残尿感があったり、痛みがあったり。
他には?何か気になることある?
あ、あと関係ないかもしれないけど「おりもの」のべたべたするような。。。。
そんなイライラしやすい青さんには「竜胆瀉肝湯」があうかもね。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
最近は梅雨から初秋までずっと湿度が高く暑いですね。
そして暑いのが続くとイライラします。
このようなジメジメな季節では膀胱炎などの相談が少なくありません。
膀胱炎の漢方薬は数多く存在します。
痛みや炎症が強いときに活躍するのが今回紹介する「竜胆瀉肝湯(りゅうたんしゃかんとう)」
他にもイライラしやすい、熱症状が出やすい人にオススメの漢方薬です。
気になる人はチェックしてみてくださいね。
- 膀胱炎になりやすい
- イライラしやすい
- 暴飲暴食しちゃう
※竜胆瀉肝湯は同名で違った処方が存在します。今回は薬局製剤に採用されている薛氏十六種の竜胆瀉肝湯をもとに解説します。
竜胆瀉肝湯ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
肝(胆)の湿及び熱(火)が瀉する(追い出す)漢方薬です。
竜胆瀉肝湯が活躍する場面は以下の2つ
- 肝の実熱
- 肝胆に湿熱がたまる
①は長期のストレスで肝気の滞りが慢性化して「肝火上炎」となる。
ほてりや熱症状に加えイライラや不眠などメンタルの症状が現れます。
「陰虚火旺」や「肝陽上亢」のような陰虚があるわけではなく、ボーボーと火事で燃え盛っている状態です。(陰虚は潤す水が少なく熱症状)
肝は情緒や感情に強く関与する臓腑です。
肝:疏泄を主る(精神や情緒をコントロールする)
肝の疏泄機能が失調すると情緒がコントロールできなくなりイライラしたり、不眠になったりします。
※①は効能効果には書いてないので使う場合は専門家の指示を仰ぎましょう
②は以下のようなことが原因で肝胆に湿熱がたまって現れる症状。
- ストレス:痰湿タイプの人が過度にストレス→火が付く
- 暴飲暴食:脂っこい、甘い、刺激物、飲酒のとりすぎ
肝の経絡は生殖器を通っているので湿熱がたまると
- 陰部のかゆみや腫れ
- おりものが黄色い、臭う
などの陰部の症状が現れる。
湿熱が膀胱に侵入すると排尿痛、排尿困難、残尿感、尿の濁りなどが起こります。
また、肝は目にもつながっているので目やになどの原因にもなります。
花粉症の目の充血、かゆみなどにも応用されることがあります。
簡単にまとめると生殖器、泌尿器、目の周りなどの炎症、化膿などに使用されることが多い漢方薬です。
有名な万病回春の一文には
肝経の湿熱(尿不利を伴う炎症発熱)、あるいは副睾丸炎、便毒(よこね)、舌疳、会陰部の腫れもの 焼けつくような熱をもち疼く、小便渋滞あるいは、婦人の外陰部の炎症、痒み痛み、あるいは男性の亀頭部の腫脹あるいは膿水が出るのを治す。
※超意訳
このような内容が書かれています。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
竜胆 | メイン生薬 清熱疎肝(肝気をめぐらせ冷やす) |
黄芩 | 清熱解毒 燥湿 竜胆の補助ぐ |
山梔子 | 清熱 燥湿 竜胆の補助 |
車前子 | 利水 |
木通 | 利水 |
沢瀉 | 不要な水と熱を去る |
当帰 | 補血、温性 |
地黄 | 補血 涼性 当帰同様傷陰を防ぐ、清熱効果もある |
甘草 | 消炎 諸薬の調和 |
肝の熱を清め、気をめぐらす竜胆がメイン生薬です。
全体的に清熱、利水の組合わせの生薬構成で上部の熱と下部の湿熱を取り去ります。
地黄と当帰は体が乾燥しすぎないように補助的な意味合いで構成されていると考えられています。
とはいえ、補うことがメインの漢方薬ではないので長期連用には注意しましょう!
