邪(かぜ)の初期の漢方薬ですが、湿気時期のわずらわしさに大活躍します。
紫蘇(しそ)が含まれる漢方薬で
- 胃腸を整える
- 軽いイライラ、憂鬱感をとる
- 軽く温める
かなり万能!
湿気の時期にオススメの漢方薬です。

藿香正気散(かっこうしょうきさん)
胃腸炎の様な症状が出た場合は藿香正気散(かっこうしょうきさん)がオススメ!
吐き気や下痢、食欲不振など湿気の時期に出やすい胃腸の不具合に幅広く対応できます!

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
湿気の時期に頭痛やめまいが出る人は苓桂朮甘湯を試してみよう。
体の余分な水分を抜く漢方薬なので胃腸に水がたまっている人に有効です。

まとめ

湿気の時期は「湿邪」が強くなります。
湿邪は胃腸に入り込む性質があるので飲食物は注意しましょう。
特に水分補給で『冷たい物をがぶ飲み』は内側にも湿気(内湿)を取り込んでしまい内外ともに『湿』に犯されています。
また重く下にたまる性質があるので「朝体が重い」「動き出すと楽になる」といった症状は「湿邪」が関わっているかもしれません。
芳香性の強い食べ物や汗をかく行為は湿気を発散させてくれるのでおすすめです。