うーん。ちょっと違うタイプの方が良いかもね。
ニキビの治療にも色々あるんだろうね。
じゃあ、確認していきましょう。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方薬局には1年を通してニキビの相談が来ます。
若い世代の相談が多く、特に受験、就職が絡む時期は相談が多くなります。
効能効果に「ニキビ」と書いてある漢方薬はたくさんあります。
ただ、中医学ではニキビといっても様々なタイプがあり、適切なアプローチをしないと逆効果のこともあります。
そこで、今回は中医学的「ニキビの治療」について解説していこうかと思います。
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- ニキビが気になる
- ニキビが治りにくい
- ニキビができやすい
ニキビの種類
ニキビの原因は皮脂のつまりで雑菌が繁殖することでおきます。
頻発する時期によって①青春ニキビ②大人ニキビに分けることが多いです。
①青春ニキビ
思春期ニキビともいいます。
思春期の頃は皮脂が過剰に分泌され、毛穴が皮脂で詰まりやすい時期です。
ここで不衛生にしているとアクネ菌などの細菌が増えやすくなっています。
場所は皮脂の分泌が多いTゾーン(おでこ、鼻)に起こりやすいのが特徴です。
中医学的にも成長期は陽の力が強い時期です。
行動的、多感的になりやすい一方、陰陽のバランスが崩れ(陽>陰)体に熱を生みやすくなります。
メンタル的にもイライラしやすくなります。
②大人ニキビ
大人のニキビは、乾燥肌、ストレス、冷え、ホルモンバランスの乱れ、不規則な生活、不適切なスキンケアなど、様々な原因が重なることでニキビができやすくなります。
特にストレスは大きな要因。
ストレスや不規則な生活が原因で気血が滞りが原因で炎症(熱)を生むケースが多いです。
大人ニキビは皮脂が少ないUゾーン(あごのライン)に起こりやすいのが特徴。
この部分はストレスと関係する肝胆の経絡が通るところです。
中医学的原因
中医学的にニキビの原因は、ざっくりわけると内熱、血虚、瘀血などが挙げられます。
とはいえ、実際の現場ではこれらが複雑に絡み合っています。
内熱
「皮膚は内臓の鏡」といわれたりします。
臓腑ともいいますが、この臓腑に熱を持つと皮膚に炎症が起こりやすくなります。
内臓の状態で頻発部位や症状が違ってきます。
特に皮膚と関係が深い五臓の肺(はい)や脾胃(≒胃腸)に熱がこもる、ストレスにより肝気の滞りから熱が発生することが原因になります。
肺熱
肺熱タイプは鼻の周辺、前額部にできやすいのが特徴です。
頂点に黒点が伴うことがあり、軽いかゆみを伴うこともあります。
五行説で肺の裏は大腸なので、肺に熱がこもると大腸にも影響し便秘なる人もいます。
代表処方としては清上防風湯や治頭瘡一方などを使います。
- 清上防風湯→清熱を主となる漢方薬で赤みが強いときに(面に瘡を生ずる者は上焦の火なり→万病回春)
- 治頭瘡一方→解毒を主となる化膿性が強いときに(強力な解毒)
脾胃の熱
暴飲暴食などが原因で脾胃に熱を持っている状態です。
冷たい飲食を好んだり、口渇、舌の苔が黄色いなどの症状が出やすいです。
中医学では「脾胃は口に開竅する」とされます。
そのため、脾胃(≒胃腸)に熱を持つと炎症が口周りにあらわれます。
口内炎や口臭なども脾胃の熱が原因ででやすくなります。
このタイプの場合、胃腸に重いタイプの清熱薬(荊芥連翹湯など)を使用すると逆効果になることが多いです。
胃腸の熱を去る黄連解毒湯や半夏瀉心湯を使用することが多いです。
便秘がある人は強力な清熱薬「大黄」を含む調胃承気湯を使うこともあります。
食べ過ぎで胃腸に負担がかかっている人は一時的に消化を助ける漢方薬を使います。
チョコや炭酸飲料のような甘い食事や脂っこい食事は増悪因子。
ニキビと似ている「酒さ(しゅさ)」も肺胃の熱から起こることがあり、似たような漢方薬を使います。
肝鬱化火(ストレス)体質
ストレスと関係が深い「肝(かん)」の気が滞り、熱を持った状態です。
