補気(エネルギーを補う)の代表生薬『人参』
高麗人参、朝鮮人参という名前の方が馴染みがあるかもしれません。
虚弱体質の人には必須クラスの生薬『人参』ですがどんな効能効果があるかきちんと知ってますか?
そこで今回はその人参(にんじん)の効能効果を解説していきます。
人参とは?
補気薬の要『人参』は
- 補気固脱(体の大切な成分が漏れ出るのを防ぐ
- 補脾気(胃腸を元気にする)
- 生津止渇(体を潤しのどの渇き癒す)
- 安神益智(気持ちを落ち着かせる)
この様な効能効果があります。
中医学的効能効果
〈性味〉甘・微苦 微温
〈帰経〉肺・脾
ウコギ科の多年草で産地は主に韓国、中国、日本です。
体を温め、五臓の脾、肺を元気にする効果が現れます。
皆さんが良く食べる
野菜の人参(キャロット)はセリ科で全く違う植物です!
中国では胡蘿蔔(こらふ)と呼ばれています。
キャロットの人参も根っこの肥大化した部分を使うため最初は『せりにんじん』として分けていましたが。
キャロットの方が使用頻度が高くなり
人参=せり科の人参(キャロット)
になったそうです。
【補気固脱】
慢性病、大量出血や嘔吐下痢などによる気(エネルギー)が失った時に補う。
それ以上身体から流出しないようにする。
【補脾気】
脾(簡単に言うと胃腸)を元気にする。食欲不振、消化不良などに
気は脾(胃腸)で作られるため『滋養強壮』『肉体疲労』などにもつながっていきます。
『補中益気湯』
『四君子湯』
等の要になる作用じゃ。
【生津止渇】
身体を潤す。口渇、多汗、高熱、乾燥に
病後の口喝、乾燥なんかに最適です。
【安神益智】
落ち着かせる。不安、不眠、健忘などに
中国だと極度の疲労や免疫を上げるために人参の抽出液を点滴で使用することあるそうです。
少し前までは血圧上昇が副作用として有名でしたが最近は低い血圧は上げ、
高い血圧は下げるという研究発表もあります!
経験上、高血圧の方はやはり注意が必要だと思います。
体がほてるタイプには量を調節する。
高麗人参、朝鮮人参、漢方で使う人参は同じなの?
同じです!!
呼び方が違うだけで基本は同じ期限植物です。
キャロットの赤い人参と区別されるために『朝鮮人参』と名付けられました。
その後『朝鮮』という文字を韓国の人たちが嫌うために『高麗人参』という名前になったそうです。
流通している名称
加工によって名前が変わり、
そのまま乾燥したものを「生干人参(きぼしにんじん)」
湯通ししてから乾燥したものを「御種人参(おたねにんじん)」
皮をはぎ天日で乾燥させたものを「白参(はくじん)」
皮をつけたまま蒸してから天日で乾燥させたものを「紅参(こうじん)」
一般的にはこのような名前で流通しています。
御種と生干はほぼ同じ効能で効果もさほど無いと言われています。(人によっては生干<御種)
ただ見た目が良いので御種人参をこだわって使用する治療者もいます。
※値段も御種のほうがお高め。
製品の成分などにニンジンと書いてあればほとんど生干人参だと思われます。
白参も効能効果はあまり変わらないのですが全形(形が良い)で製品化されていることが多いので上品と言われています。
紅参は温める力が強く、五臓の腎にも効果があると言われています。
一時急上昇して薬局が悲鳴をあげたが現在(2019年)は多少落ち着いておるな!
まとめ
人参は補気薬の要薬!
疲労回復の漢方薬には大体入っています。
買う場合はきちんとしたメーカーの物を選ぼう!
- 人参が含まれる漢方薬は胃腸を元気にする、肉体疲労に効果がある。
- メインではないが心の疲れにも有効
- 生干、御種は脾肺に紅参は脾腎の虚にも使用できる。
- 薬酒を作るなら全形(白参)が見た目が良い
- 高血圧、ほてりの方は慎重に使用すると良い
ほてりがないタイプで疲れの症状が出れば大体合う生薬じゃな。