夏バテしないようにいっぱい食べなきゃね。
アカネちゃん、どうしたの山盛りご飯で!
それだと逆効果になってしまうかもしれないよ!
夏バテしないように栄養補給しなきゃでしょ?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(
最近の夏はヤヴァイ暑さですね。
薬局にも夏バテやほてり、汗の相談が増えています。
こう暑いと夏バテ対策はが大切ですね!
さて、夏バテ対策というと何を思い浮かべますか?
夏バテ対策に「いっぱい食べる」「食べないとバテる」こういうフレーズが巷には溢れています。
実はこの「いっぱい食べる」はあっている部分と間違っている部分があります。
そこで、今回は「夏バテと胃腸の関係」という観点から夏バテについて解説していきます。
- 夏バテ気味
- 食べてもバテる
- 胃腸の調子が悪い
脾胃(≒胃腸)の働きをおさらい
脾胃(≒胃腸)について詳しく説明すると、本が一冊かけてしまうので、ここでは簡単におさらい。
中医学の脾胃(≒胃腸)は体のエネルギー工場です。
「脾は運化を主る」といわれます。
- 運:運送、輸送(運ぶ)
- 化:化生(作りかえる)
脾胃は食べたものから栄養を取り出し、体に必要なエネルギーを作り全身に送ります。
脾胃がきちんと機能していると、全身に活力があふれ、肉体が充実します。
ところが、脾胃に負担がかかると以下のようになります。
脾胃に負担がかかる=エネルギー工場が稼働しない=エネルギー不足(疲れる・バテる)
全身にエネルギーが行き届かず、肉体は弱っていきます。
その他にも脾胃が弱ると体液が停滞し【痰湿】(体にとって不要な水)が生まれます。
痰湿は体を重だるくしたり、頭痛・めまいの原因になります。
夏は消耗が激しい季節
暑い夏は消耗が激しい季節です。
夏の邪気「暑邪」の性質は昇と散。
汗で気(エネルギー)と陰(体の潤い+冷やす)を消耗させる性質です。
大量に発汗した場合は足りなくなった気と陰を補う必要があります。
その面では栄養補給がとても大事な季節です。
特に屋外で仕事の方や部活を行う学生さんなど消耗が激しい生活をしている人は、積極的に食べて栄養補給を心がけたいところですね。
夏は脾胃への負担が多い季節
夏は胃腸への負担が多い季節です。
原因はこれら
- 冷たい食べ物が多くなる
- 体質に合っていないスタミナ食
- 食べ過ぎる
日本の梅雨から夏は湿度が高く、何もしていなくても胃腸に負担がかかっています。
そこに、飲食物で追い打ちをかけている人が非常に多いです。
何度も書きますが、脾胃(≒胃腸)は体のエネルギー工場。
胃腸のが不調になると疲れ、体が重ダルくなります。
夏バテの原因の一つは胃腸の弱りです。
夏は冷たい食べ物が欲しくなる
近年の暑さを考えると冷たい食べ物が欲しくなりますね。
体に熱がこもりやすい夏に冷やす食材を選ぶのは正しい養生です。
ただ、取り過ぎると胃腸の働きが低下します。
消化器官を管轄する脾の特徴は「土喜温燥」
土(五行説で脾は土に属する)は温かいと乾燥を喜ぶ
逆に冷たいと湿気を好まない
特にアイスやジュースなど冷たい&ベタベタ(湿)した性質の食べ物は取り過ぎると胃腸の機能が低下します。
脾胃(≒胃腸)は飲食物から体に必要な成分を作る器官。
冷たい食べ物の取り過ぎで機能が低下すると「脾気虚」「脾陽虚」になり体のエネルギーが低下します。
しかも、冷房がガンガンにかかっている場所では冷やす力は倍増してしまいます。
現代人は知らないうちに胃腸を冷やしている傾向にあります。
気晴らしやおやつ程度ならOKですよ。
これらを食事の代わりにしたり、食べ過ぎないように注意しましょう。
食欲がないときは「アイスでも良いから食べましょう」という人もいますが、個人的には反対です。
食欲ないときこそ消化よく温かい「お粥」などを食べるべきです。
熱を去る食材としては、トマトやナスなど夏野菜やバナナやスイカなど南国のフルーツがオススメ。(当然、食べ過ぎれば胃腸の負担になります)
これらの食材は体を冷やしますが、冷やしすぎません。
また、ベタベタした性質が少なく、逆に利水といって体の不要な水を抜いてくれる効果があります。
ジメジメ暑い夏に積極的に食べていきましょう。
土用の丑の日にウナギ?
