少なくとも私はおススメしません!!
何をおススメするの??
私なら基本は香蘇散(こうそさん)をオススメしますよ!!
こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です!
体の弱い人の風邪薬って何が浮かびますか?
『葛根湯?』
『麻黄湯?』
いえいえ違います!
『香蘇散』です!
知らない人の方が多いかも知れませんが、知っておくととっても便利な漢方薬なんですよ〜!
他にもいろいろな便利な作用があります。
今回は玄さんも大好きな処方『香蘇散』についてまとめてみます!
- 葛根湯が強すぎる
- 胃腸が弱い
- 妊娠中に風邪をひいた
香蘇散ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
体が弱い人・胃腸が弱い人でも使える風邪薬です。
出典の太平恵民和剤局方には
季節を問わず、流行性の感染症を治す
※超意訳
この様なことが書いてあります。
個人的には葛根湯よりも使いやすい風邪の漢方薬です。
特に国土を海で覆われており、胃腸の弱い日本人にはとてもあっています。
配合生薬
生薬名 | 効能 |
---|---|
紫蘇葉 | ①風寒の邪気を発散する軽度の発汗解表の作用。 ②胃腸の気のめぐりを改善 ③解毒作用(魚介類) ④安胎作用 |
香附子 | 気のめぐりを改善。軽い発散作用あり |
陳皮 | 胃腸の気のめぐりを改善 |
甘草 | 各生薬の調和 |
生姜 | 体を温め、胃腸を調える |
非常にシンプルな構成です。
構成生薬からもわかるように『香蘇散』は気のめぐりを改善する生薬を多く含み胃腸が弱い人の風邪にもってこいです。
香附子を含むのもポイント。
このおかげで神経症状や婦人病への応用できます。
よく使う症状
体力虚弱で,神経過敏で気分がすぐれず胃腸の弱いものの次の諸症:かぜ
の初期,血の道症厚生労働省 薬局製剤指針より引用
風邪の初期(虚弱者)
香蘇散は虚弱者の風邪の初期に有効です!
冷えからくる風邪に対して、有名な葛根湯、麻黄湯には
『桂枝(皮)+麻黄』がふくまれます。
この二つの組み合わせは強力に体を温め汗をかかせることに長けています。
ただ汗をかくというのは体力がある人しか使ってはいけない治療法。
虚弱の人に使っていくと虚がさらに進んでいく恐れがあります。
紫蘇葉、香附子の穏やかかな発汗作用で弱い風邪に優しく効いてくれます。
もう少し発汗させたい場合はすりおろした生姜を一緒に服用すると効果アップします。
婦人の風邪(産後・妊娠中・生理中)
妊娠中の冷えから来る風邪の第一選択と言ってもよいです。
血の道症とは、月経、妊娠、出産、産後、更年期など女性のホルモンの変動
に伴って現れる精神不安やいらだちなどの精神神経症状および身体症状のこと
である。一般用漢方製剤承認基準 より引用
この様に香蘇散はホルモンバランスの乱れからくる症状にも有効なので妊娠中でも使いやすいです。
「麻黄」を使用していないというのもポイント。
麻黄の主成分は「エフェドリン」
交感神経を刺激する作用があります。
どうしても必要な時以外は服用を控えるほうが良いでしょう。
体力虚弱+血の道症
妊娠中だけでなく生理、産後にも使いやすい漢方薬です。
「妊娠中でも絶対安全」とは言い切れません。
服用量・妊娠期間など人によってよって違いがあります。
妊娠中に市販薬などを服用したい時は必ず担当の産婦人科医師に相談しましょう。
胃腸障害
特に胃の不快感に有効です。
香蘇散には香附子、紫蘇葉、生姜という胃の機能を改善する生薬が含まれます。
食べ過ぎ、飲みすぎで胃の機能が一時的に衰えている人に有効です。
ただ、元気をつける生薬は含まないので慢性的な胃の疲れには補中益気湯などが適しています。
また紫蘇葉は昔から魚や蟹などの魚介類の解毒作用が有名です。
生魚による食中毒を気にされる方には前もって香蘇散を服用しておくとよいでしょう。
注意すべき点
熱感の強い風邪
香蘇散の構成生薬はほとんどが温性。
- 喉が痛い
- 高熱
- 大量に汗をかく
このような風邪症状には適しません。
体が温まってしまい逆効果の可能性があります。
注意しましょう。
ハッキリとした症状
良くも悪くも穏やかかな効能の香蘇散
- 冷え強い風邪→葛根湯
- 胃腸炎→藿香正気散
- 神経症状→抑肝散、加味逍遙散
このように症状がはっきりしている人には上記の処方の方が効き目がしっかりしています。
ただちょっと○○みたいなときに有効です。
まとめ
葛根湯よりも覚えて欲しい漢方薬『香蘇散』
胃腸に優しくとても使いやすい漢方薬です。
簡単にまとめると下記の様な症状に有効です。
- 軽い冷えからくる風邪
- 婦人の風邪(産後・妊娠中・生理中)
- 胃腸障害
胃腸障害やイライラにも使えるのでおぼえておくと便利な漢方薬ですよ!!