手足が冷たい・・・。
生姜を食べてるのにすぐ冷える(涙)
その場合は生姜だけだと改善しないよ。
そのタイプによって使う漢方薬も違うし養生法も変わってくるんだよ。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方薬局には一年を通して「冷え」の相談が来ます。
冷房、冷蔵庫が進化した現代では夏でも冷える方が多いです。
「冷えは万病の元」などというように様々な疾患の原因になります。
この「冷え」にもタイプがあり対応するかんぽ王役があります。
そして、間違って使うと効果が弱くなります。
そこで今回のテーマは現代病とも言える「冷え」について解説していきます。
冷えの原因とは
冷え(寒)の原因は大きく分けて2つのタイプ。
- 外からの冷え→外気、冷房、冷たい飲食物 など
- 内からの冷え→エネルギー不足、体の水分過多 など
上記の2つは重なることもあります。
原因(病因)に応じて漢方薬や養生法も変わってきます。
病院で『冷え』と訴えても西洋薬はほとんど処方されません。(ビタミン剤などは処方されるかも)
中医学(東洋医学)では『冷え』は立派な症状です。
冷えは単独でも辛い症状ですが他の症状に派生しやすいのが厄介です。
お困りの際は近くの漢方薬局、薬店を訪ねてみましょう。
自身にあった漢方薬を選んでくれますよ。
外寒
外邪である寒邪に犯された状態です。
一般的には風邪(ふうじゃ)と共に侵入してくるので風寒邪に犯された状態になります。
特徴としては…
- 悪寒発熱
- 水っぱな
- 薄く白い痰
- その他風邪(かぜ)の諸症状
一般的な風邪症状が出やすいです。(厳密に冷えというかは微妙)
発熱と悪寒という一見、寒熱が逆の症状が同時に出るのが特徴です。
治療法としては「辛温解表」汗をかかせて風寒邪を去るというものが一般的です。
風寒邪は背中から入ってくるとされるので首、背中を冷やさないようにするのも大事です。
葛根湯(かっこんとう)
みんな大好き辛温解表薬の代表処方です。
麻黄+桂皮(桂枝)で発汗力がとても強い処方。
無汗で発熱悪寒がある場合は有効です!
咳が強い場合は【麻黄湯】の方が良い場合もあります!
この処方たちは「冷え」というより「冷え(寒)が原因で風邪を引いた」ときの漢方薬と考えましょう。
- 長期連用
- 体質改善として使う
これらをしてしまうと逆に発汗で体力を失ってしまいます。
陽虚
体を温める「陽気」が損なわれている状態です。
- もともと陽気が少ないタイプ
- 病気や疲れで陽気が失われたタイプ
①の方が治しにくいです。
陽気が少ないと外寒も侵入しやすくなります。
長時間、寒いところにいても陽気は失われるので注意しましょう。
現代に日本人に起こりやすいです。
関連しやすい臓器は「脾」「腎」
『脾』の場合は下痢などの胃腸障害をともないやすい。
『腎』の場合は頻尿や冷えて腰痛、膝痛などをともなう。
慢性化しやすく治療にも時間が必要です。
特徴としては…
- 顔が白い
- 浮腫む
- 下痢
- 疲労感
- 風邪(かぜ)をひきやすい
- 重症だと手足が氷水に入れたように冷たい
このような症状が出やすいです。
主な治療法は温補腎陽、温中散寒、補脾
腎、脾のエネルギーを補い寒さを散らす力をつけるような漢方薬を使います。
人参湯(理中丸)
脾陽虚(お腹が慢性的に冷える)の代表処方です。
人参湯という名前ですが君薬(メイン生薬)は乾燥した生姜である「乾姜」
温める力がとても強いです。
また人参が胃腸の力を補うため疲れやすい人にも有効。
4味だけのシンプルな処方で切れ味も良い!
冷えからくる慢性の下痢や腹痛、胃痛などにはオススメ。
八味丸(八味地黄丸)
こちらは腎陽虚の代表薬。
腎虚の基本処方『六味丸』+桂皮(シナモン)・附子(トリカブトの毒性を抜いたもの)
内側から温めるの代表『桂皮』と『附子』が入っているので温める力は強いです。
冷えて膝腰痛、頻尿、浮腫むなどにはとても効果があります。
腎虚(老化)の処方なので高齢者で冷える人にはまず考えなければならない処方です。
お困りの人は検討しても良いかもしれませんね。
真武湯
八味丸で胃腸に負担がかかる人は真武湯も良いかもしれません。
脾・腎の陽虚に有効な漢方薬です。
人参湯と比べると体の不要な水をさばく生薬を多く含みます。
下痢が顕著な場合は真武湯のほうがベターです。
血虚
もともとの体質や慢性疾患などで「血(けつ)」が失われた状態です。
「血」には体を温める作用があるので隅々まで行き届かないと寒邪を受けやすくなります。
特に四肢の末端は「血」が行き届きにくいため冷えを感じやすくなります。
このタイプは主に女性が多いです。
女性は生理後や産後に大量の血を失うために「血虚」になりやすくなります。
また、寒邪は凝滞の性質を持つので瘀血(おけつ)も生じやすくなります。
主な症状の特徴としては…
- 手足が冷える
- 貧血気味
- 顔色がくすんだ黄色か青白い
- 生理不順(遅れる)
- 生理痛が重い
このような症状が出やすくなります。
治療法としては温経散寒、養血
血を補い経絡を通す事が優先です。そのうえで寒邪(入り込んでいれば)を散らす。
十全大補湯
気血両虚という「気」「血」両方が不足したときの漢方薬です。
「血は気の母」
「気は血の帥」
気と血はお互いに関係しあっている関係です。
血が不足している時は気も不足していることが多いです。
病後、術後などの冷えにはとても良いです。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯
血虚の状態で寒さを受けてしまった「血虚受寒」に対する代表処方です。
血を補う「当帰」「芍薬」に細辛、桂枝、呉茱萸、生姜などの温める生薬を含む処方です。
『しもやけ』や『手足の冷え』のファーストチョイスの漢方薬。
冷えて生理痛などにも良く効きます。
当帰芍薬散
こちらも当帰を含む処方ですが。
特徴的なのは「白朮(蒼朮)」「茯苓」「沢瀉」の水をさばく生薬を含む点。
血の巡りを上げるのに邪魔な不要な水を抜く効果があります。
血虚の症状に浮腫みが伴う場合は【当帰芍薬散】がオススメ。
直接温める生薬は少ないので冷えが強い人は【当帰四逆加呉茱萸生姜湯】を併せるとよいです。
婦人宝・婦宝当帰膠
冷えを去る効果はそこまで高くは無いですが「血」を補う力が強い処方。
構成生薬は十全大補湯に似ていますが、補血薬の代表「当帰」をふんだんに含んでいます。
生理が遅れる、貧血気味、なんとなく冷える時にオススメ。
また飲みやすいシロップなのも評価が高い処方です。
まとめ
冷えもタイプによって漢方薬を変わっていきます。
今回は冷えに対しての代表的な処方を紹介してみました。
※実際はもっといっぱいあります。
自身の「冷え」のタイプにあったものを選べると良いですね。
簡単にまとめると
- 発熱悪寒があり風邪(かぜ)の症状をともなう
→外寒タイプ - 下痢や胃腸障害をともなう
→脾陽虚タイプ - 高齢者で頻尿、排尿困難などをともなう
→腎陽虚タイプ - 女性で末端が冷える、生理後悪化
→血虚タイプ
だから血虚タイプには補血の漢方に生姜をプラスしてあげると効果的だよ!
じゃあ、とりあえずアイス食べていい??