ちなみに…
竜胆瀉肝湯は同名でも構成生薬が異なるものが存在します。
今回は薬局製剤に採用されている薛氏十六種の竜胆瀉肝湯で解説していますが、一貫堂の竜胆瀉肝湯で作っているメーカーもあります。
一貫堂の竜胆瀉肝湯は温清飲がベースで解毒体質というタイプの体質改善(主に成人)につかいます。
当帰、地黄、黄芩、木通、沢瀉、車前子、竜胆、山梔子、甘草、芍薬、川芎、黄連、黄柏、連翹、浜防風、薄荷の十六味
今回の竜胆瀉肝湯はより急性期の症状に使うのに対して一貫堂の竜胆瀉肝湯は温清飲がベースのため緩和で長期処方に向いた構成になっています。
自身の症状にあったものを選びましょう。
個人的には膀胱炎に使うなら薛氏十六種の方が良く効くと思っています。
よく使う症状
体力中等度以上で、下腹部に熱感や痛みがあるものの次の諸症:排尿痛、残尿感、尿のにごり、こしけ(おりもの)、頻尿
薬局製剤指針より引用
排尿痛、残尿感、尿のにごり
一番使われる症状がこちら。
いわゆる「膀胱炎」の症状がによく使います。
竜胆や黄芩、山梔子などの清熱解毒薬を含むので熱が少し中に入り込んだ状態で使います。
似たような症状に使う漢方薬では猪苓湯(ちょれいとう)も有名です。
竜胆瀉肝湯のほうがより炎症が強い時、化膿性の時に有効です。
帯下(おりもの)
特に黄色くべたべたした帯下(おりもの)が出るタイプによく使います。
透明な帯下が大量に出るのは体が冷えている可能性があるので竜胆瀉肝湯は向かないので注意が必要です。
イライラ・不眠
※参考までに!適応外なので専門家の指示に従って使用しましょう。
竜胆瀉肝湯は肝の実熱をとる漢方薬。
長期のストレスなどで肝の疏泄機能が低下し気が滞り火がついた状態(肝火上炎)に有効です。
肝火上炎になると
体が火照る、イライラ、激怒、激しい頭痛、耳鳴り、難聴、めまい、眼の充血、不眠などの症状が起こります。
加味逍遙散も同じような時に使いますが、竜胆瀉肝湯よりも熱症状やイライラが激しいときに使います。
注意すべき点
冷やす漢方薬
竜胆瀉肝湯は清熱、苦味の生薬が主となる漢方薬です。
胃腸が弱い人、冷えやすい人は注意しましょう。
基本的には短期で使う漢方薬です。単独での長期連用は控えましょう。
特に膀胱炎が多い冬にダラダラ使うのは注意しましょうね。
補う漢方薬とのバランスを取りましょう。
大事なポイント:膀胱炎に使うけど「予防薬」ではない
竜胆瀉肝湯は膀胱炎に使える優秀な漢方薬ですが「予防薬」ではありません。
よく、お店には「竜胆瀉肝湯が膀胱炎に良く効いたから買いたい」という人が来ます。
私はそのような人に対して「必ず症状が出てから飲んでください」「予防的に飲まないで」と伝えます。
これまで解説してきた通り竜胆瀉肝湯は肝胆の湿と熱を取り去る苦寒薬。
症状がない人が服用すると体を冷やす恐れがあります。
膀胱炎の原因の一つは冷えや疲れによる免疫の低下。
漢方薬は大きく分けて補と瀉があります。
竜胆瀉肝湯は瀉の漢方薬です。自分の体からエネルギーまで瀉しないように注意しましょう!
まとめ
今回は膀胱炎で活躍する竜胆瀉肝湯について解説してきました。
よく膀胱炎になる人は覚えておくと便利です。
今回の内容を簡単にまとめると
竜胆瀉肝湯は肝胆の湿と熱を取り去る漢方薬
【よく使う症状】
- 排尿痛、残尿感、尿のにごり
- 帯下(おりもの)
- イライラ・不眠(応用)
【注意すべき点】
- 体を冷やす漢方薬
- 膀胱炎の予防薬にはならない
なんだか気持ちも楽になったかも?
きちんとトイレに行く時間も作らないとね!ストレスもおしっこも溜めるのダメ!