
忙しいのかな?
胃腸が疲れるのかもしれないね?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
季節の変わり目になると「なぜか口内炎ができやすい」と感じる方はいませんか?
一度治ってもまた繰り返したり、なかなか治らない口内炎に悩む方も少なくありません。
口の中が痛むと食事も憂うつになり、会話や仕事にも影響が出ることがありますよね。
今回はそんな「口内炎」について、西洋医学と東洋医学の両面から考え、さらに中医学的な体質別の原因や漢方薬、養生法をわかりやすく解説していきます。
- 口内炎ができやすい・治りにくい
- 季節の変わり目に疲れやすい
- 食べることが好き
口内炎とは?


口内炎は、口の中の粘膜に起こる炎症や潰瘍のことです。
舌、頬の内側、唇の裏などにできやすく、食事や会話のたびに痛みを伴うため、生活の質を大きく下げてしまいます。
西洋医学での考え方
西洋医学では、口内炎は大きく分けて以下のように考えられます。
- アフタ性口内炎:最も一般的。ストレス、栄養不足、免疫力低下などが関与
- カタル性口内炎:入れ歯や矯正器具の刺激、やけど、外傷などによる炎症
- 感染性口内炎:ウイルスやカビ菌が原因となるもの
- ヘルペス性口内炎:ウイルス感染によるもの
- カンジダ性口内炎:カビ菌(カンジダ菌)の増殖によるもの
西洋医学では、口内炎は「粘膜の炎症」としてとらえられ、症状を和らげる対症療法が中心となります。
一般的な口内炎の治療として次のような方法がとられます。
- ビタミン(特にビタミンB群)の補給
- 抗炎症作用のある塗り薬やうがい薬の使用
- 免疫力を整えるための休養や栄養改善
- 感染が関与する場合には抗菌薬などの対応
多くの場合は数日~1週間程度で自然に改善し、比較的短期間で治るのが特徴です。
ただし、西洋医学では「炎症を抑える」「痛みをやわらげる」といった表面的な症状への対応が中心であり、なぜ繰り返すのか、体質や臓腑の状態まではあまり深く掘り下げないのが現状です。
ここは、体質やバランスを重視する東洋医学と視点が異なるところです。
ただし、どちらが正しい・間違いという話ではありません。
急な痛みや炎症には西洋医学の治療が有効ですし、繰り返す口内炎の体質改善には東洋医学の考え方が役立ちます。
東洋医学での口内炎の考え方


中医学では、口内炎を「口中生瘡(こうちゅうせいそう)」や「口瘡」と呼びます。
「脾は口に通じる」とされ、口は消化器系(≒脾胃)の状態を映し出す場所と考えられています。
つまり、口は消化器官の入口。
消化器官(主に胃腸)が疲れると、口内炎や口のトラブルが出やすいのです。
そのため、中医学での口内炎治療は、患部の炎症だけでなく、胃腸へのアプローチを重視するのが特徴です。
中医学における口内炎の主なタイプ
中医学における「口内炎」のタイプは主に3つ
- 脾胃積熱タイプ
- 陰虚火旺タイプ
- 中気不足タイプ
繰り返す、なかなか治りにくい口内炎に悩んでいる方は、中医学的なアプローチを取り入れてみましょう。
その背景には、陰虚や気虚といった体質が関わっていることがあります。
このような虚証タイプでは、表面的な治療だけでは再発しやすく、治りも遅い傾向があります。
自分のタイプを見極め、適切な養生や漢方治療を行うことが大切です。
繰り返し口内炎ができる方は、ぜひチェックしてみましょう。
① 脾胃積熱タイプ
いわゆる実熱タイプの口内炎。
短期間で起こり、熱が取れれば比較的早く治る。
暴飲暴食や脂っこい物・辛い物の摂りすぎで胃腸に熱がこもり、赤く、多発しやすいのが特徴。
| 原因 | お酒、辛いもの、脂っこいもの、過食 |
|---|---|
| 特徴 | 重症で多発する、舌が赤い、苔が黄色い、便秘、尿が濃い |
| 対応漢方 | 黄連解毒湯、半夏瀉心湯 |
| 養生 | 刺激物を避け、食べすぎを控え、消化に良い食事を意識する |
② 陰虚火旺タイプ
虚熱タイプの口内炎。
心労や熱性疾患の回復期などで「陰」が不足したときに生じる。
治りにくく、休養不足や慢性疲労で悪化しやすい。特に夜になると痛みや炎症が強まる傾向がある。
| 原因 | 睡眠不足、慢性的な心身の疲労、熱病の後期 |
|---|---|
| 特徴 | イライラや焦燥感があり、夜に悪化しやすい |
| 対応漢方 | 知柏地黄丸、黄連阿膠湯 |
| 養生 | しっかり休養をとり、心身を落ち着け、夜更かしを避ける |
③ 中気不足タイプ
虚証タイプの口内炎。
気虚によって生じ、慢性病や慢性的な疲労が原因となる。
胃腸が弱く、再発を繰り返しやすく、治りにくいのが特徴。普段から体力が落ちやすい人に多い。
| 原因 | 疲労、飲食の不摂生 |
|---|---|
| 特徴 | 弱々しい口内炎が繰り返し出る、胃腸の不調、気力低下 |
| 対応漢方 | 補中益気湯、黄耆建中湯 |
| 養生 | 規則正しい食生活、消化に優しい食事、無理をしない |
まとめ


口内炎は単なる口の中の炎症に思えますが、中医学では体の内側の不調を映すサインと考えます。
特に、胃腸(脾胃)の疲れや心身のバランスの乱れが背景にあることが多いのです。
口内炎は脾胃(≒胃腸)の不調で起こりやすい
【中医学での口内炎のタイプ】
- 脾胃積熱:食べすぎや飲みすぎで熱がこもり、赤く多発する
- 陰虚火旺:休養不足や慢性疲労で、夜に悪化しやすい
- 中気不足:胃腸が弱く、繰り返しやすい
【日常生活でできる養生のポイント】
- 胃腸を大切にする養生を心がける(一番大切)
- 甘いもの・脂っこいもの・アルコールの摂りすぎを控える
- 睡眠をしっかりとる
- ストレスをためない
症状がつらいときはビタミン補給や市販薬も役立ちますが、繰り返す口内炎は体質改善のサインでもあります。
ご自身のタイプを知り、体に合った養生や漢方を取り入れることで、再発予防にもつながります。
でも、疲れたりストレスがたまる季節の変わり目はこれからも注意してね。
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