あんまり正しく使われてないようにも思えますが‥
では、きちんとおさらいするとしようかな。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
今回は六君子湯(りっくんしとう)の紹介です。
病院などでも頻用される有名な漢方薬です。
主に胃腸の障害で使われますが、当然の如く「胃腸なら何でもOK」なんてものではありません。
正しく使わないと効果が薄いこともあります。
そこで今回は「日本の風土にあった胃腸の漢方薬!六君子湯」という内容で解説していきます。
- 胃腸の調子が悪い
- 湿気の時期に体調が悪い
- すでに六君子湯を飲んでいる
六君子湯ってどんな漢方薬?
![どういう漢方?](https://gen-kanpo.com/wp-content/uploads/2019/12/b49c63fa871a242672520014dcb31c99-640x360.jpg)
簡単に説明すると…
脾胃を不要な水分を排除しながら機能を改善する。
日本の風土に適した胃腸障害の漢方薬です。
日本はご存知の通り島国で湿度が高くなる国です。
胃腸を含む消化器を統括する「脾」は湿が苦手な臓。
高湿度が続くと「脾」が疲れ消化吸収の力が低下します。
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この季節になると消化不良や食欲不振を訴える方が多いです。
そのうえ、食生活の欧米化、冷たい飲食物の多食で体に痰飲(不要なベタベタ)が溜まりやすくなります。
胃腸が弱い体質(風土)+痰飲が溜まりやすい食生活
六君子湯が日本人にあっていると考えられる点です。
出典の万病回春には、
脾胃(≒胃腸)が虚弱、食べれる量が少ない、あるいは発熱悪寒を伴う下痢を患らい、もしくは体の内側に熱を覚え、消化不良や異常発酵、虚火(消耗による熱)に属するものを治す
※超意訳&短縮
この様なことが書かれています。
虚火と書かれていますが基本的には体を温める漢方薬です。
この熱は、
「消化吸収が低下でのエネルギー不足」
「胃腸の動きが悪いための滞り」
この様に考えられています。
漢方薬を勉強している人なら「四君子湯+二陳湯」と言った方がわかりやすいかもしれません。
- 二陳湯→痰飲の排除する基礎薬
- 四君子湯→胃腸の機能を整える基礎薬
四君子湯で脾胃の虚を改善。
体のエネルギーをちゃんと作れるようにします。
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二陳湯で飲食物などでたまった不要なベタベタを排除し四君子湯の作用を高めます。
二陳湯に含まれる半夏と陳皮はベクトルが下向きの生薬です。
胃の機能の一つ受納(受け取る)を改善することができます。
胃の気が上逆することで起こるゲップ(噯気)や逆流性食道炎などに応用されることが多いです。
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胃腸の虚弱による「便秘」などに応用する場合もあるんじゃよ。
※この場合は必ず専門家の指示を仰ぐ
逆流性食道炎=六君子湯
という診断を見かけますが個人的にはオススメしません。
体質に会っている方もいますが、合わない人もいます。
病名からより体質から判断すると良いです。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
人参 | 気を補い脾胃の力を高める |
白朮 | 補気と健脾燥湿 不要な湿気をさる |
茯苓 | 白朮とともに補気+燥湿 |
(炙)甘草 | 脾胃の調和 |
半夏 | 痰の排除と胃の受け入れ機能の正常化 |
陳皮 | 理気 半夏のサポート |
生姜 | 脾胃を温める 半夏の毒性を軽減 |
大棗 | 調和 脾胃を元気にする |
上記の通り四君子湯(人参、白朮、茯苓、甘草)と二陳湯(半夏、陳皮、茯苓)の合方と考えるとわかりやすいです。
この治療原則を【攻補兼施】と言います。
正気の不足と邪気の停滞が同時にある時の治療原則です。
その他にも六君子湯には小半夏加茯苓湯(半夏、茯苓、生姜)が隠れています。
小半夏加茯苓湯は「つわり、吐き気」に使われる処方です。
四君子湯よりも…
- 水のめぐりが悪い
- 胃の受け入れが悪い(食欲不振、ゲップなど)
これらが顕著の場合は六君子湯の方がオススメです。
「肥甘厚味(ひかんこうみ)」
- 肥:脂っぽいもの
- 甘:甘い物(糖質)
- 厚:味の濃いもの
これらの食事や冷たい飲食物を慢性的に好んで食べて胃腸が疲れてる人によいです。
また、生姜は炮姜(ほうきょう)の方が良いともされます。
炮姜は火を入れた生姜のことで体の深い部分を温めるとされます。
慢性的に冷える人には炮姜、吐き気が強い人は生姜としても良いかもしれませんね。
よく使う症状
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体力が中等度以下で,胃腸が弱く,食欲がなく,みぞおちがつかえ,疲れやすく,貧血性で手足が冷えやすいものの次の諸症:胃炎,胃腸虚弱,胃下垂,消化不良,食欲不振,胃痛,嘔吐 厚生労働省 薬局製剤指針より引用
四君子湯がベースになるので「日頃から胃腸が弱い」「疲れやすい」という前提があると良いです。
逆に急性期の食べ過ぎ、胃痛には他の処方の方が有効です。
脾胃が弱り、水のめぐりが悪くなっているので舌が腫れ上がっていたり、苔がベッタリしている人に向いています。
食欲不振、消化不良など
小半夏加茯苓湯が含まれる六君子湯は「胃の受け入れ機能」の改善が期待できます。
- 食べる量が少ない
- 食欲不振
- 吐き気
これらは「胃の受け入れ機能」が弱い人によく出る症状です。
特に湿度が高い時期に調子が悪くなるタイプに使いやすいです。
慢性的に胃弱
四君子湯がベースの漢方薬なので脾胃(消化器官)の回復に有効です。
「胃腸が冷えやすい」
「すぐ胃もたれしたり」
「湿気の時期に下痢してしまう」
こんな人によく使います。
胃腸の機能改善と不要な水の除去に活躍してくれます。
どちらにもアプローチできる六君子湯は便利じゃな!
四君子湯がベースなので慢性的な時に有効です。
併用しても良いです。
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注意すべき点
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日本人の体質にあっており、頻用される処方ですが注意点もあります。
燥湿性が高い
六君子湯は水をさばく生薬を多く含みます。
そのため乾燥させる力は強く「不要な水がない人」には向かないです。
冬時期など感想で悪化する症状には注意。
個人的には皮膚疾患のある人は気をつけます!
胃腸の実熱には不向き
六君子湯は温めるタイプの漢方薬になります。
胃の痛みが強い、ムカムカが強い「実熱タイプ」には不向きです。
ストレス、食べ過ぎや濃いお酒の飲みすぎなどで起こりやすいですね。
![](https://gen-kanpo.com/wp-content/uploads/2020/07/419d6b3e0c0852705128bfe8c6a39f6d-320x180.jpg)
まとめ
![](https://gen-kanpo.com/wp-content/uploads/2019/09/f3fde9416d5a7cd0f1f6896b067123c9-640x360.jpg)
病院などでも処方されること多い漢方薬「六君子湯」
上手に使えれば胃腸が弱い人の強い味方です。
ただ、合わないタイプもいるので注意が必要です。
今回の内容を簡単にまとめると
六君子湯は日本の風土、日本人の体質にあった脾胃の不調を改善する漢方薬
【よく使う症状】
- 食欲不振、消化不良
- 慢性的な胃腸の弱さ
【注意すべき点】
- 乾燥させる力は強い
- 実熱タイプの胃腸障害には向かなかい
酷い二日酔いにはあんまりです!