
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
少し前までテレビCMでよく耳にした「大正漢方胃腸薬」。
名前の通り、漢方薬をベースに作られており、ドラッグストアやネット通販でも購入できます。
胃腸薬と言ったら!というイメージありますよね!
ただし、どんな胃腸の不調にも合うわけではなく、体質や症状によって向きやすいケースと向かないケースがあります。
大正漢方胃腸薬には粉、錠剤、内服液といった剤形が存在します。
中身が違うの知ってましたか?
そこで今回は、粉末・錠剤タイプと液体タイプの違いを中心に整理しました。
(※本記事は一般的な情報の紹介であり、使用を勧めるものではありません。体質や症状に応じて医師・薬剤師にご相談ください。)
- 胃腸の調子が悪い
- 飲み会を控えている
- 漢方薬局、薬店に行く時間がない
大正漢方胃腸薬(粉末・錠剤)とは?


大正漢方胃腸薬は、大正製薬が販売する一般用漢方製剤です。
最初に登場したのは1978年の錠剤・粉末(微粒)タイプで、長年にわたり家庭用の常備薬として広く知られてきました。
その後、2001年には液体タイプ(内服液)が発売され、飲みやすさや携帯性の面からも利用されるようになりました。
【効能・効果】
胃のもたれ、胃部不快感、胃炎、胃痛、げっぷ、食欲不振、腹部膨満感、胸つかえ、胸やけ、胃酸過多、腹痛、はきけ(むかつき、悪心)【用法・用量】
次の量を食前又は食間に水又はぬるま湯で服用してください。
- 15才以上:1回1包 1日3回
- 5~14才:1回1/2包 1日3回
- 5才未満:服用しないこと
【成分(1包中)】
安中散 700mg(ケイヒ、エンゴサク、ボレイ、ウイキョウ、シュクシャ、カンゾウ、リョウキョウ)
芍薬甘草湯エキス末 140mg(シャクヤク、カンゾウ)大正製薬製品情報サイトを参考
実は有名な漢方薬の合方
成分を見てピンときた方もいるかもしれませんが、粉末・錠剤タイプは 安中散+芍薬甘草湯 の組み合わせです。
〈安中散〉:温めて胃の働きを助ける処方。冷えや飲食の不摂生に伴う胃の不快感に用いられることが多いです。
〈芍薬甘草湯〉:筋肉のけいれんをやわらげる処方。胃の過剰な動きを落ち着ける働きが知られています。
→安中散を詳しく知りたい方はコチラから
→芍薬甘草湯を詳しく知りたい方はコチラから
この組み合わせから、冷えや食べすぎ・飲みすぎがきっかけで起こる急性の胃の不調に用いられることが多いと考えられます。
どんな人に向く?
安中散と芍薬甘草湯の組み合わせを考えると…
- 冷たい飲み物・食べ物をとりすぎて胃が痛むとき
- 冬や冷房で体が冷えて胃の調子が悪いとき
- 食べすぎ・飲みすぎで食欲が落ちているとき
この様な時の胃腸の不調に良いと考えられます。
配合されているウイキョウ・シュクシャは胃腸の動きを整える目的で配合され、エンゴサクは痛みをやわらげる働きが期待されます。
ポイントは安中散の性質。
安中散は胃腸を温めることで消化を助け、痛みを和らげる働きがあるとされます。
体を補う補剤は含まないため、慢性的な胃弱よりも一時的な胃痛・不調に選ばれることが多い処方です。
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大正漢方胃腸薬(液体)とは?


【効能・効果】
飲みすぎ、はきけ(二日酔・悪酔のむかつき、むかつき、胃のむかつき、嘔気、悪心)、食欲不振、消化不良、胃部・腹部膨満感、胃弱、食べすぎ、胸やけ、もたれ、胸つかえ、嘔吐【用法・用量】
成人(15才以上)1回1びん1日3回食前又は食間に服用してください。(食間の服用は、食事の後2~3時間を目安にします)【成分(1本30mL中)】
五苓散料水製乾燥エキス0.3g(沢瀉、茯苓、桂皮、猪苓、白朮)
黄連解毒湯水製乾燥エキス0.3g(黄連、黄柏、黄芩、山梔子)大正製薬製品情報サイトを参考
内服液は粉、錠剤とは別の漢方薬の合方
液体タイプには、黄連解毒湯+五苓散 が組み合わさっています。
〈黄連解毒湯〉:体内の「余分な熱」に着目して用いられる処方
〈五苓散〉:体内の「水分バランス」を整える考え方に基づいた処方
→黄連解毒湯を詳しく知りたい方はコチラ
→五苓散を詳しく知りたい方はコチラ
この組み合わせは、漢方でいう「湿熱(しつねつ)」=熱と水分代謝の乱れが合わさった状態に対応する考え方とされています。
どんな人に選ばれることがある?
- 黄連解毒湯は清熱解毒、燥湿
- 五苓散は利水
この組み合わせから考えると
- アルコール度数の強いお酒を飲んだ翌日、不快感が気になるとき
- 舌の苔が黄色く厚めに見えるタイプ
- 胃が重く、水がたまったようにムカムカする感覚があるとき
熱を去り、余分な水湿を去る!体に熱っぽいベタベタしたものがあるときに使うイメージです。
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大正漢方胃腸薬 内服液
粉末・錠剤と液体の違い


| タイプ | 粉末・錠剤 / 液体 |
|---|---|
| 構成 | 粉末・錠剤:安中散+芍薬甘草湯 液体:黄連解毒湯+五苓散 |
| 漢方的特徴 | 粉末・錠剤:温めて痛みをやわらげる 液体:清熱+利水 |
| 向きやすいケース | 粉末・錠剤:冷えや不摂生による胃痛・胃もたれ 液体:飲みすぎ・二日酔い、湿熱による胃の不快感 |
昔のCMと選び方のポイント
昔のCMでは「食べる前に飲む!」というキャッチフレーズがありました。
これは粉末や錠剤タイプを指しており、食事や冷たいビールを飲む前に安中散で胃腸を温めるイメージだったと思われます。
お酒を飲む人は液体が向く
お酒は体に熱をこもらせる性質があり、二日酔いや翌日のムカムカには液体タイプが選ばれることがあります。
一方で、炎症が強い場合に粉末・錠剤を飲むと>かえって合わないケースもあるので注意が必要です。
迷ったら舌をチェック
- 舌が白っぽい、白い苔が多い → 粉末・錠剤(安中散)
- 舌が赤っぽい、黄色い苔が厚い → 液体(黄連解毒湯)
まとめ


大正漢方胃腸薬は同じブランド名でもタイプごとに特徴が異なり、体質や状況に応じて使い分けることが大切です。
今回の内容を簡単にまとめると
- 大正漢方胃腸薬は「粉末・錠剤」と「液体」で中身が全く違う
- 粉末・錠剤は冷えによる胃の不調に
- 液体は飲みすぎ・二日酔いなど熱や水分代謝の乱れに
- どちらも急性の不調向けで、慢性的な胃弱には向かない
体質に合わせて、錠剤?粉?内服液(液体)?適切に選べるようにしましょうね。
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