みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
中医学では病気になる原因を3つの因子で考えます。
- 外因→人体の外からくる病因(六淫)
- 内因→人体の中にある感情が猛烈なったもの(七情)
- 不内外因→それ以外(飲食物、疲労など)
コレまでは外因と内因についてはまとめました。
今回は最後の因子である【不内外因(ふないがいいん)】について解説してきます。
現代人には大事ですよ。
- 食事が不規則
- 疲れが溜まっている
- 病気が心配
不内外因(内因でも外因でもないもの)とは?
不内外因とは内因・外因どちらにも属さない病因を指します。
具体的には生活上の過不足な物が多く、
- 飲食物
- 労倦
- 運動不足
- 房事過多(性生活の過多)
- 遺伝
上記のようなものがあります。
瘀血や痰飲などの病理産物も不内外因になることもあります。
今回の内容からは省きます。
飲食
食事は養生の基本です。
食事には当然ながら脾胃(≒胃腸)の力が関係してきます。
食べすぎ、食べなさすぎ(過度なダイエットなど)どちらも問題です。
どこでも簡単に美味しい物が手に入る現代人の場合は主に食べ過ぎによる弊害が多いようにも感じます。
過食、過少
暴飲暴食や時間が不規則な食事は脾胃(≒胃腸)の不調に繋がります。
脾胃には消化吸収(運化作用)を主りエネルギーを作る臓です。
急性期では腹痛、食欲不振、胃痛、吐き気などを症状が現れます
慢性化するとエネルギー(気血津液)を作れなくなるため疲労や気力不足を生みます。
「食べてるのに疲れる」「体が重ダルイ」のは食べ過ぎが原因かもしれませんよ。
もちろん飲食が不足もNG。
原料が無ければエネルギーを作ることができません。
体質・季節に合ってない食事
体質に合っていない食事にも注意です。
情報が多い現代では
「〇〇に良い食事」「バツバツさんが推奨の食材」
この様な記事をよく見かけます。
いくら世間的に「よい食事」「スーパーフード」でも自身の体質に合わなければ逆効果のこともあります。
特に気を付けたいのが「寒熱」です。
飲食物を受け取り消化吸収する脾胃の性質は「土喜温燥」
逆に言うと冷たいものとベタベタした性質の食事は好みません。
食養生の基本は食事は温かく消化の良いものを食べること。
現代日本では1年を通して冷たい食事をしています。(出来てしまう!)
冷えやすい人は夏でも「水の氷を抜く」「寒性の食材に熱を通す」などの工夫しましょう。
熱タイプの人ならある程度は良いですが、冷たい飲食物を取り続けると胃腸の機能を低下します。
逆に暑がりの人や口臭体臭が気になる「湿熱」タイプの人は熱を生む辛い食べ物などは控えた方が良いです。
夏野菜などを中心に脾胃の熱を去る食材を選びましょう。
【例】
トマトはリコピンなど栄養素を含む素晴らしい食材です。
ただ、夏野菜のトマトの性質は微寒。
体の余分の熱を清める性質です。
冷え体質の人が1年を通して生のトマトを食べ続けるのは考えものですよね。
どうしても食べたい場合は火を入れたり、熱の性質の食材を合わせるような工夫が必要です。
偏った食事
体に良い食材でも極端に偏るのは要注意。
体質に合わせて多少の偏りがあるのは良いですが、
「××しか食べないダイエット」
この様なものは注意です。(大体は出ては消えていく…)
東洋医学の五行説には「五味(酸、苦、甘、辛、鹹)」があります。
五行はどこが強い、弱いでもダメでバランスが取れているのが良い状態です。
食事の理想も五味がバランスよく取れると良いです。
また五行には色(青(緑)、赤、黄、白、黒)もあります。
色々な「色」の食材を選んでもバランスが整います。
労逸
労逸とは過度な疲労と必要以上の休息のことを言います。
疲労には肉体的な疲労(身労)と心労、過度な性生活などがあります。
身労
過度な肉体労働ことです。
気血の消耗が大きくなるので疲労感を感じます。
消耗した気血を補充するには栄養のある食事が大切です。
バランスの良い食事とそれをエネルギーに変換できる胃腸の調子をととのえましょうね。
安逸過度
必要以上の休息のことを指します。
特に現代人は運動不足」です。
短期的には気血のめぐりが悪くなり張りや痛みの症状が出やすくなります。
人間は「動物」動く物です。
肉体を動かさないと気血のめぐりが悪くなり頭痛や肩こりなどの原因にもなります。
特に筋肉量の少ない女性は冷えやむくみの原因にもなるので動かさなすぎも注意ですよ。
長期になると脾胃の機能低下をおこしダルいや筋力の低下の原因になります。
【五労】
長い時間同じことをし続ける事は体に良くないことを示す言葉です。
※久しくは長い期間という意味
心労
精神の疲労です。
人間関係などで頭の使いすぎ、考えすぎなどが該当します。
長期に及ぶと精神不安や不眠などのメンタル疾患。
さらに続くと食欲不振や疲労感などの症状が出やすくなります。
心労は七情の「思」との関連が深いため脾胃の不調に繋がりやすいです。
「思則気結」→思えば気結す(停滞する)
※思=考えすぎる 思い悩む
思い悩みすぎると脾胃の動きが悪くなり食欲不振やお腹の張りにつながります。
たまに何も考えないで動く(体≫頭)のも良いです。
房労の過度
過度な性生活(房時)は生命の根源である腎精を消耗します。
腎精は足りなくなると腎虚の状態になります。
膝腰が弱くなる、耳が遠くなる、頻尿のような症状が出やすくなります。
過ぎたるは及ばざるが如しですよ。
遺伝
父母に性格や病歴が似てきます。
コレは変えることのできない事ですね。
変えることのできない事だかこそ「過去(先祖)」をみることで「未来への対応(養生)」ができます。
- 消化器のガン家系→塩分を控える
- 糖尿病の家系→糖質を控える 運動習慣をつける
反面教師的に考えると良いかもしれませんね。
その他(外傷、虫獣傷害、虫積、中毒 )
ここはサラッと!
古来の中国では冷蔵庫などないので食品衛生の問題もありました。
寄生虫の卵がついた食材や有害な成分を含んだ食材を食べてしまう事もしばしば。
もちろん今は大丈夫なことが多いです。(だよね?)
ただ、傷んだものを食べないことや衛生管理をすることは現代でも大事です。
特に胃腸が弱い人は生物には注意していきましょうね
昔は戦争が多かったり、消毒の技術の未発達でした。
傷口から邪気が侵入することで亡くなる人が多かったため注意すべきことでした。
まとめ
今回は生活の過不足による病因【不内外因(ふないがいいいん)】について解説していきました。
外因、内因と共に注意していきましょう。
今回の内容を簡単にまとめると
生活上の過不足があると病因の1つ不内外因になることがある
【不内外因になりうるもの】
- 飲食物
- 心身の疲労
- 運動不足
- 房事過多(性生活の過多)
- 遺伝
エネルギーを作るのは脾胃だからね。
休息と仕事はバランスよくね。
過度に不安にならず過去(祖先)を活かした養生をしようね。
って…うそーー信じられない??