
みなさん、こんにちは。
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「命の母」という市販薬は、テレビCMなどでもよく見かけるため、ご存知の方も多いと思います。
漢方薬局でも「今、飲んでいるお薬はありますか?」とお聞きすると、「命の母を飲んでいます」と答える方がとても多いです。
実は「命の母」と一言で言っても色々なシリーズがあります。
その中でも、最近じわじわと私が注目しているのが「命の母アクティブ」です。
この「命の母アクティブ」他のシリーズとは違い、更年期のピークを過ぎたあとの “その後の不調” をターゲットに設計された構成です。
今回は、そうした方をサポートする「命の母アクティブ」について、中医学的な視点からわかりやすく解説していきます。
- 疲れやすい
- 肩や腰が重い
- やる気が出にくい
命の母アクティブとは?


「命の母アクティブ」は、閉経後や更年期後の体と心の変化に配慮して設計された市販薬(第3類医薬品)です。
10種類の生薬が自律神経の乱れにアプローチし、血流や筋肉のめぐりを整える目的で配合されています。
メーカーによる特徴は以下の通り
- 更年期は過ぎたのに、肩こり、腰痛、重だるさ、冷えなどがつらい方のための生薬製剤です
- 女性ホルモンの減少による症状に、10種類の生薬が自律神経の乱れを整えて効いていきます
- 「血流促進」「骨・筋肉の補強」で肩こり・腰痛・重だるさ・冷えなどに効きます
- 更年期の後もアクティブな生活をサポートします
※医薬品のため、服用前には必ず添付文書を確認してください
小林製薬HPより
特徴的なのは、「更年期を過ぎたのに」「骨・筋肉」といったキーワードです。
命の母アクティブは、同シリーズの婦人薬の中でもこの点が大きな違いといえるでしょう。
命の母アクティブは15才未満は服用できません☒
命の母アクティブの配合生薬と主な生薬の効能
| 人参(ニンジン)200mg | 補気:体力・気力を補う |
|---|---|
| 当帰(トウキ)300mg | 補血・活血:血を補い、めぐりを整える |
| 芍薬(シャクヤク)300mg | 養血・緩急:筋肉の緊張をやわらげる |
| 川芎(センキュウ)200mg | 活血・行気:血行促進、頭痛・肩こりのケアに |
| 茯苓(ブクリョウ)100mg | 利水・健脾:水分代謝、むくみをサポート |
| 桂皮(ケイヒ)200mg | 温陽・散寒:体をあたため、冷えをやわらげる |
| 牡丹皮(ボタンピ)300mg | 清熱・活血:血の滞りを改善し、のぼせやほてりを緩和 |
| 牛膝(ゴシツ)300mg | 活血去瘀・補肝腎:腰や膝のだるさ、冷えの改善をサポート |
| 白朮(ビャクジュツ)100mg | 健脾・利水:胃腸を整え、体内の余分な水分をさばく |
| 甘草(カンゾウ)300mg | 調和諸薬・緩急止痛:他の生薬の作用を整え、胃腸を守る |
構成を見てみると、「命の母アクティブ」は八珍湯(四物湯+四君子湯)から地黄を除き、牡丹皮と牛膝を加えた形に近い内容となっています。
牡丹皮と牛膝はともに血(けつ)の流れを改善する生薬。
八珍湯は、気血を補いながら体をあたため、全身のバランスを整える目的で使われる代表的な漢方方剤として知られています。
「血流促進」や「骨・筋肉の補強」といった特徴は、生薬の牛膝(ごしつ)が含まれている点に由来していると考えられます。
牛膝は、一般的に血のめぐりを整え、肝腎(かんじん)の働きを補い、筋骨を健やかにする目的で用いられる生薬です。
命の母アクティブが向いているタイプ


中医学的に見ると、「命の母アクティブ」は〈補気+補血〉のバランスを意識した構成になっています。
このような組み合わせは、中医学では「気血両虚(きけつりょうきょ)」と呼ばれる状態の理解に近いものです。
気血両虚の傾向として、次のような特徴が挙げられます。
- 更年期を過ぎても疲れやすく、体が重い
- 肩こり・腰のだるさ・冷えがある
- 朝スッキリ起きられず、やる気が出にくい
- 顔色が悪く、肌の乾燥を感じやすい
- 食欲や体力の低下を感じる
これは、加齢や過労によってエネルギー(気)と血(栄養)が不足している状態と考えられています。
「命の母アクティブ」は他のシリーズに比べて〈補う力(補気・補血)〉の生薬が多めで、短期間で効果を求めるというよりも、じっくり体調を整えていく方向性の構成です。
また、補血でよく使われる地黄(じおう)が含まれていないため、似た構成の十全大補湯に比べると補血の力はやや穏やかといえます。
一方で、地黄は胃に負担を感じやすい生薬でもあるため、胃腸が弱い方にも比較的使いやすい処方設計といえるでしょう。
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注意が必要なタイプ(合いにくい場合)


