
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
冬は陰が強くなる季節です。(極まるのは冬至)
寒さによって冷えの症状が増え、血流が滞りやすくなることで痛みも悪化しやすい。
さらに日照時間が減ることでメンタルの不調が出やすい季節でもあります。
近年は「秋が短く、一気に寒くなる」と言われますよね。
急激な季節の変化は、心身に負担をかけやすいものです。
こんな時こそ自然のリズムを細やかに捉えた「二十四節気」の知恵が役立ちます。
今回は、冬の六つの節気ごとの特徴と暮らしの工夫をまとめました。
ぜひ日々の養生に取り入れてみてくださいね。
- 冬に体調を崩しやすい
- 手足が冷えやすい
- 気分が落ち込みやすい
■ 冬という季節の意味


冬は中医学では「閉蔵(へいぞう)」の季節と表現されます。
「蔵を閉じる」と書く通り、陽気や気を内側へしまい、無駄に消耗しないようにする季節です。
春に種をまき、夏に育ち、秋に収穫し、冬に蔵へ納める。
自然界のサイクルと同じように、私たちの体も「しまう・蓄える」方向へ働きます。
五行説で冬は「水」に属します。
水は、万物を潤しながら下方へ向かい、柔軟性をもってあらゆる形に適応する性質を持つ。
また、体では「腎」と「膀胱」がこの影響を受けやすくなります。
(五行説で冬と同じ「水に属する」)
腎の働きが弱ると、
- 頻尿
- 冷え
- 下半身のだるさ
- 血行不良による痛み
- 便秘・下痢の増加
といったトラブルが出やすくなります。
冬は腎に負担がかかる季節で、感情の「恐れ」や「驚き」が強まりやすくなります。
中医学では、
・恐則気下=恐れると気が下がる
・驚則気乱=驚くと気が乱れる
と言われ、気力の低下や落ち着かない気分として表れることがあります。
さらに冬は閉蔵の季節で、心も体も発散しにくいため、気持ちが沈んだり不安定になることが増えがちです。
だからこそ冬は、生活リズムを整え、安心できる時間を意識してつくることが大切になります。
この冬に含まれる二十四節気は以下の六つ。
- 立冬(りっとう)
- 小雪(しょうせつ)
- 大雪(たいせつ)
- 冬至(とうじ)
- 小寒(しょうかん)
- 大寒(だいかん)
それぞれの特徴と養生法をみていきましょう。
【立冬(りっとう)|11月7日頃】


暦の上では「冬の始まり」。
実際にはまだ秋の名残もあり、日によって寒暖差が大きい時期です。
とはいえ、朝晩の冷え込みが進み、空気も乾燥してきます。
ここでの冷え対策が、冬本番の体調を大きく左右します。
<立冬の特徴>
- 朝晩の冷えが増える
- 乾燥が進み、喉や肌のトラブルが増える
- 寒暖差で自律神経が乱れやすい
<養生>
- 首・足首・お腹を温める「三つの首」ケア
- 加湿器・潤す食材で乾燥対策
- 夜更かしを避け、冬に向けて睡眠をしっかり確保
- 根菜類や温かい汁物を増やして「温めの土台作り」
【小雪(しょうせつ)|11月22日頃】


「わずかに雪が降り始める頃」を意味します。
まだ本格的な積雪はありませんが、冷え込みが一段階深まります。
乾燥が強まり、気管支の弱い人は咳や痰の症状が出やすくなる時期です。
<小雪の特徴>
- 乾燥が強まり、肺・皮膚の不調が目立つ
- 本格的に冬らしい寒さが始まる
- 日照時間が短く、冬のメンタル不調が出始める頃
<養生>
- 白木耳、れんこん、はちみつなどで肺を潤す
- 朝、温かいお茶で体をゆっくり目覚めさせる
- 外の寒さと室内の暖房差が自律神経に負担 → 服装で調節
- 本格的に寒くなる前に運動習慣を身に着けておく
【大雪(たいせつ)|12月7日頃】


