身体もほてるし、喉も乾く~
白くんどうしたの?
そんな白くんには『白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)』が良いかも!
それちょうだい!
そんなにカッコいいかな?
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です!
『暑い季節に炎天下で作業していたら倒れてしまった!』
最近の夏によく聞くニュースですよね。
冷えは万病の元と言いますが、熱というのも病の大きな原因になります。
でも…
体を冷やす漢方薬って知ってますか?
特に急性期の症状に対する『冷やす漢方薬』は認知度低いイメージです。
急性期での症状に有名な葛根湯や麻黄湯などは体を温める漢方薬です!
急性期に冷やす漢方薬をおぼえておくと治療の幅が広がりますし、暑い夏にとっても便利です!
そこで今回は体を冷やして潤す漢方薬『白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)』について解説していきます!
- 熱が出やすい人
- 熱中症がこわい人
- 赤みの強い皮膚炎の人
白虎加人参湯ってどんな漢方薬?
ものすごく簡単に説明すると
白虎湯に人参を加えたものです!
なので、そこから解説!
白虎は中国の西の守り神。
白虎湯のメイン生薬の石膏が白いことからこの名前がついたとされています。
白虎湯の出典は西暦200年くらいに書かれた傷寒論および金匱要略です。
『体を冷やす漢方薬』の代表で
- ほてり
- 高熱
- 皮膚炎
等にとても有効な漢方薬です。
この白虎湯み体を元気にし、潤す『人参』を加えることで
少し慢性化した症状や口渇などにも有効な漢方薬となっています。
傷寒論には白虎化人参湯は
寒さが原因の急性病が長引いて、寒気などはなくなったが熱症状に変化した
その熱によってのどが渇き、ほてり、水を欲しがるようなときは白虎加人参湯を飲みましょう。
※超意訳
と書いてあります。
また金匱要略には
「太陽の中熱は暍これなり、汗出でて悪寒し身熱して渇す。白虎加人参湯之を司る。」
とあります。
この暍(えつ)というのは現代では日射病と考えられています。
そのため日射病で大汗でかき体液を失い喉が乾いたときに有効とされています。
構成生薬
構成生薬は前述したとおり、清熱の白虎湯に補気と生津(潤す)の人参を加えた処方内容です。
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
石膏 | 熱を去る(主に体表面)潤す |
知母 | 熱を去る(石膏を強める)潤す |
粳米 | 胃腸が荒れるのを防ぐ、潤す |
人参 | 元気を補う(大補)体の潤いも補う |
甘草 | 胃腸を元気に、潤す |
人参が加わることで高熱が続いて体液が消耗し、胃腸も衰えた時にも有効な処方となっています。
潤う生薬が多いのも特徴的です。
皮膚炎などは乾燥させる生薬で悪化することもあるので重宝します。
よく使う例
体力中等度以上で,熱感と口渇が強いものの次の諸症:のどの渇き,ほて
り,湿疹・皮膚炎,皮膚のかゆみ厚生労働省 薬局製剤指針より引用
体を冷やして潤す漢方薬『白虎加人参湯』いろいろな場面で活躍します。
どのようなときに使うか見ていきましょう!
急性の熱症状(熱感・ほてり)
原典である傷寒論の使い方。
風邪がこじれたり、熱の邪気が侵入してきて
- 高熱
- 口渇
- 大汗
の症状が出てきた時に有効です。
特に風邪で高熱が出たときや熱中症、日射病にはファーストチョイスだと思っています!
口渇
体を冷やし、潤す白虎加人参湯は口渇(口の渇き)によく効きます。
熱中症などの急性期にも有効ですが
- 慢性病による口渇
- 高齢者の口渇
この様な少し慢性化した口渇などにも応用されます。
赤み強い皮膚炎
特に表面が赤く熱をもった皮膚炎に有効です。
石膏、知母といった強力な清熱薬で素早く炎症を去ってくれます。
また全体的に潤す成分も有しているので乾燥系の皮膚炎にも有効です。
ただ、慢性化した皮膚炎には白虎加人参湯だけで使用するのはあまりオススメしません。
慢性化している場合は炎症を去る処方も大事ですが皮膚の再生をうながす生薬も必要になってきます。
黄連解毒湯の燥性を和らげる
同じ強力な清熱薬に黄連解毒湯があります。
この黄連解毒湯は体の熱を取り去ると同時に体の不要な水分を去る作用もあります。
解毒やジュクジュクした皮膚炎には有効なのですが乾燥傾向の人には向きません。
そのため白虎加人参湯と併用すると乾燥傾向の人にも使用することができます。
注意すべき点
応用範囲が広く、使いやすい『白虎加人参湯』ですが、なんでもかんでも使える訳ではありません!
実熱タイプの漢方薬
人参が入り多少マイルドになっていますが、もともとの『白虎湯』は実熱の代表漢方薬。
簡単に言うと体が強い人の急性熱症状に有効な漢方薬です。
目標のタイプは
- 口渇
- 多飲
- 火照り
- 脈は洪大
- 舌は燥、黄苔
- お腹の力が強い
虚弱体質の人にも使えますが強力な寒性をもっているので長期連用は要注意です。
もちろん体質によるので常にほてっている人には長期で使ってもOK
ただ、長期でのほてりや口渇には『六味丸』などの虚証タイプの漢方薬のほうが使いやすいです。
まとめ
簡単にまとめると
- 白虎加人参湯は体を冷やして潤す漢方薬
【良く効く症状】
- 急性期の熱症状
- 赤みの強い皮膚炎
- 口渇
【注意すべき点】
- 体を冷やす漢方薬
- 慢性病に使用する時は工夫する
やっぱり名前が良いからかな?