汗が多いかな!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です!
梅雨時期や雨が続くと体が重くなったり、汗が止まらなくなってしまいませんか?
もしかしたらそれは、
『エネルギー不足(気虚)+湿気(内湿+外湿)』
これらが重なった原因かもしれません。
そんな人にオススメの漢方薬は『防己黄耆湯(ぼういおうぎとう)』
ドラッグストアなどでは『ダイエットの漢方薬』として売られているのを見ますが、体質に合っていないと効果は出ません。
気になる方は最後まで読んでみてくださいね!
- ちょっとしたことで汗が出る
- 湿気の時期に体が重だるい
- 体が浮腫んでいる
防已黄耆湯ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
気(エネルギー)が足りない&水をためこんでいる人にオススメの漢方薬です。
出典の金匱要略の代表的な条文には、
- 風湿の邪気に侵され、体が重く、汗が出て軽い寒気がする者は防已黄耆湯を用いる
※超意訳
本来は風湿という外邪に侵された時に使う処方とされています。
ポイントとしては脾肺の気虚(エネルギー不足)があります。
これにより
- 体表面を守る「衛気」が不足→汗が漏れ出る、外邪の侵入を許す
- 水分代謝に大事な脾肺の虚→水が滞る
このようなことが起きます。
本来なら体表面に邪気がある場合は葛根湯や桂枝湯など発汗させて邪気を去るべきです。
でも、衛気が不足している状態で発汗すると過度になってしまい事態を悪化させる危険があります。
そのため防己黄耆湯で水分代謝を上げ、気を補って治療すべきとされています。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
防已 | 体の不要な熱と水分を去る |
黄耆 | 衛気を強めるとで漏れを防ぎ、水分代謝を調整する |
(蒼)朮 | 防已とともに不要な水を去る(白朮だと黄耆の補助) |
甘草 | 補気を助ける 生薬を調和させる |
生姜 | 他の薬の補助 |
大棗 | 他の薬の補助 |
体表面にある邪気を『発汗』をしたいところですが、防衛の気『衛気』が足りないのでそれが出来ない時の処方構成です。
防已で不要な熱と湿気を去り、黄耆で衛気を補います。
イメージは穴の開いたホースに対して、
- ホースの穴をふさぐ
- 息を入れて水を行かす
こんな感じでしょうか!
朮(白朮・蒼朮)は防已の利水効果を高める働きがあります。
白朮だと黄耆の補気作用を助ける効果も出てきます!
※もちろん気虚が強い場合
よく使う症状
条文の風湿という言葉通り高温多湿な日本では、梅雨時期から夏場に活躍する場面がある処方だと思っています。
水分代謝、補気という点から現代では、
- 汗を止める
- 水太り
これらの漢方薬として有名です。
『汗』『太る』この単語がインパクトがあるせいか過大広告を目にすることが多い処方とも言えます。
上記で説明した通り『気虚』というポイントを忘れてしまうとあまり効果がないので頭には入れておきましょうね!
水太り・浮腫み
気を補い、水分代謝を上げるので『水太り』に対してと効果があります。
水は重いので「重ダルイ」や「むくみ」がある人に有効です。
気が足りていないので筋肉に締まりがないという特徴もあります。
多汗症
『汗をかきやすい』という症状に使います。
これは体表面を守る気『衛気』が足りなくて漏れ出る汗に有効です。
特徴としては
- 何もしてないのに汗をかく
- 一度汗をかくと止まらない
- 緊張をしてないのに汗をかく
暑くて汗が出るのは当然なので間違えないようにしましょう!
また汗は体内に不要な熱がこもったり、冷やす成分(陰)が足りなくても出ます。
その場合は他の漢方薬の方が有効だったりするので注意しましょうね!
関節痛
防已黄耆湯は関節痛に使う場面があります。
防已黄耆湯は熱を去る、浮腫みを去るという性質上なので下半身が腫れて痛むような関節痛に有効です。
注意だね。
注意すべき点
冷え性は注意
メインの生薬『防已』は炎症を去る作用、体の熱を去る作用が強い生薬です。
元来冷えが強い人は単独で使用し続けるのは注意した方が良いです。
水を飲み過ぎたら効果は半減
防已黄耆湯は水分代謝を促す漢方薬。
最近はダイエットで水を1日2~3リットル飲む!
こんな人たちがいますが『水分を取りすぎてる人』は防已黄耆湯の効果は半減します。
※水が1日2~3リットル飲むということ自体が疑問。
まとめ
防風通聖散とならびダイエットの漢方として有名な『防已黄耆湯(ぼういおうぎとう)』
高温多湿の日本では活躍する場面が多い漢方薬です。
簡単にまとめると、
- 防已黄耆湯は補気と水分代謝の漢方薬
【よく使う症状】
- 水太り・浮腫み
- 多汗症
- 関節痛
【注意すべき点】
- 冷え性
- 水を飲み過ぎたら効果は半減
本来、いらない水は尿で出るのが正常のルートだよ。
汗をかけばいいわけじゃないんだね!
特に夏場は!