生理前だし、仕事と期限も迫ってる!
体質に合った漢方薬を飲むと良く効くよ!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
頭痛でお悩みではないですか?
最近は「頭痛外来」という専門科があるくらい頭痛で悩んでいる方は多くいます。
一過性の症状であれば鎮痛剤を服用するのも良いと思います。
繰り返す、慢性の頭痛に漢方薬が有効な場合もあります。
そこで、今回は中医学的頭痛のタイプの症状と代表漢方薬を紹介していきます。
- 頭痛が慢性化している
- 鎮痛剤が効かない
- 鎮痛剤の副作用が強い
いつもと違う強い頭痛が出た場合は漢方薬ではなく必ず医療機関に受診しましょう!
- 今までに感じたことのない頭痛
- 頭が割れるような激痛
- 回数が多く徐々に強まる
- けいれんする
- 手足がしびれる
- 意識がもうろうとする
- 高熱
この様な頭痛の場合は医療機関に行きましょう。
中医学における頭痛

東洋医学で痛みの大原則に
- 【不通則通(ふつうそうくつう)】
不通(滞り)があると痛みがおこる - 【不栄則通(ふえいそくつう)】
不栄(栄養不足)だと痛みがおこる
頭痛もこの大原則に従います!
漢方薬で頭痛を治療していくためにはまずタイプが『外感病』か『内傷病』なのかを判別しなくてはいけません。
【外感頭痛】とは外的要因(外邪)が原因でおこる頭痛。
→一過性の事が多く去邪をすれば治っていきます。
【内傷頭痛】は内的要因(体質)による頭痛。
→慢性になりやすいです。
外感頭痛(外的要因からの頭痛)

外感病とは『外邪』と呼ばれる外からやってくる邪気を受けて発生した病です。
外邪とは「風・寒・暑・湿・燥・火」の6つ
特に風邪は他の邪気を連れてくるという特徴があり、病気の原因となりやすいです。
外感風寒(風邪(かぜ)症状をともなう)

風寒の邪気が体に侵入しておこる頭痛。
寒気がある風邪(かぜ)の症状をともなうことが多いです。
【特徴】
- 肩から後頭部に痛みが出やすい。
- 悪寒、発熱がある。(風邪っぽい)
- 水っぽい鼻水
- 冷たい場所がツライ
- 防止をかぶると温まって楽になる
- 関節の痛みがある
川芎茶調散(センキュウチャチョウサン)
頭痛の専門薬で
- 川芎(せんきゅう)
- 羌活(きょうかつ)
- 白芷(びゃくし)
3種類の頭痛の生薬を配合した漢方薬です。
急性にはもちろん慢性頭痛の頓服用としても使用できます。
悪寒が強く後頭部が痛む場合は『葛根湯』も良く効きます。
【養生法】
- 温かい食事をする
- 温かい服装(特に足首を冷やさない)
- お風呂で汗をかく(その後すぐに寝る)
- 早く寝る
外感風熱(喉風邪の症状をともなう)

風熱の邪気が体内に侵入しておこる頭痛。
熱が高い俗にいう「喉からくる風邪」の症状をともなうことが多い。
【特徴】
- 張った様な頭痛
- あたたまると悪化
- 発熱 悪風(悪寒より軽い寒気)
- 黄色い痰が出る
- 顔面紅潮
- 目の充血
- 喉の痛み 口渇
銀翹散(ぎんぎょうさん)
金銀花、連翹といった強力な清熱解毒薬を含む喉痛みの特効薬でもあります。
高熱の風邪や喉からくる風邪に良く効きます。
【養生法】
- 寒気がない場合は涼しい服装にする
- 熱いお風呂は避ける
- 菊のお茶を飲む
- 多めに水分補給
外感風湿(低気圧で悪化する頭痛)