熱感やイライラなど興奮をともなういます。
ストレス時や気血が滞りやすい月経前に悪化する傾向もあります。
よく出る部分はこめかみ辺り。
ちなみに…
頭痛も同じ考えでこめかみ部分が痛む人はストレスが影響している可能性があります。
肝気をめぐらし清熱する加味逍遙散や血熱を去る漢方薬の温清飲をベースとした柴胡清肝湯などを使用します。
血虚
皮膚を栄養する血(けつ)が不足しているタイプです。
血虚→かさつくニキビ
血が足らなく、皮膚を栄養出来ないためにかさつくニキビになります。
個人的には単独でおこる事は少ないと感じています。
血虚+炎症が強い場合は温清飲ベースの漢方薬を検討しましょう。
皮脂に毛穴がつまっている状態で炎症は強くないタイプ(白ニキビ)では、「補血+利水」の当帰芍薬散を使用します。
ただ、清熱剤を含まない漢方薬なので炎症がひどい場合は不可。
血瘀(けつお)体質
血(けつ)のめぐりが悪いタイプです。
いわゆる「ニキビ跡」がずっと残る人はこの体質が多いです。
ニキビの色が紫や黒でになることが多いです。
皮膚を栄養する血のめぐりが悪いので、ターンオーバーが遅く治ったあとも色素沈着が残りやすいです。
病理物質である瘀血があると、肩こり、頭痛、唇の色が悪い、シミや目の下のクマが目立つ、生理痛が重いなど症状が随伴症状としてでます。
代表処方は桂枝茯苓丸や当帰芍薬散。
水分代謝が悪い人は利水と肌に良いヨクイニンを加えた「桂枝茯苓丸加薏苡仁」も良いと思います。
- 桂枝茯苓丸→血をめぐらす作用が強い。乾燥、炎症の強いタイプには不適
- 当帰芍薬散→緩やかに血のめぐりを改善
養生
ここまで、ニキビの漢方治療を解説してきました。
ニキビには漢方薬が有効ですが、それだけではダメです。
きちんと「養生」をしないと効果が半減してしまいます。
睡眠不足は悪化の要因
皮膚の症状に非常に大事なのが睡眠です。
中医学で睡眠時間は皮膚に大事な血(けつ)を作るな時間。
どんなに良い漢方薬を飲んでも睡眠が足りなければ皮膚の再生は遅くなります。
また、ニキビにはストレスが大きく関わります。
睡眠不足はストレスに対する抵抗力が低下します。
理想は22時までに東洋医学的には23時(子の時間)までには寝るようにしましょう。
この時間は代謝が活発になり、体の解毒をする時間といわれています。
外からのケアも大事
外からの刺激は注意しましょう。
触ったり、強くこすったりするのは炎症を悪化させたり、雑菌の繁殖を促してしまいます、
洗顔も非常に重要です。
ごしごし洗ったり、熱いお湯で洗ってしまうと皮膚の油分を取り過ぎたり、皮膚を刺激してしまいます。
洗顔料をよく泡立て、ぬるま湯で優しく洗うようにしましょう。
皮膚にとって保湿は大事なので血虚タイプで乾燥しやすい人は体質に合った保湿剤を使用しましょう。
熱毒で炎症や化膿がひどいタイプは最低限に留めておくと良いと思います。
胃腸の重要性
どの症状にも大事ですが、皮膚の症状は胃腸の調子を整えるのは重要です。
特にベタベタでオイリー肌の人は肥甘厚味(脂っこい、甘い、味の濃い)を避けましょう。
これらの食事は痰湿(体の機能しない水)が溜まりやすくなります。
炎症が強い人は辛い物も控えるようにしましょう。(熱を生みやすい)
生理前に過食して悪化する人は気の巡りが悪くなっている可能性あります。
香草やハーブティなど香り高い食材を取り入れましょう。
軽い運動やストレッチで巡らせることも忘れずに。
まとめ
今回はニキビについて簡単に漢方的なアプローチをまとめてみました。
ニキビは様々な要因が絡んで発症するので参考にしてみてください。
「ニキビだからコレ」という漢方薬はなく体質、体調に合わせた漢方薬を選べると良いと思います。
今回紹介したのも、一部です。
可能なら漢方薬の専門店に相談できると良いです。
今回の内容をまとめると
- 思春期ニキビ→Tゾーンが多い
- 大人ニキビ→Uゾーンが多い
【中医学的分類】
- 内熱タイプ
- 血虚タイプ
- 瘀血タイプ
漢方薬も大事だが、日々の養生も忘れずに!
だから塗薬だけで効果が薄い人は漢方薬を試して欲しいんだ。