太る前の体重にもどったよ。
頑張ったかいがあったね。
この勢いでもっともっと落とすぞ!
適正体重よりも体重を落とすことは健康的にまずいこともあるよ!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方相談をしていると
「痩せたい!」
「痩せた方が良い」
こんな人たちがたくさん来ます!
実際問題、痩せたほうが良い人多いです。(ボソッ
ただ、
特に女性に多いのですが「これ以上痩せたら体調崩しちゃうよ!」と思わせる様な人も多いです。
以前、ダイエットをしなければならない人たちのお話をしました。
今回は逆パターン。
「痩せの問題:過度なダイエットにご注意」という内容で解説してきます。
- これからダイエットする
- もっと痩せたい!
- 体重と共に体調も落ちてきた
これ以上ダイエットをしてはいけない人とは?
これ以上ダイエットが必要ない人はいます。
1つの目安がBMI18.5以下になることです。
BMI18.5以下というのは日本肥満学会の判定基準では低体重(痩せ型)に分類されます。
※ちなみに25〜30未で肥満(1度)です。
BMI = 体重kg ÷ (身長m)2
例:身長158センチ 体重46キロ以下
問診票を書いてもらうとこれくらいの体重の人多いです。
特に多いのが若い女性!
テレビやSNSで活躍するモデルさんやアイドルと憧れて、今でも細いのにさらにダイエットをしようとする人を漢方相談の現場でよく目にします。
厚生労働省は『健康日本21』のなかで肥満の増加に警鐘を鳴らす一方で、
「若い女性のやせ」が著しく増加しているのを指摘しています。
実際、20代女性のBMI18.5以下の割合は1977年は14.2%に対して2010年では28%まで増加しているそうです。
また、10代の女性の痩せへの憧れも強くなっている傾向で、女子中高生の約8割以上で「痩せ」への願望があり、小学生高学年でも約4割にも「痩せ」への願望があるそうです。
流石にちょっと危険な気がするね!
過度の痩せに伴うリスク
過度に痩せている状態は「燃料が少ない状態」
心身に対するリスクを伴います。
具体的には
- 貧血
- 疲労倦怠感
- 生理不順
- 骨粗しょう症
- 摂食障害
この様な症状が出ることがあります。
軽重はありますが体重が落ちるにはリスクが伴うと考えられます。
生まれてからずっと痩せている体質の人もいますが、後発的に「太れなく」なる方もいます。
後発的に太れなくなる人に多いのが、
「ダイエットの失敗」
「過剰なダイエット」
このダイエット関連で痩せすぎている人は前述通り圧倒的に女性に多いです。
そして、大体の人は生理不順・無月経や強い冷えを訴えます。
生理は子供を産むために起きています。
自分の生命エネルギーに余裕がなければ正常に起こらなくなります。
女性はダイエット中に生理が乱れ始めたらやり方を変えるポイントだと思った方が良いです。
そのまま、生理不順を放置しておくと不妊などの原因にもなりかねません。
一番怖いのは過度なダイエットによる拒食症。
正式には「神経性食欲不振症」という名前が付いた病気です。
これは無理なダイエットを続けた結果
- 食べることへの恐怖感
- 胃腸が食べ物を受け付けない
「食事をすると吐いてしまう」「食欲もわかない」のような心身の不調になってしまいます。
私は実際の現場で拒食症の相談を受けたことありますが非常に厄介です。
よっぽどのことがない限りダイエットなんて必要ないですよ!
中医学的に痩せすぎとは?
体重を落とす以上に体重を増やすのは難しいです。
漢方薬局に勤めていても「太ることができない」という相談は来ます。
「贅沢な悩み」と感じるかも知れませんが、
- 風邪をひきやすい
- 体力がない
- 肌・髪・爪に色つやがない
多くの人はエネルギー不足が影響するのでツライ症状を伴います。
中医学ではこれらを消痩(しょうそう)と言います。
【消痩=筋肉が痩せて体重が異常に落ちること】
中医学でも決して「通常体重よりも痩せる」という意味ではないことは覚えておきましょう。
原因は大きく分けて2つ
- 虚証→気虚・気血両虚・肺気虚など
- 実症→熱症(胃熱・肝火など)
虚証タイプ
中医学の虚証とは「体に必要な物(気血など)が足りない」状態です。
今回、取り上げる痩せの問題はこのタイプがとても多いです。
脾胃の虚弱
【今回1番注意したいポイント!】
脾胃(≒胃腸)の虚弱
脾胃(胃腸)の気が虚してしまい飲食物に対しての消化吸収・食欲が低下してしまう状態です。(脾気虚)
気は機能なので「食欲不振」「疲労感」に関係します。
先天的に胃腸が弱い場合もあります。
後天的には暴飲暴食など非違に負担をかけても起こりますが、食べないダイエット、ストレスや過労や栄養不良からも発展します。
脾胃が弱り体のエネルギーである気が作られないと、
- 疲労倦怠感
- 集中力の低下
- さらに食欲の低下
この様な症状が出やすくなります。
ダイエット中に気虚の症状が出始めたら脾胃が弱っていて黄色信号です。
ダイエット法や食生活の見直しが必須になってきます。
このタイプは1回の食事量を少なくこまめに食べることが大事です。
食事回数を増やして胃腸のキャパを超えないようにしましょう。
当然、よく噛むことは必須ですよ。
「食べる=太る」
という簡単な図式ではなく「食べる→消化する→身になる」という流れを大事にしましょう。
基本は糖質、タンパク質、脂質をバランスよくとることですが、消化の良いタンパク質を多めにとれるように心がけましょう。
