みなさんこんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
春は気温も上がってきて過ごしやすい陽気の日が増えますね。
「春が待ち遠しい」という言葉もよく聞きます。
そんな春は意外と不調が多い季節でもあります。
「春バテ」という言葉を知っていますか?
春が少し経過したときに出る体調不良の総称です。
「春は草木が芽生える季節」=「病も芽生える季節」でもあります。
漢方薬局も大いににぎわっております(笑)
今回はそんな春に多い相談「春バテ」について解説していきます。
- 新生活を迎える
- 春先いつも体調が悪い
- なんだがイライラする
春バテとは?
「春バテ」とは春に起こりやすい体調不良の総称で
- なんだか体がだるい
- イライラする
- 睡眠の質が悪い
- 胃腸障害
具体的にはこの様な症状を指します。
まさにコレ!
そして、この春バテは、
「検査の結果は問題ない」
「病院に行くほどではない」
この様な理由で放置しがちです。
しかし、キチン治療をしておかないと悪化するおそれがありますよ。
漢方相談はこのような未病(みびょう)と呼ばれる状態へのアプローチが得意です。
春に上記のような症状でお悩みの方は、お近くの漢方薬局に相談してみましょう。
春バテの原因①気候の変動
春は陰から陽に移り変わる季節。
気温、気圧、生活環境など変化が多い季節です。
最近は一日ごとに天候が変動しています。
これらの大きい変化は自律神経を乱し不調の原因につながります。
自律神経とは自分の意志とは関係なく自律的(他の支配を受けない)に働く神経。
内臓の機能、呼吸、消化吸収、精神活動など生命活動をコントロールしている神経です。
自律神経が乱れるのが「自律神経失調症」です。
寒暖差
寒暖差は体に負担がかかります。
体内で体温を調整しているのが自律神経。
寒暖差が大きいと自律神経は頻繁に働きます。
多少であれば対応できますが高頻度で大きい寒暖差があると自律神経が乱れやすくなります。
最近は朝晩の寒暖差が10℃なんて日もありますよね。
服装や室温などで上手に気温をコントロールしてあげましょう。
春先の女性はスーツを着る機会が増えます。
女性のスーツは冷えに重要な足首が露出しがちです!
- 女性に大事なツボが多い
- 脂肪が少なく血管が近い
- 冷えの邪気は下半身を襲う
足首は冷えが入り込みやすい部分です。
足湯やレッグウォーマーなどを活用して疲れ、冷え対策してみてはいかがですか?
気圧の乱高下
大きな気圧の変化も自律神経の乱れる原因になります。
人間の体はほとんどが水分で、気圧が変動すれば体へ圧力が大きく変化します。
【高気圧と低気圧の体への影響】
- 高気圧(交感神経が優位になる):体への圧力が上がる、血管が収縮、興奮気味、胃腸の動きが緩慢になる など
- 低気圧(副交感神経が優位になる):体への圧力が下がる、血管が拡張、リラックスしたい、胃腸の動きが活発になる など
気圧が下がって「体はリラックスモード(副交感神経が優位)」なのに、緊張やストレスが強いと「あべこべ状態」になり、体への負担がとても大きくなります。
- 湯船に使って緊張を解く
- 消化の良い食事を摂る
- 早めに寝る
- 無理しない(重要)
このように気温や気圧は自律神経のスイッチをオンオフの働きがあります。
スイッチを『強い力でガチャガチャとオンオフ交互に押したら』どうなると思います?
「壊れちゃいますよね?」
低気圧の時は「体がリラックスモード」のことを理解して「無理をしない」をテーマにしましょう。
カフェインたっぷりのエナジードリンクで無理やり体を戦わせると「あべこべ状態」が拡大します。
逆に気圧の上昇局面は体は「戦うモード」。
仕事もバリバリで結果を残したい、多少のストレスもへっちゃらになりやすいですが、リラックスしにくくなります。
疲れを感じにくいためブレーキをかけるのが遅くなりがちです。
気圧の変動で体調が悪くなる人はチェックしてみましょう。
「天気が悪い=体調が悪い」このような認知の歪みを作らないようにもしましょう。
春バテの原因②生活環境の変化
春は新生活が始まり、新しい出会いがある季節です。
新しい環境は体に負担がかかるものです。
始めは気を張っているため不調が表面に出てはきませんが、時間が立つと体調不良を訴える人が増えます。
スタートダッシュは大事ですがしっかりブレーキかけるように意識しましょうね。
春バテの原因③環境になれたくらいに大きな連休
春休み→緊張の新生活→GWでダラダラ→激務
心身の負担がジェットコースター状態ですね。
ゴールデンウィーク明けの体調不良は多いです。
五月病もこのくらいから出始める印象です。
月曜日に多いブルーマンデー症候群の強化バージョンが襲来します。
平日にもリラックスタイムを多くしたり、休日(GW)もダラダラしすぎないことが予防になります。
ダラダラ防止のためにもレッツ運動!(気持ち良い程度)
中医学では春バテをどう考えるの?
