最近は食べ過ぎてないよ。
じゃあ他の原因も考えてみよう。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「食欲はありますか?」
「食欲の有無」は体調のバロメーターとして重要です。
一時的な食欲不振であればそこまで問題ありませんが、長期間にわたる場合は慢性的な疲労や倦怠感につながる可能性があります。
そこで、今回は中医学的な観点から「食欲不振の原因と対策」について解説していきたいと思います。
- 食欲がない
- 倦怠感を感じる
- 胃腸が強くない
食欲不振とは?
中医学では脾胃(≒胃腸)の動きは、正常ならば、
- 胃の気は下向き
- 脾の気は上向き
このように働きます。
食欲不振とは、何らかの原因で胃の気が失調。
上手く下向きにならなくなり、結果として食事を受け取れない状態を指します。
胃を含む消化器官を統括する五臓の脾(ひ)は「後天の本」とも称されています。
これは、脾胃が後天的にエネルギーを生成する重要な場所であることを意味しています。
例えるなら脾胃はエネルギー工場です。
この中で胃は解体工場、脾はエネルギーを生産し、運搬する工場です。
工場の調子が悪ければ製品が生産されません。
胃は工場の材料を受け取る入り口です。
食欲不振は材料の受け付け口がシャットアウトしている状態です。
エネルギーの生成が妨げられ、結果として疲労(エネルギー不足)の原因になる可能性があります。
食欲不振の原因と対策
食欲不振の原因は様々です。
自身にあった対策を取れるようにしましょうね。
肝胃不和(ストレスが原因)
簡単に言うとストレスが原因で食欲不振になっている状態です。
脾胃は肝の力を借りて消化吸収をスムーズに行っています。(肝の疏泄作用)
その肝の気が強くなりすぎてしまい、本来下向きの胃の気が上向きになってしまい食欲不振につながります。
曖気(ゲップ)やしゃくりが多くなるのが特徴的。
その他にも吐き気、ゆううつ、抑うつ、いらいら、胸腹部の不快感などが現れます。
ハーブティーを飲んだり、運動したり、好きな音楽を聴くなどリラックスを心掛けると良いです。
身体の気を動かしてあげると良い方向に行くことがあります。
ストレッチや軽い運動(激しい運動は逆効果のこともあり)がオススメです。
脾胃湿熱
普段から甘い物や脂っこい物を食べ過ぎて胃腸に「不要なベタベタ(湿+熱」が残ってしまっている状態です。
食欲不振以外に体臭・口臭があったり下に黄色い苔がべったりついていることが多いです。
便がベタベタしていてスッキリ出ない人、便が便器にこびりつく人は湿熱を疑いましょう。
このタイプは特に食事に気をつけましょう。
甘い物、脂っこい物を食べ過ぎないことが一番大事です。
お酒は体に湿をため込む性質なので注意が必要です
脾気虚
日本人に多い脾気虚。
簡単に言えば胃腸の虚弱症状です。
身体的疲労や慢性的な飲食物の不摂生で胃腸の元気が低下することで起きます。
このタイプには市販の胃薬などはあまり効果がありません。
消化を助けたり、胃腸の動きを改善ずる胃腸薬を飲んでも一時的に良くなるだけで、すぐに元に戻ってしまいます。
主な症状としては疲労で食べる気がしない、すぐにお腹いっぱいになる、胃もたれ、消化不良、元気が出ない、慢性的な下痢(軟便)
「脾は運化を主る」
脾が弱るとエネルギー生成と水分の代謝が低下し疲れや下痢といった症状が多くなります。
食欲がない時は無理に食べないようにしましょう。
脾気虚の人は無理に食べると負担になってしまうことが多いです。
食べるなら「お粥」や「くたくたに煮込んだおうどん」などをよく噛むようにしましょう。
脾陽虚
脾気虚が悪化し冷え症状を伴っている状態です。
脾気虚の症状に四肢の冷えや顔色が白いなど「冷え」が加わります。
原因は冷たい物の取り過ぎ(継続的に)
温めると楽になる、手でさすると楽になる
これが続くと…
腎にも派生して脾腎陽虚となってしまい症状がさらに悪化してしまいます。
早朝の下痢「五更泄瀉(ごこうせっしゃ)」
五更の刻(夜明け前)になると下痢などが有名な症状です。
胃陰虚
脾気虚を放っておいたり、熱病の後などで脾胃の陰が損傷することで起きます。
「空腹なのに実際食べると食べれない」という症状が特徴的。
その他にも口が乾く、唇が乾燥、便秘などの潤い不足の症状が現れます。
食べ過ぎ(食滞)
これはどちらかというと一時的な原因です。
食べ過ぎや消化の悪いものを食べて消化能力のキャパオーバーが起きている状態。
この状態を食滞(しょくたい)といいます。
胃酸過多、吐き気やゲップ(くさい)便がベタベタなどが起ります。
人によっては便秘になる人もいます。
舌が膩苔(じたい)あるいは腐苔と呼ばれる苔がべったりの汚い舌が特徴的です。
胃腸を休め、消化を助ける漢方薬を服用すると良いです。
予防には大根おろしやカブなどの消化酵素を含む食材や香草類の胃腸の動きを改善する食べ物をとるようにしましょう。
早食いで噛む回数が減ると満腹中枢が刺激されにくく、食べすぎます。
よく噛むことも大事ですよ。
まとめ
今回は食欲不振について解説していきました。
自分がどんな理由で食欲がないかを確認してみましょう。
対応する養生や漢方薬を使わないと効果が薄い場合もあります。
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