茵蔯五苓散とは?二日酔い・むくみと五苓散との違いを漢方薬剤師が解説

またですか??
なにか作ってくれ!
頭がまったく回らんぞ!
何を飲んだんですか??
状態によっては茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)が選択肢になりますよ!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)」という漢方薬を知っていますか?
五苓散は知っていても、茵蔯五苓散はあまり聞いたことがないという人も多いかもしれません。
名前の通り、茵蔯五苓散は「五苓散」に「茵蔯蒿(いんちんこう)」を加えた処方です。
一般用漢方製剤では、
- 嘔吐
- じんましん
- 二日酔
- むくみ
などに用いられます。
特に「のどが渇く」「尿量が少ない」といった五苓散にもみられる水分代謝の乱れがポイントになります。
そこで今回は、水分の偏りに「湿熱」の要素が加わったときに使われる茵蔯五苓散について解説します。
- 茵蔯五苓散がどんな漢方薬か知りたい人
- 二日酔いに使われる漢方薬を知りたい人
- 五苓散との違いを知りたい人
茵蔯五苓散ってどんな漢方薬?


茵蔯五苓散は、一般用漢方製剤では、
「体力中等度以上をめやすとして、のどが渇いて、尿量が少ないもの」
の「嘔吐、じんましん、二日酔、むくみ」などに用いられる処方です。
中医学的に考えると、
体内の水分代謝を整えながら、「湿熱(しつねつ)」を取り除く処方
と考えると理解しやすいでしょう。
「湿熱」とは、体に余分な水分である「湿」と、余分な「熱」が組み合わさった状態です。
ただし、お酒を飲む人なら誰にでも茵蔯五苓散が合うというわけではありませんよ。
出典は『金匱要略(きんきようりゃく)』。
古典には、
「黄疸病、茵蔯五苓散之を主る」
という趣旨の記載があります。
ただし、現代では「黄疸だから茵蔯五苓散」という単純な使い方をするものではありません。
黄疸がみられる場合には肝臓や胆道などの病気が隠れている可能性があるため、自己判断で漢方薬を使用せず医療機関を受診することが重要です。
中医学的には、五苓散が適するような水分代謝の乱れに、湿熱の要素が加わった状態を考える処方です。
同じく茵蔯蒿を含む代表的な漢方薬に「茵蔯蒿湯(いんちんこうとう)」があります。
伝統的な使い分けでは、
【茵蔯蒿湯】
- 熱の要素が比較的強い
- 口渇や熱感などが目立つ
- 便秘傾向を伴うことがある
【茵蔯五苓散】
- 湿の要素が比較的強い
- のどが渇いて尿量が少ない
- むくみなど水分の偏りが目立つ
などを目安に考えます。
単純な「強い・弱い」ではなく、症状や体質に合わせて使い分けることが大切です。
構成生薬
| 生薬名 | 主な漢方的な働き |
|---|---|
| 茵蔯蒿 | 清熱利湿・退黄:湿熱を取り除く |
| 沢瀉 | 利水:水分代謝を促し、余分な水分をさばく |
| 猪苓 | 利水:水分代謝を促し、余分な水分をさばく |
| 白朮・茯苓 | 健脾・利水:脾胃を助けながら水分代謝を整える |
| 桂皮 | 陽気の働きを助け、水分代謝を整える |
実際に服用するときは、使用する製品の添付文書を確認してくださいね。
茵蔯五苓散を簡単に説明すると、
五苓散(ごれいさん)+茵蔯蒿(いんちんこう)
五苓散との大きな違いは「茵蔯蒿」が加わっていることです。
五苓散は体内の水分バランスを整える代表的な処方。
そこに、湿熱に用いられる茵蔯蒿が加わっています。
茵蔯蒿(いんちんこう)
キク科のカワラヨモギなどを基原とする生薬です。
【性味】苦・微寒
【帰経】脾・胃・肝・胆
中医学では「清熱利湿・退黄」などの働きがあると考えられ、湿熱による症状に用いられます。
つまり茵蔯五苓散は、五苓散が得意とする「水分の偏り」に、湿熱の要素が加わったときに考える処方です。
よく使う症状