中医学では春は五臓の肝が敏感になるとされています。
- 新生活の疲れ
- 寒暖差
- ストレス
- 肉体的な疲労
ここに春の不養生が重なると肝の機能異常が起き「春バテ」に繋がると考えます。
中医学の肝は「将軍の官」と呼ばれ、病邪より体を守る思慮や謀略をつかさどっています。
思考や情緒にも深く関係しており、不調になるとイライラや憂鬱感が現れます。
これがいわゆる「五月病」と呼ばれる状態だと考えることが出来ます。
では中医学の「肝」の機能を解説していくよ!
肝の機能①疏泄(そせつ)作用
中医学で「肝」は
全身の気をコントロールし精神を安定させる機能をしています。
春は「肝」が敏感になりやすい時期です。
「肝」過敏になり過ぎると、全身に気血が巡らなくなり
- イライラ
- 体のだるさ
- 胃腸の不具合
この様な症状が出やすくなってしまいます。
胃腸の機能は肝の疏泄作用で正常に動いています。
春は肝に負担がかかり胃腸の調子が悪くなる人が多くなります。
治療法としては「疏肝」という方法を使います。
この「疏」という漢字は「とおす・とおる・通じる」という意味をがあり、「疏肝」とは「肝の気を上手に通す」作用の事を指します。
漢方薬を服用することも良いですが、
- 発声する
- 運動する
- 香り高い食材を食べる
これらの「動かす」養生を積極的に取り入れていきましょう。
「滞り」に対しては「動かす」が大事ですよ。
肝の機能②蔵血(ぞうけつ)作用
西洋医学の肝臓と近い作用です。
肝臓も蛋白の合成・栄養の貯蔵をしています。
中医学の肝は「蔵血作用」血を貯蔵する機能があるとされます。
西洋医学で血液(けつえき)が足りなくなると貧血になり「めまい」や「立ちくらみ」の原因になります。
中医学の「血(けつ)」は血液と同じ栄養作用のほかに精神安定物質としての特徴があります。
そのため、肝が疲れてくると「蔵血作用」低下すると、
- 貧血症状
- 精神不安定
- 不眠
この様な「血液不足+メンタル」の症状が出やすいです。
春にモヤモヤ、不安感が強い人は血の不足「血虚(けっきょ)」かもしれませんよ。
食事では鶏肉や卵、レバーなど動物性のタンパク質を積極的に食べていきたいところです。
黒い食材や赤い食材も血を補うとされます。
血虚の人は特に睡眠不足には注意しましょう!
血は作るの寝ている間に作られるとされます。
- 睡眠不足で血虚になる
- 血虚になると睡眠の質が低下する
- メンタルが落ち仕事の効率が悪く帰りも遅い ①に戻る
このような悪い流れの人とても多いですよ。
「春眠暁を覚えず」
春に眠いのは体が求めているからかも?
春はしっかり睡眠を取るようにしましょうね。
睡眠の質も悪いわ!
肝の不具合は女性に出やすい
女性は春に体調不良になりがちです!
中医学では女性は「肝に先天する」と言われ、肝の機能異常の影響を受けやすいです。
これは女性特有の月経が気血の巡りをコントロールする肝によって支配されているためと考えられています。
そのため肝が敏感になる春は女性にとって不調が多い季節です。
- 男性よりも筋肉が少なく冷え(寒暖差)に弱い
- 月経前は気血が滞りやすい
- 月経で血を失う
不調になりそうな要因がゴロゴロありますね。
軽い運動やストレッチで気血を巡らす。
なるべくストレスをためないようにし、睡眠時間を確保し「血」の消耗を抑えるようにしましょう。
まとめ
春は寒暖差、新しい生活で自律神経が乱れやすく『春バテ』と呼ばれる症状が出やすいです。
春バテについて簡単にまとめると
「春バテ」とは春に起こりやすい体調不良の総称
- 中医学では春の臓器『肝』の機能異常が原因の一つ
- 変化の多い春は自律神経が乱れやすい
- 春バテは女性に多い
よくわかる気がするわ。
まぁ青さんは年中イライラしてるけど(笑)