もちろん漢方や中医学は素晴らしい学問だけど西洋医学も大事なんだよ!
どちらが優れているとかじゃないんだよ!
上手く使い分けることが大事なんだよ!!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
たまにお客さんなどに
『東洋医学が一番!』
『西洋医学は怖い!』
こうおっしゃる方がいらっしゃいます。
漢方薬に従事している身としてはとてもありがたいのですが・・
どちらもとても優れた学問です。
固執せず上手く取り入れると相乗効果も期待できます。
そこで今回は東洋医学(中医学)と西洋医学の違いを私なりに紹介していきます。
よかったら参考にしてくださいね!
東洋医学は広い意味で言えばアーユルヴェーダやチベット医学などの中東やアジア圏のことも指します。
日本では【東洋医学】というと一般的には漢方や中医学のことを指すので今回は中医学を中心に考えていきたいと思います。
- 東洋医学に興味がある
- 西洋医学に疑問がある
- どっちがいいかわからない
考え方の違い
西洋医学
西洋医学は病変部位にフォーカスし悪い部分を直接治すことで発展してきました。
病院で診療科目を見るとわかりやすく
- 胃腸なら消化器内科
- 鼻炎なら耳鼻咽喉科
- 婦人病なら婦人科
この様に診療科がわかれておりその分野のスペシャリストの治療を受けることができます。
ただ、他の部位の症状がでたら違う科を勧められると思います。
東洋医学
東洋医学(中医学)は基本的に診療科目がわかれていないことが多いです。
※専門科もあります。
そして
- 体を一つの有機体としてとらえる。
- 『なぜその症状が起きたか?』の部分をフォーカスする。
- 正気を補う治療が優秀
個人的にはこの点において東洋医学は優れていると感じています。
東洋医学の特徴①体を一つの有機体としてとらえる。
東洋医学では1つ1つの臓器が互いに関係しあっていると考えます。
五臓(肝・心・脾・肺・腎)六腑(胃・小腸・大腸・膀胱・胆・三焦)なども互いに影響しあっていると考えます。
そのため1つの臓器の病気でも他の臓器の治療をしたりします。
- 肺の症状に脾(胃腸)の漢方薬
- 脾の症状に肝の漢方薬
- 心の症状に腎の漢方薬
このような事をしたりします。
東洋医学の特徴②『なぜその症状が起きたか?』の部分をフォーカスする
また『なぜ?』の部分にフォーカスするので根本治療につながります。
『なぜ?』が治ると併発しているほかの症状が改善することもあります。
例えば
【原因】
仕事や家庭のストレス
【東洋医学の考え】
ストレス過剰により情緒や気血などをコントロールする肝の機能が低下
⇒肝の機能を改善する漢方薬を使う
すると生理痛と同時に下記の症状も改善…
- 生理前のイライラ
- 胸腹部の張り
- 胃腸障害
このように『なぜ?』を取り除くと同時に併発している症状も改善できる可能性があります。
同じ症状を繰り返す人はこの『なぜ?』の部分が取り除けていないからかもしれませんね!
東洋医学の特徴③正気を補う治療が優秀
正気を補う治療が得意というのも大きな特徴だと思います。
正気とは人に備わる臓腑や経絡や気血機能などの働き、邪に対して自身を守るパワーを統合する力を指します。
単に『正』とも言います。
自然治癒力や抵抗力と表現できるのかもしれませんね。
- 長期の疾病
- 慢性的なストレス
- 不摂生
あらゆることでこの正気は失われていきます。
東洋医学ではこの正気が足りないことも立派な病気です。
正気が足りない病気は症状は穏やかだけど長引く傾向にあるよ!
もちろん邪をとりのぞく治療もあるのですが、それだけだと正気も失われてしまいます。
『邪を取り除く+正気を補う』
これができるのが東洋医学の強いところだと感じています。
一般的に東洋医学は治療に時間がかかるというのはこの『正気を補う』治療が多いです。
邪を取り除く治療は早く効く場合もあります。
って理想だけど、よく考えたら怖いわね!