風湿の邪気が体に侵入しておこる頭痛。
『気象病』と呼ばれる低気圧で悪化する頭痛です。
湿邪の特徴の『重だるさ』『胃腸の不具合』をともないます。
【特徴】
- 頭重感
- 雨の日や低気圧で悪化
- 頭に何か包まれている感じ
- 胸がつかえ
- 胃の不快感
- 身体が重い
- 軟便
藿香正気散(かっこうしょうきさん)
頭痛の生薬「白芷」含みます。
本来は胃腸の風邪、胃腸炎の処方だが頭痛にも応用することができます。
効き目が弱い場合は川芎茶調散を併せると良いです。
【養生法】
- 甘い物、油物を取り過ぎない
- 水分を取り過ぎない
- 軽い運動をする
- 芳香性のある食べ物を食べる
内傷頭痛(内的要因からの頭痛)

内傷頭痛は臓腑の機能失調により「気・血・津液」が「滞る」「虚する(すくなくなる)」ことでおこる頭痛です。
関連臓器は主に『肝』『腎』『脾(胃腸)』
虚実にも分類していきます!
肝陽上亢(ストレスで悪化する頭痛)
慢性的なストレスなどにより「肝血虚」になり陰陽のバランスが崩れた状態。
偏頭痛と言われる『突然おこる激しい頭痛』『目や歯まで痛む』『治ればまったくなんでもない』
などは肝陽上亢タイプが多いと言われています。
【特徴】
- ストレスで悪化
- 側頭部、こめかみに痛み
- めまい
- イライラ、怒りやすい
- 脇腹が苦しい、痛む
- ほてり
- 耳鳴り
- 便秘
釣藤散(ちょうとうさん)
釣藤鈎という生薬が「内風」を鎮めます。
めまいや高血圧にも使用します。
加味逍遥散(かみしょうようさん)
「肝陽上亢」の手前「肝気鬱結」の処方。
ストレスからくる頭痛には良く効きます。

竜胆瀉肝湯
肝に火がついてしまった「肝火上炎」の処方。
激しいストレス、目の充血、目やになどをともなう場合はこちらが良いです。
【養生法】
- ストレスをためない
- 睡眠をしっかりとる
- 酸味をとる
腎虚(老化現象でおこる頭痛)

五臓のうち生殖をつかさどる臓器「腎」のエネルギーが虚している状態。
腎は『老化』にも深く関わってきます。
なのでこのタイプは高齢者に多い頭痛です。
腎のエネルギー(精)が虚すると髄海(脳)が空っぽになってしまい頭痛がおこります。
【特徴】
- 慢性化して鈍痛
- 膝腰が重い
- めまい
- 耳鳴り
- 物忘れ
- おりものが多い(女性の場合)
杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)
六味丸+菊花+枸杞子
腎のエネルギーを補う代表処方の六味丸。
菊花が入ることで頭痛に効きやすくなります。
また枸杞子が肝のエネルギーを補うため肝陽上亢の根本治療にも有効。
滋腎明目湯 (じじんめいもくとう) ※オススメ
名前の通り「腎虚」の漢方薬です!
本来は老化や過労による目のかすみ、目の疲れ、目の痛みの処方
の漢方ですが、頭痛に応用できます。
- 川芎(センキュウ)
- 蔓荊子(マンケイシ)
- 菊花(きくか)
- 白芷(びゃくし)
と頭痛の生薬がたっぷり入ってます。
冷えるタイプには八味地黄丸でもOK
【養生法】
- 黒い食べ物を摂る
- 睡眠をしっかりとる
- 運動をする
- 脳を使う(暗算や暗記など)
気虚(疲れの頭痛)

気が脳を充足できないためにおこる頭痛。
エネルギー(気)が足りていない全身症状もともないます。
【特徴】
- 疲れて来ると悪化
- 夕方悪化
- 脱力感
- 弱い痛みが続く
- 息切れ
- 食欲不振
補中益気湯
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柴胡と升麻という気を上に持ち上げる生薬を含むので他の補気薬より
頭痛に応用できる。
疲れからおこる『めまい』にも有効
鎮痛作用は弱いので効果が弱い場合は『川芎茶調散』をあわせると良い。
【養生法】
- 疲れをためない
- 睡眠を多くとる
- 消化の良い食べ物を心がける
- 甘味を摂る(過量にならない)
血虚(生理後、産後の頭痛)

