梅雨時期から夏はすぐこうなるんだ!
とりあえず平胃散が入った漢方薬を飲んでみたらどうかな?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
飲み会、夏休み、お正月など…
食べ過ぎちゃう時ってありますよね。
胃腸の働き落ちると食欲不振、悪化すると吐き気などに繋がってしまいます。
その時に活躍するのが「平胃散(へいいさん)」
ドラックストアなどでは見かけないですし、あまり単独で使うことはない(個人的に)ですが覚えておくと便利です。
今回はシンプルで使いやすい胃腸の漢方薬「平胃散」について解説していきます。
- 食べすぎてしまう
- 胃腸の漢方薬を知りたい
- 湿気が高い季節に調子が悪い
平胃散ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
気滞、食滞、湿を去り脾胃(≒胃腸)の動きを改善する漢方薬です。
もっと噛み砕いて説明すると急性期の胃腸障害に有効な漢方薬です。
特に「食べすぎ」「飲みすぎ」「湿気の季節」での胃腸障害によく使います。
出典は和剤局方で
脾胃の調子が悪く、食欲がない。胸、脇、心部が張り刺すように痛い、口が苦くて味がない
吐き気、悪心、呑酸、顔が黄色く、痩せて体が弱い、倦怠感、体が重だるいのを治す。
常に服用すれば気が調い、胃を温め、食事の滞りが解消し、不要な水も解消される。
【少し長いので短縮&超意訳】
この様な内容で書かれています。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
蒼朮 | 湿を取り除き脾胃の動きを改善 |
陳皮 | 気のめぐりを改善、湿の除去 蒼朮のサポート |
厚朴 | 気のめぐりとお腹の張りを改善 |
甘草・生姜・大棗 | 脾胃の調和 |
蒼朮がメインの生薬とされています。
元処方では蒼朮、厚朴、陳皮、甘草の4味のシンプルな処方です
蒼朮、厚朴、陳皮で滞った気と水をめぐらせる内容となっています。
元の処方では蒼朮ですがメーカーによっては白朮で作られています。
個人的には蒼朮の方が除湿作用が高いので平胃散には向いていると考えています。
体調に合わせて組み合わせる
平胃散には派生の漢方薬が多く
- 消化を高める生薬をプラス→加味平胃散
- 胃の気を動かす生薬を追加→香砂平胃散
- 利水の五苓散と合わせる→胃苓湯
ざっと並べるだけでもこれだけの処方があります。
構成生薬がシンプルなので他の処方と組み合わせて使うことも多いです。
よく使う症状
体力中等度以上で,胃がもたれて消化が悪く,ときにはきけ,食後に腹が
鳴って下痢の傾向のあるものの次の諸症:食べ過ぎによる胃のもたれ,
急・慢性胃炎,消化不良,食欲不振厚生労働省 薬局製剤指針より引用
日本人に合った処方
平胃散は湿を除き、脾胃の動きを改善する漢方薬です。
「胃腸が弱い+湿度が高い」という日本人と日本の風土に合っています。
また、最近は夏でも冷たい飲食物を好む人が多いので活躍する場面は多いように感じます。
厚朴、陳皮と理気の性質を生薬を含むのでストレス性の胃腸障害にも応用できます。
ストレスが多い現代日本人には活躍する漢方薬です。
胃もたれ・消化不良・食欲不振
メインで使う症状です。
食べすぎ、ストレス、湿気の季節などの急性期の胃腸障害によく使います。
前述の通り「温性」「理気剤」のため応用範囲は広いです。
注意すべき点
補剤は含まない
同じような効能効果で有名なのが「六君子湯」
こちらは人参が入り脾胃の虚がある場合に有効です。
平胃散も場合は脾胃の虚よりも実の時に有効です。
食べ過ぎや飲み過ぎなどの急性症状の方が得意な処方です。
組み合わせてもOKです。
六君子湯+平胃散なら急性、慢性の応用も広がります。
頼りすぎない
平胃散は切れ味もよく便利な処方なのですが、頼りすぎてはいけません!
例えば…
- 平胃散があるから食べすぎてもOK(他の胃薬も同様)
- 毎食後に楽になるから平胃散
平胃散はあくまで脾胃にある「不要なもの」を掃除する漢方薬。
他の部分で胃腸の改善をしているならOKですが、平胃散に頼り切ると胃腸の機能は逆に低下していきます。
「他の補剤と組み合わせる」「食生活を改善する」などと平行して使っていきましょう。
顕著な熱症状の場合は慎重に
平胃散は温性、燥湿の性質を持つ漢方薬です。
胃腸障害でも
- 胃酸過多が強い
- 舌が赤い、喉が渇く
- 体がほてる
この様な時は他の処方にしたり、合わせる漢方薬を調整しましょう。
まとめ
日本人の体質、日本の風土にあった胃腸の漢方薬「平胃散」
上手に使うとお正月やお盆休みでの暴飲暴食後の胃腸障害などに役に立つかと思います。
今回の内容を簡単にまとめると
平胃散は食べすぎ、飲みすぎ、湿気の季節のときに活躍する漢方薬
【よく使う症状】
- 食欲不振
- 消化不良
- 急性期の胃腸障害
【注意すべき点】
- 補剤は含まない
- 頼りすぎない
でも、食べ過ぎには気をつけてね!
…あと「あの人」はいつも頼りまくってるから!真似しちゃダメよ。
わかった!!!
…あ、あれ??