みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
情報過度な現代日本!
様々な健康法やダイエットなどの情報が飛び交っていますね。
漢方相談をしていても「へぇそんな健康法あるんだ!」とこっちが教えてもらうこともあります。
ただ、情報も過剰になれば体調不良の原因になりかねません。
養生も同じで、次から次へと新しいことを始めてたらパンパンに膨れ上がってパンクしています。
現代人にとっては「足す」よりも「引く」方が大事なように感じます。
算数も足し算だけでは成り立たないですよね?
そこで今回は「養生の足し算と引き算」という内容でお話してきます。
- 新しいもの好き
- 毎日やることが多い
- 1日48時間欲しいと思ってる
中庸(ちゅうよう)の大事さ
中医学では中庸(バランスがとれている状態)を良いものとします。
日々の生活には色々なことが起ります。
私達は(陰陽の)バランスを取るために漢方薬や鍼灸などを使い「中庸(ちゅうよう)」の状態を目指し治療をしています。
- 体に足りないものは補う
- 体に要らないものは瀉す(出す)
- 滞ったものは巡らす
【例】
元気がない、疲れやすい(気虚かも?)→補気(足りない気を補う)
アザができる、生理痛が重い(瘀血かも)→活血(滞った血をめぐらす)
例えば「補う」治療しかできなくなったらどうでしょう?
余っている状態で補えば不要な物はさらに溜まり、滞りは増長してしまいます。
人間の体で考えても「食べる→補う」「排泄する→瀉す(出す)」は毎日おこなっています。
もし食べるだけだったら?…怖いですよね。
心身を正常に保つためバランスを調整することがとても大事です。
養生における足し算、引き算
養生でも考え方は同じで、足りないは補い不要は出していくことが大事です。
足してばっかりいませんか?
算数で考えたとき「足し算」だけでバランスをとることができるでしょうか?
当然「引き算」もないとバランスはとれないです。
では養生の足し算と引き算は何でしょう?
大小の意味
個人的には以下のように考えています。
【大きい意味での足し算引き算】
- 足し算→良い習慣を増やす
- 引き算→悪い習慣を減らす
【小さい意味での足し算引き算】
- 足し算→補う(食べる 寝る)
- 引き算→いらないものを排除する(動く 排泄する)
漢方相談をしていると大小どちらも引き算が少ないように感じます。
足し算とは
大きい意味では良い習慣を増やすことだと思います。
運動、食事、睡眠など自分がまだしていない「良い習慣」を新しく始める行為です。
小さい意味の足し算とは足りないものを補うこと。
漢方薬で言うと「補剤(ほざい)※補気 補血など」などと言われるものです。
養生では体を補うことや栄養あるものを食べたり寝ることがコレに当たると思います。
一昔前に比べ食事の栄養価もあがりサプリメントなどの便利な物が増えました。
簡単に始められる代わりに過剰になっている人も増えたようになっているような気もします。
あくまで「足りないもの補う」という点を忘れないようにしましょう。
それに対して多くの人は「睡眠」が足りていないように感じます。
睡眠は養生の基本です。
足し算の部分では「早く寝る習慣(大きい足し算)」「睡眠時間(小さい足し算)」を意識すると良いと思いますよ。
引き算とは
大きい意味の引き算は悪い習慣を減らすことだと思います。
ココが今回の大事なところ!
現代人は良い習慣の情報を簡単に手に入れることできます。
「良い習慣も過剰になれば悪い習慣になる」
中医学で人体に大事な気血津液(水)も余れば病因になります。
自身に合った習慣を残し合わないものは「引き算」することも大事です。
人間は1日に選択できる数か限られてるとも言われています。
選択肢が多すぎると意思決定の能力が低下して大事な決断が下せないとも言われています。
アップルの創業者スティーブ・ジョブズは選択肢を少なくするために毎日同じ服を着て、同じ朝食を食べ、同じ道で出勤していたそうです。
やることが多いと思考が停止してしまいます。
1日があっぷあっぷしてる人は「やめる(引き算)」を意識すると良いですよ。
小さい意味の引き算は体から要らないものを出す、巡らす行為です。
漢方薬で言えば「瀉剤」や「理気」「活血」当たるものです。
養生では運動や排泄などがこれに当たると思います。
私は常々
- 食事→足りている
- 睡眠→足りてない
- 運動→全然足りていない
こう感じています。
現代人にとって運動は「したほうが良い」ではなく「するべき」養生だと思っています。
人は「得る」ことよりも「失う」ことを嫌うとされています。
これを「損失回避性」といいます。
「自分だけ損した」
「健康を損なった」
嫌な気分になりますよね?
メディアや情報はこの部分を煽ってきます。(私も気をつけています)
情報を得るときは意識しておくと「本当に自分に必要なものなのか?」の判断材料になるかもしれません。
まとめ
情報過多の現代において良い習慣の情報は簡単に手に入ります。
ただ、なんでもやればOKということではないです。
自身に足りないものを補い、余っているものは出す(やめる)ようにしましょう。
今回の内容を簡単にまとめると
養生には「足し算」と「引き算」が大事。
特に現代の日本人には「引き算」がより大事。
- 大きい意味での足し算→良い習慣を始める
- 大きい意味での引き算→悪い習慣をやめる
- 小さい意味での足し算→補う(食べる 寝る)
- 小さい意味での引き算→出す、減らす、巡らす(運動する、食事量を減らす)
確かに毎日やることいっぱいでパンクしそうだったのよ。