あの胃腸薬の?
では、ヘビーユーザーの我々が解説してみましょう。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「百草丸」って知ってますか?
少しネットで話題になった生薬由来の胃腸薬です。
実は本来の使い方とは違った内容で使っている人もいるようです。
私も大好きな民間薬(なぜか後でわかります!)
今回は優秀な胃腸薬「百草丸」について解説していこうかと思います。
- 胃腸が弱い
- お酒をよく飲む
- 食べ過ぎてしまう
百草丸ってどんなお薬?

簡単に説明すると
黄柏をメインとした生薬由来の胃腸薬です。
百草丸はドラッグストアなどでも売っている胃腸薬。
信州木曽の伝承民間薬とされていて、山岳修験者の常備薬として重宝されてきたキハダ(オウバク)もとに作られた胃腸薬とされています。
形状は小さい粒です。
大人は1日60丸(1日3回)なので最初はビックリしちゃうかもしれません。
※小さい粒なので子供でも飲みやすい、
百草丸には2種類ある
百草丸は「御岳」「日野」の2つの種類があります。
メイン生薬が黄柏なのは変わりはないのですが、残りの生薬に少し違いがあります。
比較①効能効果
日野百草丸
食欲不振(食欲減退),胃部・腹部膨満感,消化不良,胃弱,食べ過ぎ(過食),飲み過ぎ(過飲),
胸やけ,もたれ(胃もたれ),胸つかえ,吐き気(むかつき,胃のむかつき,二日酔・悪酔のむかつき,嘔気,悪心),嘔吐
日野製薬 ホームページより
御岳百草丸
食べ過ぎ、飲み過ぎ、胸やけ、胃弱、食欲不振(食欲減退)、消化不良、胃部・腹部膨満感、もたれ、
胸つかえ、はきけ(むかつき、胃のむかつき、二日酔・悪酔のむかつき、嘔気、悪心)、嘔吐
長野県製薬 ホームページより
「胃腸の不具合に使う」という点をとらえておけばOKですね。
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比較②成分
日野百草丸
1日量60粒中(成人)
オウバクエキス…1800mg(原生薬換算量2300mg)
オウバクチンキ…33mg(原生薬換算量60mg)
日局ゲンノショウコ末…500mg
日局ビャクジュツ末…500mg
ガジュツ末…500mg
日局エンゴサク末…350mg、
日局リュウタン末…100mg、
日局センブリ末…16mg、
添加物としてカルメロースナトリウム、タルク、アラビアゴム末、薬用炭を含有します。
日野製薬 ホームページより
→竜胆、ガジュツ、延胡索が含まれる
御岳百草丸
オウバクエキス(原生薬換算量 2240 ㎎) 1600 ㎎
日局 コウボク末 700 ㎎
日局 ゲンノショウコ末 500 ㎎
日局 ビャクジュツ末 500 ㎎
日局 センブリ末 35 ㎎
添加物として薬用炭、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリオキシエチレン(105)ポリオキシプロピレン(5)グリコールを含有します
長野県製薬 ホームページより
→厚朴が入ってる
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構成されている生薬で少し違いが見えてきます。
- 延胡索(エンゴサク)は活血・行気・止痛で胃の漢方薬の安中散に含まれます。
- 莪朮(ガジュツ)別名:紫ウコンで気血の滞りを強力に改善する生薬。
飲食による停滞を改善するのに強力な生薬です - 竜胆(リュウタン)は苦味健胃薬・肝胆の湿熱を去る作用があります。
- 厚朴(コウボク)も平胃散・半夏厚朴湯に含まれる生薬で気の巡り改善。
食べ過ぎ・飲み過ぎで溜まった痰湿を除く働きがあります
大前提としてメインの生薬が黄柏ということは変わりはないです。
どちらを選んでも胃腸の不具合には有効だと思います。
構成生薬からあえて違いを考えると
- 日野→黄柏も多い動かす・冷やす力強い
- 御岳→シンプルな処方 万人受け
※超個人的な意見
この厚朴・黄柏がストレスによる過食を避けたり、
リラックス効果があると話題になって百草丸が話題になっているようです。
ただ、この効果を期待するのであればきちんと自身の体質に合った漢方薬を飲んだ方が有効と考えられます。
百草丸はきちんと「胃腸薬」として使うことをオススメします。
【一例】
- 黄柏なら黄連解毒湯(→不眠症・ノイローゼ)
- 厚朴なら半夏厚朴湯(→不安神経症・神経性胃炎)
ちゃんと用途に応じて使い分けた方が良いです。

よく使う症状(オススメの使い方)

- メインの生薬が黄柏
- 構成生薬は「補よりも瀉」
という特徴を覚えておきましょう。
- 補は足りないものを補う
- 瀉はいらないものを瀉す
二日酔い・食べ過ぎ・飲み過ぎ
百草丸は
- 不要な水をさばく
- 不要な熱を去る
- 胃の動きを改善
上記の生薬で構成されています。
これらが両方現れやすいのが二日酔い・食べ過ぎ・飲み過ぎ
元々胃腸が弱くない人が短期間でなった胃腸の不具合にとても良いと思います。
小さい粒なので子供でも飲みやすい
この手の胃腸薬は粉薬が多いですが粒の薬です。
大人の1日量が60粒という事で驚いてしまうかもしれませんが、小さい粒で飲みやすいです。
苦味健胃薬がメインの胃腸薬なので粒はありがたい!
この内容を粉で作ったら相当苦いものができると思います(笑)
注意すべき点

構成生薬は体を冷やす成分が多い
メインの黄柏を中心に清熱の生薬が多いです。
食べ過ぎ・飲み過ぎなどは、熱を生むことがあるので短期間しようする場合は有効です。
ただ、長期で飲む場合は注意が必要。
脾胃(≒胃腸)は冷えを好まない臓です。
「冷えやすい人」
「冷えている人」
は長期で服用する場合注意しましょう。

補の生薬を含まない
上記と同じような内容です。
構成生薬は「補」と「瀉」であれば「瀉」の物が多いです。
胃腸の不具合には有効なお薬ですが、脾胃の気を補う薬はないことは覚えておきましょう。
具体的には食べ過ぎ・飲み過ぎなどの比較的短期の症状に有効だと思っています。
まとめ

胃腸の不具合に対して有効な胃腸薬「百草丸」
食べ過ぎや飲み過ぎてしまう人は常備しておくと便利かもしれません。
今回の内容を簡単にまとめると
- 百草丸は黄柏を中心にした胃腸薬
- メンタル症状には他の漢方薬の方が良い(正しい使い方をしましょう)
- 御嶽と日野どちらも基本的は同じ
- ストレスが原因の胃腸の不具合なら御岳の方が良いかも?※体質に合った漢方薬の方が効き目がよい
【オススメな点】
- 比較的短期の症状に有効
- 二日酔い・食べ過ぎ・飲み過ぎ
- 小粒で飲みやすい
【注意すべき点】
- 身体を冷やす生薬構成
- 「補」の生薬を含まない(虚の人は注意)
私も老子も大変お世話になっていますもんね。(主に食べ過ぎ)
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