以下のようなタイプの方は、服用を慎重に検討したほうがよい場合があります。
- 顔が赤く、のぼせやすい(実熱タイプ)
- お腹が張ってイライラしやすい(気滞タイプ)
- 妊娠中・授乳中の方(専門家に相談してから服用がオススメ)
更年期後の不調は、必ずしも「虚」の症状だけとは限りません。
これらの症状が顕著な場合は注意しましょう。
特に「気」を巡らせる生薬が少なめなので、気が滞るタイプは他のシリーズのほうが向いているかもしれません。
季節や体調の変化によっても状態は変わるため、服用しても効果を感じにくい場合や、自分の体質に合っているか不安な場合は、専門の相談員や薬剤師に相談のうえで漢方薬を選ぶことをおすすめします。
体質チェックリスト
□ 疲れやすく、だるいことが多い
□ 肩こり・腰の重だるさがある
□ 手足が冷えやすい、血色が悪い
□ めまい・動悸・息切れを感じることがある
□ 月経不順や便秘、むくみなどの不調が気になる
□ のぼせやイライラが強い(☓)
これらの傾向は、効能効果に記載されている「更年期障害」「冷え症」「血の道症」などに関連する不調に近い状態といえます。
中医学的に見ると、こうした更年期の症状でも「気(エネルギー)」と「血(栄養)」の両方が不足した“気血両虚(きけつりょうきょ)”のタイプには有効と考えられます。
「命の母アクティブ」は、補う方向(補気・補血)を意識した構成で、じっくり体調を整えていくタイプの漢方薬です。
一方で、顔が赤くのぼせやすい方、イライラが強い方など、熱のこもりが目立つタイプは合わない場合があります。
命の母シリーズとの比較


同じ「命の母」シリーズでも、配合されている生薬や対象とする体質が少しずつ異なります。
中医学の視点から見ると、それぞれの方向性(巡らせる・整える・補う)に特徴があります。
| 製品名 | 構成・主な生薬 | 中医学的特徴 | 対象となるタイプ |
|---|---|---|---|
| 命の母A | 13種類の生薬(香附子・川芎・紅花など)+ビタミン類 | 「巡らせる」タイプ(気滞・瘀血) 気血の巡りを整え、情緒不安や冷えのぼせに対応 | 更年期障害・PMS。 イライラ・便秘傾向のある方。 ※大黄を含むため、胃腸の弱い方は注意。 |
| 命の母ホワイト | 桂枝茯苓丸+当帰芍薬散+大黄・人参など | 「整える」タイプ(気滞+血虚+水滞) 血と水の巡りを整え、冷え・月経不順・生理痛などに配慮 | 月経前の不調(PMS)や冷え性。 ※妊娠中の服用は医師・薬剤師に相談が必要。 |
| 命の母メグリビ | 加味逍遙散+四物湯 | 「潤し巡らせる」タイプ(血虚+気滞) 気と血の不足による疲労・肌の乾燥・気分の落ち込みをサポート | プレ更年期や肌・気分の不調が気になる方。 ※刺激性生薬(大黄)を含まない、穏やかな処方。 |
| 命の母アクティブ | 八珍湯をベースに牡丹皮・牛膝などを配合(大黄を含まない) | 「補う」タイプ(気血両虚) 体力や気力を補い、冷えや疲労感をサポート | 更年期後・閉経後の疲れ・冷えを感じる方。 ※妊娠中や妊娠の可能性がある方でも比較的穏やかに使いやすいが、服用前は専門家に相談を。 |
まさに “その後の命の母” といえる位置づけです。
まとめ


今回は命の母シリーズの「命の母アクティブ」について中医学の視点から解説してみました。
簡単に内容をまとめると
- 「命の母アクティブ」は、更年期後の疲れやすさ・冷え・体力の衰えを感じる女性の健康維持を目的にした市販薬
- 中医学的には、更年期後の気血両虚(エネルギーと血の不足)に着目した構成といえる
【向いているタイプ】
- 体力・気力の低下を感じる
- 冷え性で疲れやすい
- 更年期を過ぎても体の重だるさがある
【注意が必要なタイプ】
- 顔が赤くのぼせやすい
- お腹が張る、イライラしやすい
- 妊娠中・授乳中の方(相談したほうが無難)
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