お疲れなのかな?
それなら桂枝加竜骨牡蛎湯なんかいいかもね。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「心身一如」体と心は繋がっています。
体が疲れてくると心も疲れてきます。(逆もしかり)
長期の過労がメンタル疾患に悪影響なことは研究でもわかっています。
そんな時に使う漢方薬の1つが「桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)」です。
最近、某有名漢方薬メーカーで欠品が相次いでいました。(みんな心身がお疲れ?)
今回は心身のお疲れにオススメの漢方薬「桂枝加竜骨牡蛎湯」について解説していきます。
- 神経が過敏
- 睡眠の質が悪い
- お疲れ気味
桂枝加竜骨牡蛎湯ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
疲れて神経過敏な人に使う漢方薬です。
体の陰陽が虚して、
- 小さなことが気になって落ち着かない
- ちょっとしたことで興奮する
このようなエネルギー不足で脳の閾値が下がり神経過敏になっている人に使います。
出典の金匱要略には
精液が漏れるのが癖になっている人は、へその斜め下(少腹)が引きつり、陰茎の先が冷たく、眩暈して髪が抜ける、脈が極めて弱く未消化の下痢があるなら失精による血虚であるとし、脈が動きがあり、やや緊脈であれば男子は失精(夢精),女子は夢交(夢の中性交)である。桂枝加竜骨牡蛎湯がよい。
※超意訳
「精液が漏れる」というのは脾胃、腎が冷え(脾腎の陽虚)によって固摂機能が低下。
精液を留めることが出来ない状態です。
慢性的な疲労や睡眠不足でエネルギー不足し温める力が低下しています。
実際は冷えてるけど上半身は陽気が押し出される→興奮、動悸、脱毛、不眠
刺激に対する脳の閾値が下がる(脳が敏感)ので神経過敏が起こりやすくなります。。
下半身は足腰がだるくなり、腹部の動悸、陰茎部の冷え、尿漏れ、おねしょ(夜尿症)などの症状が出るときに有効な漢方薬です。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
桂枝 | (衛)陽を補う 表を固める |
生姜 | 桂枝を補助 |
芍薬 | 不要な汗を止める (営)陰を補う |
大棗 | 芍薬を補助 |
甘草 | 胃腸を整え 虚に対抗する |
竜骨 | 安神 肝陽上亢を鎮める(平肝潜陽)固渋 |
牡蛎 | 安神 肝陽上亢を鎮める(益陰潜陽)固渋 |
桂枝湯に竜骨と牡蛎を加えた構成です。
桂枝湯は風邪薬(かぜくすり)としての一面と気血を補い陰陽を調整する一面があります。
営気と衛気を調和させる(調和営衛)
竜骨は哺乳類の化石、牡蛎はカキの殻です。
竜骨と牡蛎の組み合わせで安神(気持ちを落ち着かせる)と陽気がフワフワ浮くのを抑える効果があります。
どちら固渋作用があり体液の漏れを防ぎ夜尿や寝汗、精液の漏れなどに対応しています。
組み合わせることで作用が強化されます
よく使う症状
体力中等度以下で,疲れやすく,神経過敏で,興奮しやすいものの次の諸症:神経質,不眠症,小児夜泣き,夜尿症,眼精疲労,神経症 厚生労働省 薬局製剤指針より引用
桂枝湯がベースというのが大事なポイントです。
興奮しやすい 神経質
これは体が弱って脳の閾値が下がっている状態です。
要は疲れて(脳)体が敏感になっている状態です。
疲れてくると体は自分を守ろうと敏感になります。
ストレスや疲れが積み重なり体が疲弊した人の神経症に有効です。
不眠
眠りが浅い、夢見が悪いという時によく使います。
脳が興奮して睡眠の質が低下している状態です。
小児の夜尿症、夜泣き
子供は陰陽ともに未発達です。
桂枝湯で陰陽を整え竜骨+牡蛎で固渋するので夜尿症(おねしょ)に応用します。
同じ理由で子どもは神経が高ぶりやすいです。
夜は陰の時間、陰が陽を抑えれないと陽気が上り興奮し夜泣きがおこります。
子供が夜尿症するのはある意味し方のない事です。
これに対して過度に怒ってしまうと更に神経が高ぶり逆効果のこともがあります。
夜泣きや夜尿症は親の感情が原因ともいわれています。
抑肝散と同じで親も一緒に桂枝加竜骨牡蛎湯を飲むと良い場合もあります。(母子同服)
注意すべき点
胃腸の負担も少なく、比較的に使いやすい処方ですが注意点もあります。
イライラが強い人は柴胡剤
「絶対ダメ!」というわけではないですが、
ストレスが強い場合は気を巡らす漢方薬の方が向いています。
特に体格がしっかりしていてイライラが強いタイプの人には向かないと思います。
陰も陽も充実している人には補うと逆効果のこともあります。
四逆散や柴胡加竜骨牡蛎湯のような処方を検討しましょう。
中高年の腎虚には別処方
夜間尿や疲れなどは中高年の腎虚でも起こり得ます。
- 足腰が重だるい
- 日中も頻尿
- 性機能の減退
- 息切れ
これらの症状が顕著な場合は八味丸などを検討しましょう。
まとめ
「疲れ+ストレス」社会の現代にとってとても便利な漢方薬「桂枝加竜骨牡蛎湯」について解説していきました。
今回の内容をまとめると
桂枝加竜骨牡蛎湯は体が弱って神経過敏の人に有効な漢方薬
【よく使う症状】
- 興奮、神経過敏
- 不眠症
- 夜泣き、夜尿症
【注意すべき点】
- イライラが強い人は気を巡らす漢方の方が良い場合がある
でも、体が虚してる状態だから無理はだめだよ。
桂枝加竜骨牡蛎湯を飲んで早めに寝るようにします。