本格的に雪が降り始める季節。
寒さが一気に厳しくなり、体の芯まで冷えが入り込みます。
灰色の雲が空を覆い、日照時間もさらに低下!
動物が冬眠に入るように、人の体も「省エネモード」に入る頃です。
<大雪の特徴>
- 冷えが本格化、腰痛・肩こり・頭痛が増える
- 血流が滞りやすい
- 体の動きが鈍くなり、疲れが抜けにくい
<養生>
- 寒いからと水分で暖をとらない(体にとどまれば冷たい水となる)
- 三首・下半身(腎のエリア)を冷やさない服装
- じんわり汗ばむ程度の軽い運動(かき過ぎない)
- 黒豆、黒ごまなど「黒い食材」で腎を養う
【冬至(とうじ)|12月22日頃】


一年で最も昼が短く、夜が長い日。
東洋医学では陰が極まり、ここから陽へと転じる節目です。
昔から冬至には「ゆず湯」「かぼちゃ」を食べる習慣が有名。
飲みすぎ注意!
<冬至の特徴>
- メンタルがもっとも落ち込みやすい
- 冷えによる血行不良で骨・関節の痛みが強まりやすい
- 冷えで胃腸が弱りやすい
<養生>
- ゆず湯・入浴で全身の巡りを促す
- 大根おろしなど消化を助ける食材を活用!飲み過ぎない!!
- 陽気が不足しやすい時期 → 朝日を浴びて体内時計をリセット
- 少しずつ活動的になっていく
【小寒(しょうかん)|1月5日頃】


「寒の入り」→ここから大寒へ向け、冷えが厳しくなるころ。
冬の体調トラブル(しもやけ・関節痛・むくみ)が増える頃です。
年末からの暴飲暴食が答えてくる頃でもあります!
冬の不摂生は春の不調につながります。
<小寒の特徴>
- 冷えが深まり、腎の弱りが表面化(頻尿など)
- カゼ・感染症(インフルエンザなど)が増える
- 年末、お正月で胃腸の調子を崩しやすい
- 帰省、激務、長期の連休明けでメンタルを崩しやすい
<養生>
- 加湿と保温を維持する
- 気血水(津液)が巡るよう、軽いストレッチ
- メンタルケア!周りの人とも助けあう
- 年末、正月で崩れた胃腸の調子を戻していく
【大寒(だいかん)|1月20日頃】


1年で最も寒い時期。
冬の土用とも重なる時期で、正月明けからの胃腸の不調を改善しておくことが大切。
ここをうまく過ごすと春の体調が大きく改善します。
<大寒の特徴>
- 胃腸が敏感になる
- 体温維持で体力を使い、免疫が落ちやすい
- 冬バテが起きやすい
<養生>
- 「温補」を意識した食事(生姜、ねぎ、にら、羊肉など)
- 過剰な運動は控え、睡眠を最優先
- 胃腸のケア、ベタベタした性質の食材には注意
- 春に向けて活動的になっていく
冬の養生まとめ


冬は「閉蔵(へいぞう)」の季節。
自然界がエネルギーを内に収めて春に備えるように、私たちの心身も「蓄えて守ること」が求められます。
五行で水に属する冬は、腎と膀胱が敏感になる季節です。
【冬の養生の共通ポイント】
- 冷え対策を最優先(首・足首・腰を温める)
- 無理を避け、睡眠と休息をしっかり確保
- 体を温めつつ、胃腸に負担をかけない食事
- 生活リズムを崩さず、ゆったり過ごす
【各節気の養生】
- 立冬:冷えの入り口、早めの対策を
- 小雪:乾燥と冷えの両方に気をつける
- 大雪:体を守る食養生を強化
- 冬至:陰が極まり陽が生まれる時、少しずつ活動的に
- 小寒:一年で最も寒さが厳しくなる準備を
- 大寒:冷え対策の総仕上げ、無理は禁物
冬にしっかり養生すれば、春の土台づくりができますよ。