ゆっくりいきましょ☆
治療法・診断法の違い
【西洋医学】
- 手術
- 投薬
- 化学療法
- 放射線治療
※一例
症状が出ている『部分』を治療するため効き目が早い。
緊急性を要したり急性症状に向いてると言えるかもしれません。
【東洋医学】
- 漢方薬
- 針きゅう
- 按摩
- 気功
体全身の調整を得意とする治療が多いです。
※もちろん患部に効かせるものもある。
風邪で例えると
咳・鼻水・頭痛・発熱の症状
【西洋医学の場合】
出ている症状を重要視する。
それぞれの症状を去るお薬が出る。
⇒症状が緩和されてすぐに楽になります。
原因が取り除かれていないなら繰り返し起こるかも・・・
【東洋医学の場合】
なぜ風邪になったのか?を重要視する。
寒い所にいた→葛根湯や麻黄湯
体が疲れている→補中益気湯や桂枝湯
夏の暑さ負け→清暑益気湯や藿香正気散
原因が取り除かれているので繰り返さない。
⇒少し時間がかかることがあるけど根本治療
症状があってれば葛根湯や麻黄湯の効き目は早い!
あくまで一例じゃよ!
診断法の違い
当然ながら診断法も違います。
【西洋医学】
- 血液検査
- レントゲン
- CT
- MRI
代表的な西洋医学にはこの様な診断法がありますね。
これらには問題点が画像化、数値化されるというメリットがあります。
これにより正常↔異常がわかりやすいというメリットがあります。
わかりやすいということは安定した医療に繋がります。
検査の画像や数値に異常があれば症状がなくても治療することができ、大きな病気の予防につながります。
【東洋医学(中医学)】
- 四診(望診・聞診・問診・切診)
- 弁証
- 論治
この様に特殊な診断⇒治療法の決定をします。
これは治療者のセンスや経験がもろに現れます。
そのためどこでも同じ医療が受けれられるとは限らないのがデメリットといえるかもしれません。
ただ逆に考えれば検査値に異常が無くても症状があれば治療できるのということです。
同じ意味で病名がつかない症状にも治療ができることは困ってる人たちにするととても助かることです。
東洋医学の必要性
西洋医学の発展で命にかかわる外傷やウイルス性、細菌性の感染症などは致死率が劇的に低下しています。
今日の日本が長寿大国になったのも西洋医学の発展が一因しているのは間違いありません。
ですが、
- 西洋医学の治療が体調に合わない
- 西洋医学では改善しなかった
という理由で漢方薬局に来店される方は非常に多いです。
東洋医学の知識は慢性病や病名のつかない症状に非常に有効な場合があります。
まとめ
今回紹介したようにどちらにも良い部分があります。
簡単にまとめると
【西洋医学】
- 症状の出ている部位にフォーカスする
- 緊急性を要する場合は必須
- すぐに症状を抑えたいときに有効
- シャープに効く分体への負担が大きい場合がある
- 問題が数値化、画像化されてわかりやすい
- 検査値や病名から治療法が決定される
【東洋医学】
- 体を一つの有機体としてとらえる。
- 『なぜその症状が起きたか?』の部分をフォーカスする
- 正気を補う治療が優秀
- 治療に時間がかかる事がある
- 体への負担が少ない
- 治療者の腕がもろに出る
- 症状から治療できる(検査値、病名が関係ない)
うまく使い分けるのがベターです。
症状によっては併用してもOKです。
※がん治療の副作用対策などでもきちんとエビデンスがでている漢方薬もあります。
固執しすぎるのは×
適材適所でその時の自分にあった治療を選べるようにしましょう。
なんだか結局のところ東洋医学を宣伝しててない??
でも西洋医学が大事になのは本当だよ~(汗)
適材適所ね☆