豆腐屋やツナ缶、使い方によってはプロテインも良いアイテムです。
どんないい漢方薬を服用しても胃腸が上手に消化吸収してくれないと無駄になってしまいます。
気血両虚
気も血(けつ)も両方足りない状態です。
血は物質(気は機能)なので虚すると
- 皮膚がカサつく
- 筋肉がやせ細る
- 髪がもろくなる
- 爪が割れる
目に見える部分が脆く、弱々しくなります。
脾胃の虚から発展することもありますが、出産や大病でも起こります。
大病、出産などは大量の気血を消耗します。
中医学の血(けつ)は「精神を安定させる物質」という側面があります。
血が足りないと不眠や精神不安の症状も出やすいです。
特に女性は「女性は血をもって本と為す」と言われます。
女性は生理や出産で血を失いやすいので常に意識したいところです。
拒食症に女性が多いのも血の不足と考えています。
このタイプは気血を両方補う漢方薬が適していますよ。
肺陰虚
咳症状が長引いて肺の津液、陰(体液)が消耗する状態です。
長引く咳で五臓の肺がダメージがうけ、乾燥と熱がこもり肺を傷害すると起こります。
病後に多いタイプで乾燥した咳、痰が少ない、痰に咳が混じります。
他にも寝汗、五心煩熱(四肢と体の幹のほてり)など陰虚の症状がでます。
【咳はカロリーを使う】
咳は1回するごとに2Kcal消費すると言われています。
1分間に1回咳をしたとして
24(時間) × 60(分) = 1440Kcal
活動量の少ない成人女性が1日に必要カロリーが1400~2000kcalとされます。
風邪の時に疲れるのは熱での消耗に加えて咳の影響もありそうですね。
実証タイプ
実証とは「不要なもの(熱など)が入り込んだ」状態。
俗に言う「食べても太らない」タイプです。
体に不要な熱があると体は痩せていくと考えます。
この不要な熱が生まれる主な原因は、
- 胃熱→辛いもの、脂っこいもの過食
- 肝火→ストレス、睡眠不足
逆パターンで胃熱・肝火で過食で太るタイプもいるのであくまで一例です。
食べる割に痩せているけど、血液検査で肝機能や
胃熱
辛い物、熱い物、甘い物、脂っこい物の食べ過ぎで胃が火事の状態です。
熱が津液(体液)を消耗して発生します。
熱によって体の体液を失ってしまい消耗⇒痩せてしまう
胃熱は胃に熱をもっているためどんどん燃焼。
多食しても飢餓感(もっと食べたい)、津液が消耗しているので口渇があって冷たい物を食べたい。
その他にも胸やけ、口臭、便秘気味という症状が合わせて出ます。
肝火
情緒をコントロールする五臓の肝に火がついた状態です。
肝は木の性質。
「乾いた木は燃えやすい」
長期のストレス、睡眠不足などで体を潤し、癒やす「(肝)陰」が不足し火がつきやすい状態です。
イライラやふらつき、怒りっぽい特徴があります。
ちなみに
寄生虫が体内にいても痩せていくとされます。
腹痛をともなったり、異食症(石など飲食物出ないものを食べたがる)
この様な時は虫下しの漢方薬を服用します。
現代ではあまり無いと思います。(…だよね?)
拒食症に対して
瘦せすぎてる人の中には「食べたほうが健康になれる」と理解してる人もいます。
前述でも書いた「拒食症」の状態ですね。
- 太りたくない
- 太るのが怖い
この様な感情が勝ってしまい食べることを体が拒否してしまいます。
食欲を改善と不安感やイライラなどメンタルに対してもアプローチしていく必要があります。
- 脾胃の虚弱:食欲低下、気力不足
- 血の不足:正常な判断ができない、見た目の衰え
軽い症状なら脾胃とメンタルに働きかける漢方薬が有効です。
ただ、重い症状の場合は必ず西洋医学の力をかりることも検討しましょう。
その手前でも精神不安やイライラなどメンタルに影響出てきたら黄色信号。
ダイエットの方法の見直しが必要です!
~拒食症の相談経験~
主訴:拒食症 体重減少
10代 大学生 女性(両親と一緒の来店)
- 食事をしてくれない(ご両親の談)
- 食べると吐いてしまう
- 話してくれない
- 舌を見せてくれない
- 細身で目の力が弱い
- 髪のパサつき
- 肌の色つやなさ
人に『太っている』と言われてとにかく食べないダイエットを開始。
ダイエットの事で親子関係の悪化で会話がなくなる
ご両親の強い希望で漢方相談(病院にも行きたくない)
無理やり連れてこられたので私とも話してくれない(汗)
始め脾胃の力をつける漢方薬を大人の半量で出すが吐いてしまう。
⇒小建中湯をごく少量(小学生低学年くらいの量)で少し改善(ご両親談)
⇒2、3か月後に強引にでも病院にいくとのことで休薬
数年前の相談です。
脾胃の虚弱感とメンタル疾患からみがとても強く印象に残る相談でした。
まとめ
太りすぎも問題ですが、痩せすぎというのも問題です。
中医学では「中庸(ちゅうよう)」という言葉をよく使います。
真ん中の状態、バランスが取れている事が良いとされます。
痩せ、肥満はどちらもバランスが崩れている状態で体には負担がかかります!
適正体重(中庸)を目指すように心がけましょうね!
今回の内容をまとめると
過度な痩せすぎは心身に負担がかかる
最悪の場合は拒食症などの重大な病気になる可能性がある。
【これが出たらダイエット方法を検討する】
- 疲労倦怠感
- 集中力の低下
- 食欲低下
- 精神不安
- イライラ
- 不眠
痩せすぎも問題なんだね!
最近の女の子とか見てて不安になるもんね。
少しお肉がついてる位がちょうどよいよ!
健康的な方が可愛いよね。
私の事?(お菓子片手に)