夏バテ予防の代名詞といえば「ウナギ」ですよね。
土用の丑の日に食べるのが有名です。
この「土用の丑の日にウナギを食べる」という風習、実はウナギを売るための売り文句だったこと知ってますか?
江戸時代に鰻が売れなくて困ったウナギ屋が有名な平賀源内に相談に行ったところ、「土用の丑の日はウナギ」というキャッチコピーを作ることを提案したそうです。
これが大ヒット!その後、土用の丑の日はウナギを食べることが定着していったとのこと。
確かにウナギは気血を補い、筋骨を強くするとされる優秀な食材です。
消耗が激しい夏のスタミナ食に最適と考えることができます。
ただ、ウナギは油分が多く、かば焼きにすると甘辛の味が濃いタレがついてきます。
胃腸に負担がかかり「痰湿」がたまる味は【肥甘厚味】
- 肥=脂っこい
- 甘=甘い
- 厚=味の濃い
うな重やウナギのかば焼きはこれに当てはまります。
ウナギで夏バテ予防ができるのは普段から胃腸が強い人。
すでに胃腸が弱ってしまっている人には向かないです。
ウナギ以外でもスタミナ食と呼ばれるものは一般的に胃腸に負担がかかる事が多いです。
スタミナ食というのは「普段は胃腸が問題なく、これからスタミナを落としたくない人」向けの食事ということを理解しておきましょう。
夏バテに対してオススメの食材としては
- 胃腸が強い人→肉類、ウナギなど気を補う食事
- 胃腸が弱い人→米、イモ、大豆など消化がよく気を補う食材
胃腸がお疲れの人は消化の良いお粥やイモ・栗・カボチャなどの黄色い食材がオススメです。
土用の意味
「土用」とは季節の変わり目。
立秋などの前日18日間のことで、次の季節の準備をする機関です。
この期間は1年中大切にしなくてはいけない胃腸をさらに大事にする期間です。
無理にスタミナ食を食べて胃腸を壊さないように、消化の良い食事を心がけましょう。
土用にどうしてもウナギが食べたい人は「白焼き」にしてワサビと一緒にさっぱり食べるなど工夫しましょう。
どうしても、どうしても、うな重が食べたい人は胃腸の働きを助ける山椒を忘れずに!
ちなみに‥
土用の丑の日は「う」のつく食べ物が良いとされます。
無理にウナギでなくてもOK
個人的にオススメは「梅干し」
梅は「三毒を断つ」といわれる食材。
三毒とは食毒、血毒、水毒
殺菌効果、血行促進効果、水や食あたり対策になります。
クエン酸が豊富で疲労回復にも期待でき、夏場にもってこいの食材です。
いっぱい食べると夏バテ予防になる?
さて、ここからが今回の本題。
いっぱい食べることが夏バテ予防になるか?
これは、ほぼ不正解。
夏は消耗激しい季節ですが、「夏バテの原因の一つは胃腸の疲れ」です。
胃腸のキャパシティ以上の食事や胃腸に負担のかかる食事は胃腸の機能の低下を招き、消化吸収が低下、結果としてエネルギー不足になり逆効果になります。
いっぱい食べて夏バテ対策できるのは、
- 胃腸が問題ない
- 外での作業で消耗が激しい
このような人たちです。
逆に、室内での作業が多く運動量が少ないデスクワークの人がいっぱい食べたらどうなるでしょう?
消費されないエネルギーが溜まってしまい、体を重くなります。(そして太ります。)
「食べないとバテる」といわれますが、胃腸が弱かったり、食欲が無いのに無理やり沢山たべると胃腸に負担がかかります。
そして、対策どころか夏バテがひどくなります。
まとめ
「いっぱい食べる」「食べないとバテる」というワードが飛び交う夏。
体調にあってない間違った養生をすると体調を崩します。
夏の不養生は秋、冬の不調に繋がります。
胃腸を大事にして夏バテを乗り切りましょう。
今回の内容をまとめると
脾(≒胃腸)はエネルギー工場
夏バテの原因の一つは胃腸の疲れ→胃腸が疲れるとバテる→食べ過ぎるとバテる
【いっぱい食べて夏バテ予防できる人】
- 胃腸が問題ない
- 外での作業で消耗が激しい
胃腸が弱い人は温かく消化よい食事を少しずつ
あっ!ご飯、おかわりお願いしまーす!お肉も!