だから先ずは「自分がなんで肥満なのか?」を知ることが大事だよ。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
健康診断の内容にこう書かれていませんか?
「痩せましょう!」
「肥満気味」
最近は生活習慣やライフスタイルの変化などで在宅勤務やテレワークなどが多くなっていますね。
現代人にとっての強制的な運動の出勤すらなくなってしまい「家から一歩も出ないで一日が終わる」
こんなことが多いのではないでしょうか?
そして、運動不足が引き起こすのが肥満ですよね。
テレワークだと食べ物が近くにあったり、人の目も気にならず食生活も乱れがち。
漢方薬局には肥満の相談も多いです。
以前の記事でダイエットにおける漢方薬の活用法を解説しました。
今回はこの続き。
中医学的【肥満の分類】を解説していこうかと思います。
- ダイエットをしている
- 漢方ダイエットで失敗した
- 肥満+不調がある
中医学の肥満とは
中医学では「中庸(ちゅうよう)」と言いバランスの取れた適切な状態を良しとしています。
太っていて体調が不調な人が治療の対象ですが、現代人(特に女性)は「痩せの問題」もあります。
痩せている人が美容目的などでさらに体重を減らすためにダイエットを行うと、不調を引き起こすことがあります。ダイエットは体重を落として「健康的な体を目指す」という目的で行うべきです。
この中で漢方薬はあくまで食事や運動のサポート的な役割を果たします。
痩せの問題についてはこちらの記事で
中医学的な肥満の分類
中医学的には肥満にも「虚」と「実」分類があります。
※虚=必要なものが足りない 実=不要なものが溜まる
この分類を見誤ると肥満の改善どころか体調が悪化する可能性があります。
例えば、有名な漢方薬である防風通聖散は、「実」に対する漢方薬です。つまり、体内に実際に余分な物質が溜まっている状態に適しています。
痰湿
肥満の原因の1つは痰湿です。
痰湿は体内の不要な水分や代謝物が凝縮したものを指し、潤いが過剰になった状態を指します。
これは実証の水太りです。
このタイプの肥満は食事の欧米化(肉や小麦)や油っこい食べ物の摂取、消化不良などが原因となります。
暴飲暴食や肥甘厚味(脂っこい、甘い、味の濃い)な食事を摂り過ぎることは、痰湿を増悪因子です。
肥満と同時に胸がつかえる感じや体が重ダルい、痰が多いという症状が現れることがあります。
舌はむくみ、舌苔は厚くべっとりとしていることが多いです
痰湿を改善するためには漢方薬も大事ですが、甘い食べ物や脂っこい食べ物を控えめにし、繊維質の多い野菜を中心に食事を摂る、暴飲暴食を避ける工夫が必要になります。
まずは、暴飲暴食を避ける意味でもよく噛んで食べることを心がけましょう。
胃熱
胃熱とは、胃が過剰な熱を持ち消化の促進が過剰な状態を指します。
この状態では、すぐに空腹感が現れ、食べ過ぎてしまうことが多いです。
胃熱の肥満は、普段からアルコールや味の濃い食事を好む人によく見られます。
舌の苔が黄色くなり、胃の不快感やムカムカ感、口内炎、口臭や体臭が気になることがあります。
胃熱を緩和するためには夏野菜や緑茶など体の熱を取る性質の食べ物を積極的に摂ると良いです。
瘀血
瘀血(おけつ)とは血流が悪くなることで生じる病理産物です。
血流が悪くなると、脂肪の燃焼が低下し代謝が悪化します。
その結果、体内に余分な脂肪が蓄積され、肥満が引き起こされる可能性があります。
また、瘀血の状態では肩こりや頭痛、シミやアザができやすくなることがあります。
ストレスや運動不足も瘀血を悪化させる原因となります。
瘀血には気のめぐりも関係しているため、ストレス管理も重要です。
瘀血を改善するためには、漢方薬の使用や、有酸素運動、ゆっくり入浴などを組み合わせることが有効です。
冷えは瘀血を助長するので(寒凝血瘀)冷え体質の人は対策を取るようにしましょうね。
気虚
気虚(ききょ)とは、体の活力である「気」が不足している状態を指します。
疲労や飲食の不摂生などにより、脾胃(≒胃腸)の機能が低下し、気を生成する力が弱まります。
気虚の肥満は外見上は太って見えますが、実際には筋肉量が少なく気が虚弱な状態にあります。
この形(肉体)は余裕があるが気が不足してる状態を【形盛気虚】と言います。
このタイプには、下剤のような漢方薬(例:防風通聖散)を使用すると、胃腸の機能がさらに低下する可能性があるので注意が必要です。
気虚の症状としては、息切れや疲れやすさ、気力や体力の低下、暑くないのに多く汗をかくなどが挙げられます。
また、胃腸の機能が弱く水分代謝が悪いため、むくみなども起こりやすいです。
このタイプは「虚証の水太り」
「脾は運化を主る」と言われ胃腸は水分代謝の入り口です。
気虚のタイプは水分代謝が落ちる傾向にあります。
ここで活躍するのが防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)などの漢方薬。
「体質にあった胃腸を強くする漢方薬+消化の良い食事」が有効です。
体を強くするためにも適度な運動で筋肉をつけることも重要です。
ただし、急激な運動を始めると気虚が進行してしまう可能性があります。
まとめ
今回は中医学的な肥満の分類と対策について解説しました。
肥満の原因や体質は多岐にわたり、個人によって異なります。
症状や要因が複合的に絡み合うこともあり、例えば「気虚」と「痰湿」の組み合わせなども見られます。
自分で判断しにくい人は専門家の判断を仰ぎましょうね。
今回の内容をまとめると
肥満って言っても色々あるのね。
だから自分の体質にあったものを飲まないと体調が悪くなるんだよ!
本当にダイエットする気持ちある?