気虚頭痛と症状が似ているが貧血になりやすい女性に多い。
特に生理後や産後におこる頭痛はこのタイプになる。
【特徴】
- 弱い痛み
- 生理後、産後起こりやすい
- 朝は楽 夕方悪化
- ふらつき
- 動悸
- 不眠、不安感
- かすみ目
- 顔色が悪い
婦人宝 婦宝当帰膠
補血の基本処方「四物湯」を含む処方。
当帰が大部分を占めるので「補血」の作用は強い。
止痛効果は弱いので痛みが強い人は『川芎茶調散』をあわせると良い。
洗肝明目湯(せんかんめいもくとう)※オススメ
本来の効能効果は『目の充血,目の痛み,目の乾燥』の処方ですが
頭痛にめっちゃ効きます!
- 蔓荊子(マンケイシ)
- 羌活(キョウカツ)
- 川芎(センキュウ)
- 菊花(キクカ)
っと頭痛の生薬が多数含まれます。
補血の基本処方四物湯も含まれています。
【養生法】
- 上記気虚の養生法
- 動物性たんぱく質を多めにとる
気血両虚(ものすごい疲れている頭痛)

上記の「気虚」「血虚」が両方出ている状態。
【特徴】
気虚、血虚を参考
十全大補湯
気血双補の代表薬。
冷えがあるタイプに最適。
止痛効果は弱いので痛みが強い人は『川芎茶調散』をあわせると良い。
帰脾湯
不安感、動悸をともなう場合はこちらがオススメ。
【養生法】
瘀血(血行不良による頭痛)

『血』が滞った状態。
病が長引くと瘀血(おけつ)が発生するため、他の病態から発展することもある。
デスクワークなど同じ姿勢でいることが多い人が発症しやすい。
冷えも原因の一つ
【特徴】
- 慢性で固定性
- 夜間悪化
- 激痛
- 頭部に外傷歴がある
- 指すような痛み
- 生理痛が重い
血府逐瘀湯
紅花(コウカ)、川芎(センキュウ)といった活血止痛の生薬を含み頭痛に良く効きます。
高血圧にも有効。
特に下の血圧(拡張期血圧)が高い人にオススメ。
冠元顆粒 生薬製剤二号方
気滞、血瘀の代表薬。
地黄を含まないので血府逐瘀湯で胃腸が重くなる人はこちらの方がオススメ。
もちろん下の血圧(拡張期血圧)が高い人にも有効。
ドラッグストアでも買えるよ!!
【養生法】
- 体を冷やさない
- たまに体を動かす(同じ姿勢でいない)
- ストレスをためない
- 夜更かししない
- 芳香性のある食べ物をを食す
痰濁(太っている人に多い頭痛)

胃腸の機能が低下して体にベタベタした物質(痰湿)が生じる。
痰湿が頭部が入り込み気血の流れを滞らせて起こる頭痛。
なかなか抜けにくく長引きやすい。
→風湿邪にやられやすく風湿頭痛と合併して起こしやすいです。
【特徴】
- 普段から甘いものが好きで過食気味
- 悪心、胃部の不快感
- ぐるぐるめまい
- ぼんやりする
- 太っている
- 便がべたべたする
- 舌の苔がびっしり
半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)
痰湿を取り除く専門薬『二陳湯』
胃腸を調える『四君子湯』
を含む処方。
- 浮腫みやすい
- 便が水っぽい
人は『五苓散』『苓桂朮甘湯』でもOK
※胃腸を強くする処方は含まない
【養生法】
- 甘いもの、脂っこいものを控える
- お酒を控える
- 普段から汗をかく(運動など)
- 水分を過剰に摂取しない
まとめ

頭痛は『外的要因』『内的要因』で治療法が異なります。
内的要因の場合はそこから『虚実』を選定します。
西洋薬の鎮痛剤と異なり漢方薬はタイプを間違えると効果が出ません。
まずは自分がどのタイプなのかを見極めましょう!
簡単にまとめると
- 風邪の症状がある
→風寒、風熱タイプ - 低気圧で悪化
→風湿、痰濁タイプ - ストレスで悪化
→肝陽上亢タイプ - 高齢者に多い
→腎虚タイプ - 疲れると悪化
→気虚、血虚、気血両虚タイプ - 血行不良でおこる
→瘀血タイプ - 太っている人に多い
→痰濁、風湿タイプ