青さんどうしたの?
とりあえず急性期には芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)を飲んでみよう!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
こむら返り有名な芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)。
ツ〇ラの68番といった方がわかる人もいると思います。(お店ではそういわれることが多い笑)
ただ、使い方はそれ以外にもあります。
そして大事な注意点もあります。
今回はそんな急性期の痛みの漢方薬「芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)」を紹介していきます。
- 足がつりやすい
- 腹痛が起きやすい
- 既に芍薬甘草湯を飲んている
芍薬甘草湯ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
筋肉の痙攣(けいれん)を抑え痛みを去る漢方薬です。
実際の現場では「こむら返りといったらこの漢方薬!」という感じで出されることが多いです。
中医学では「肝は筋を主る」とされており、筋(すじっぽい)痙攣は五臓の肝が管轄しています。
「こむら返り」は(肝)血虚すなわち(肝)の陰血が不足することにより、肝の気(陽)を抑制する事が出来ず筋が過活動してしまう。
と考えられています。
芍薬甘草湯はこの「陰血」を補充する漢方薬です。
出典の傷寒論には
少しの寒気、頻尿、胸の苦しさ、足の痙攣がみられるときは単純な風邪ではなく、桂枝湯(風邪の基本処方)を使うのは誤りである。
それなのに発汗させて手足が冷え、のどが渇き、嘔吐する人は甘草乾姜湯
手足の冷えが改善し足も温かくなった人にはさらに芍薬甘草湯を飲ませると痙攣もとれて足を伸ばすことができますよ。
超意訳&短縮
芍薬甘草湯の『酸味の芍薬』と『甘味の甘草』は組み合わせることで『酸甘化陰』という陰血を補う代表的な組み合わせになります。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
芍薬 | 筋肉の痙攣を抑える 肝血を補う |
甘草 | 止痛 痙攣を止める 胃腸を元気にする |
名前の通り2味のシンプルな構成です。
甘草、芍薬共に筋の痙攣、痛みを止める作用があります。
酸甘化陰の組み合わせでこの作用が増強していると考えられています。
肝は気の流れをコントロールする働きがある臓。
過敏になると色々な不具合を起こします。
芍薬甘草湯は肝の陰血(抑制する方のエネルギー)を補うことで過敏になった肝を柔らかくするので『柔肝』の基本薬とも言われています。
よく使う症状
体力に関わらず使用でき,筋肉の急激なけいれんを伴う痛みのあるものの
次の諸症:こむらがえり,筋肉のけいれん,腹痛,腰痛厚生労働省 薬局製剤指針より引用
こむらがえり
実際の現場で一番使う症状です。
構成生薬が少なくシャープに効いてくれる処方です。
登山など足を酷使することで、こむら返りを起こす人などは「お守り」代わりに持っていくと便利です。
飲んであまり効果がない人は続けない方がベターです。
腹痛
腸の痛みや生理痛などの腹痛に応用されます。
もともと脾(胃腸)は肝の力をかりて消化・吸収をスムーズに行っています。
ところが肝が過敏になると力が強すぎて脾がダメージを受けてしまいます。
芍薬甘草湯は肝の陰血を補うことで脾にダメージを受けないようにしてくれます。
また、生理痛にも肝は影響します。
生理痛には様々原因がありますが痛みが強い時などは検討する場合もあります。
注意すべき点
甘草の含有量が多い
甘草は漢方薬の約7割に入っているとされています。
その中でも芍薬甘草湯の含有量はトップクラスです。
この甘草を多く体内に摂取してしまうと『偽アルドステロン症』という副作用でる危険があります。
具体的には
- 血圧上昇
- 浮腫み
- 手足のだるさ
- 筋肉痛
この様な症状が現れたら要注意。
他の漢方薬を飲んでいたり、効き目が良いからと言ってダラダラ飲んでいると甘草の摂取量が増えて『偽アルドステロン症』危険が出てきます。
十分注意しましょう。
まとめ
こむら返りで有名な漢方薬【芍薬甘草湯】
構成生薬が少なく効き目がシャープな処方です。
簡単にまとめると
何とか治まってくれたわ!
この漢方薬は即効性があるのね!
・生薬が少ない⇒シャープ
・生薬が多い⇒マイルド
に効いてくるから、芍薬甘草湯はシャープに効くんだよ!
でも、頼り過ぎちゃダメなのもわかったからちゃんと養生するわ!
芍薬甘草湯が効く人は特に睡眠はしっかりとるようにしよう!