体力中等度以上をめやすとして,のどが渇いて,尿量が少ないものの次の
諸症:嘔吐,じんましん,二日酔,むくみ厚生労働省 薬局製剤指針より引用
お酒が好き・二日酔い
茵蔯五苓散は、二日酔いに使われる漢方薬のひとつです。
中医学では、飲酒や暴飲暴食などによって「湿」と「熱」が体内にたまりやすくなると考えることがあります。
例えば、お酒を飲んだあとに、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- 体がむくんで重だるい
- 吐き気がする
- 舌苔が黄色く、べったりしている
などがみられる場合、中医学では「湿熱」の存在を考えることがあります。
特に、水分の偏りに加えて「熱」の要素もみられる二日酔いでは、茵蔯五苓散を考えるひとつの目安になります。
漢方的には、飲酒後の状態によって五苓散と茵蔯五苓散を使い分けることがあります。
例えば、むくみや尿量減少など「水分の偏り」が中心なら五苓散、そこに口渇や熱感、黄色くべったりした舌苔など「湿熱」の要素が加わる場合は茵蔯五苓散を検討します。
お酒の種類や飲み方によって現れやすい症状に違いはありますが、「ビールなら五苓散」「ウイスキーなら茵蔯五苓散」のように、お酒の種類やアルコール度数だけで判断するものではありません。
皮膚炎
茵蔯五苓散の効能・効果には「じんましん」も記載されています。
中医学では、湿と熱が皮膚に影響すると、赤みやかゆみなどの症状につながると考えることがあります。
そのため、
- じんましん
- 湿熱の関与が考えられる皮膚症状
などで茵蔯五苓散が検討されることがあります。
「じんましん=茵蔯五苓散」ではなく、症状や体質をみて処方を選ぶことが大切ですよ。
むくみ
茵蔯五苓散は、五苓散と同様に「むくみ」にも使われる処方です。
ポイントになるのは、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- むくみがある
- さらに湿熱を示す症状がみられる
といった状態です。
五苓散も茵蔯五苓散も水分代謝の乱れに使われますが、
五苓散は「水分の偏り」、茵蔯五苓散はそこに「湿熱」が加わっているか
という視点で考えると、違いがわかりやすくなります。
「むくみ=茵蔯五苓散」ではなく、水分の偏りや湿熱の有無をみながら使い分けることが大切です。
注意すべきタイプ


乾燥傾向の皮膚疾患に注意
茵蔯五苓散は、余分な湿をさばき、湿熱を取り除く方向に働く処方です。
そのため、乾燥傾向が強く、水分の停滞や湿熱がみられないタイプには合わない可能性があります。
特に、
- 皮膚の乾燥が強い
- 口や目の乾燥が目立つ
- 水分の停滞を示す症状がほとんどない
といった場合は、別の状態を考える必要があります。
また、茵蔯五苓散の効能・効果には「じんましん」が含まれますが、すべての皮膚症状に適しているわけではありません。
じんましんや皮膚症状が強い場合、長引く場合、呼吸苦や唇・舌・のどの腫れなどを伴う場合は、漢方薬だけで対処せず適切な医療機関を受診してください。
また、市販の茵蔯五苓散を使用する場合は、製品ごとの添付文書を確認し、治療中の方や妊娠中の方などは医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。
まとめ


茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)は、
五苓散に茵蔯蒿を加え、水分の偏りに「湿熱」の要素が加わった状態に使われる漢方薬です。
一般用漢方製剤では、のどが渇いて尿量が少ないことを目安として、二日酔い、むくみ、嘔吐、じんましんなどに用いられます。
使い方を簡単にまとめると、
【よく使われる症状】
- 二日酔い
- むくみ
- 嘔吐
- じんましん
【ポイント】
- のどが渇いて尿量が少ない
- 水分の偏りに湿熱を伴う
- 五苓散との違いは茵蔯蒿が加わっていること
【注意すべき点】
- 乾燥傾向が強いタイプには合わない可能性がある
- 二日酔いやむくみなら誰にでも適するわけではない
でも漢方薬があるからといって、飲みすぎていいわけではありませんよ!
まぁ当分、酒は飲まないぞい~












