一度で理解することは難しいからな。
繰り返し読んでおきなさい。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
傷寒論(しょうかんろん)という古典をご存知ですか?
昔の中国で書かれた医学書です。
有名な葛根湯もこの本からの出典です。
漢方薬を勉強している人なら必ず耳にする本だと思います。
そして‥。挫折した人も多い本だと思います。
私も何度もくじけました笑
現在では数多くの解説本が出版されています。
今回は初めて傷寒論を勉強される人に対して私のオススメの解説本を紹介しようかと思います。
それが高山 宏世先生が書かれた「傷寒論を読もう」です。
漢方初心者からの第一歩にオススメですよ。
- 傷寒論を読んでみたい
- 漢方薬を勉強している
- 古典に触れてみたい
そもそも傷寒論ってどんな本?
まずは傷寒論がどんな本か簡単に解説。
傷寒論は紀元後200頃の後漢の時代に書かれた本とされています。
だいたい三国志の時代です。
書かれたとされる人は長沙という都市の太守(県知事みたいな感じ)だっとされる張仲景(ちょうちゅうけい)です。
傷寒論は正式には「傷寒雑病論(しょうかんざっぴょうろん)」として作られました。
この中で、
- 傷寒(急性感染症の様な症状)→傷寒論
- 雑病(慢性病)→金匱要略(きんきようりゃく)
この様に分けられ急性症状に対して論じてあるのが傷寒論となります。
傷寒論の成り立ちについては諸説あり、張仲景が1人で書いたのではなく、複数の人間で書いたのではないかと言う説もあります。
本文の中でも「ここは張仲景が書いたものではない!」とされる部分などもあります。
急性感染症状の本がそんなに大事なのか?
※ここの部分はかなり個人的な考えが含まれます。
傷寒論は急性の感染症に対する治療法が書いてある書物です。
なぜ?暖房や服装がととのった現代でも重要なのか?
疑問に持つ方も多いと思います。
それは「傷寒論は急性感染症に対する治療法の書物」‥だけじゃない!
という見方ができるからです!
- 急性感染症による熱病の治療書
- 疾病の全般を論じた書
一般的には①
ただ、見方によっては②としても読めるのです。
傷寒論には陰陽、虚実、表裏、寒熱。
弁証論治(患者の証か治療法を考える)の基礎となる判別が多く登場します。
また、病邪が体表面から侵入し深部にドンドン入っていくところを6つのステージ分けてあります。(六経弁証)
この様な病邪の進み方、陰陽の考えなどは他の病でも応用することができると考えられています。
何度も読んでいくと診断の仕方が鍛えられていきます。
「傷寒論を読もう」のおすすめポイント!
昔、先輩薬剤師に言われた言葉があります。
「効率よく勉強しなさい」
私達は社会人になってから本格的に中医学や漢方薬を学びます。
中国で医者の家系に生まれると子供の頃から意味もわからず黄帝内経や傷寒論を丸暗記させられるそうです。
「同じことをやっていては勝てるわけない」←先輩のありがたいお言葉
自分の生活もあります。
養う家族がいる方も多いと思います。
忙しい現代人はいかに効率よく勉強するかはとても大事です。
一昔前は傷寒論も原文や難しい解説本しかなかったそうです。(先輩談)
今は諸先輩方の尽力により、わかりやすい解説本をたくさん作ってくれています。
効率よく勉強するために上手に活用しましょう!
オススメのポイント①読みやすい
正直、読みやすいとは言いにくい傷寒論ですが、「傷寒論を読もう」は読みやすさを重視して書かれています。
条文が書き下しで書いてあるので初めての人でもなんとなく理解できると思います。
そして、その後に解説が文という内容です。
【書き下し文】
漢文に返り点と送り仮名を加え書き下したもの
難しい用語の解説もしてあるため、ある程度勉強している人ならスラスラ読んでいけると思います。
総括を読んで概要を掴んでから各論に入っても良いかもしれませんね。
オススメのポイント②イラストで理解しやすい
条文に出てくる処方(40種)の解説にはイラストが入っています。
表情や体格など文字で見るよりイメージがしやすいと思います。
処方に対してのイメージを持つことはとても大事です。
実際の現場に立つと教科書通りのお客さんはそう来ません。
文字で覚えるのも大事ですがイメージがあると悩んだ時に役に立ちます。
イラストがあると読みやすくてよいです。
オススメのポイント③中医学的視点
傷寒論には様々な解釈あります。
「傷寒論を読もう」は中医学的な解説がされています。
私は中医学を中心に勉強しているのでスッと入ってきました。
同じように中医学から勉強していて傷寒論に触れたい人にはとても良いと思います。
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あえて言うなら「原文が載ってない」
価格と内容、ボリュームを考えるとおつりが来そうな本ですが、あえて物足りない点とすれば「原文が載っていない」この点かもしれません。
有名な漢方の先生たちの中には、
「傷寒論は原文を暗記する」
と言われる方も多いです。
私も可能な限り原文に触れていくようにしています。
もちろん原文と辞書、解説本で勉強できるならそれがベストだとも思います。
ただ、前述でも書きましたが
「現代人は忙しい!」
「いかに効率よく勉強するか」
これもとても大事だと考えています。
まとめ
今回は中国の古典である傷寒論の解説本「傷寒論を読もう」について書いてみました。
これから傷寒論に触れてみたいという人や中医学の基礎からのステップアップに最適な本の一冊だと思います。
今回の内容を簡単にまとめると
「傷寒論を読もう」はじめての人でもわかりやすい傷寒論の解説本
【オススメのポイント】
- 読みやすい
- イラスト入りでイメージしやすい
- 中医学の視点
【あえて言うなら…】
原文は載っていない
一度で理解することは無理じゃ。
何度も繰り返し読むべき本じゃな。
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