え~!なんで、なんで?
睡眠薬だから寝る前だけでいいじゃん!!
日中に眠くなったら困るじゃん!
「不眠の漢方薬=睡眠薬」ではないんだよ!
じゃあ!詳しく教えて!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
漢方薬は基本的に1日2~3回の服用が必要です。
それが「不眠」のためでも。
「なんでだろう?」「日中に眠くなったら困る」っと思った人も多いのではないのでしょうか?
この答えは「漢方薬と西洋薬で不眠の治療法の違い」を理解するのが早いと思います。
そこで今回は「不眠の漢方薬は日中飲んだら眠くなるのか?」という内容で解説していこうかと思います。
- 不眠の治療をしている
- 漢方薬を試してみたい
- 仕事の関係で睡眠薬が飲めない
いきなり結論!
不眠の漢方薬を1日2~3回飲んでも日中眠くなることは基本的には無い!
でも、人によってはなるかも?
これには【不眠】に対して漢方薬と西洋薬のアプローチの仕方について学ぶとわかりやすいです。
西洋医学の不眠薬
睡眠薬は大きく分類して「ベンゾジアゼピン系睡眠薬」 と「非ベンゾジアゼピン系睡眠薬」「バルビツール酸系睡眠薬」などにに分けられます。
最近は新しいタイプのメラトニン作動薬なんてのもありますね。
詳しくはコチラ 日経メディカル ベンゾジアゼピン系睡眠薬の解説
脳の受容体、脳の大脳皮質や脳幹に作用することで興奮を抑え眠気を誘います。
- 超短期
- 短期
- 中期
- 長期
体調や不眠の状態に合わせて適切な薬剤を選択していきます。
脳に直接働きかけるので服用すると一定の期間で眠気が出てきます。
効き目が早く確実性があるため車などの運転に制限がかかる薬が多いです。
中医学(漢方)では不眠をどう考えるか?
西洋薬でも同じですが不眠の原因は人によって様々です。
- 過労・心労
- 胃腸の弱さ
- ストレス
色々な原因があります。
中医学では不眠という『表面的』な症状に対しても『本質的』な原因に対して治療をしていきます。
症状が不眠でも体の本質的な部分を治療をしていきます。
そのため、漢方薬は飲んだらすぐ眠くなるのではなく「夜きちんとした時間に眠るリズムを調整する」という風に作用します。
焦らず服用していくのがオススメだよ!
漢方治療の場合は日中の疲れや、ストレス緩和の方が大事の場合もあります。
※基本的どの症状も
【例】
日中のイライラ→夜になって反省&落ち込み→不眠
この場合は日中のイライラを改善させてあげると不眠が改善されるかもしれません。
もっと突っ込むと『イライラ』が起こりやすい体質を改善していくとさらにグッドですね!
※治療者によっては寝る前だけ不眠の漢方薬を出す人もいます。
私は基本的には1日2~3回服用するのがオススメしていて夜の時間だけ寝る前など調整します。
中医学の不眠の原因(一例)
不眠には色々な原因があります。
中医学で考える不眠の原因の一例を紹介していきます。
原因にもアプローチしていくので「不眠」の治療をしていても他の不具合が解決することもあります。
血虚
精神安定の基礎物質『血(けつ)』が足りなくなると不眠の原因になります。
特に不眠には五臓の心が関係しているので心の血が足りなくなると不眠になると考えられています。
- 落ち着きがない
- 不安感
- 神経が過敏
これには色々原因がありますが、脾(胃腸)の弱さが原因のこともあります。
- 考えすぎや、疲労で心と脾が疲れてしまう
- 脾(胃腸)弱いため気血が作られない
- 心の血が補充されない
- 精神不安・不眠
この様な悪い流れができやすいです。
肝気欝結(かんきうっけつ)→肝火
怒り、情緒をコントロールする肝の気がつまり火が付きます。
簡単に言うとストレスが原因の不眠ともいえます。
五行説で肝と心は親と子の関係です。
肝の気がつまり火がつくと心にも飛び火し、心神を乱してしまいます。
- イライラ・怒りっぽい
- ため息が出る
- 眠りが浅い
この様な症状が出やすくなります。
結局、日中に眠くなるのか?
結局どうなの??
日中に不眠の漢方薬を服用してすぐに眠気を感じることは少ないです!
車の運転など制限がかかることもありません!
これは個人的に、
『漢方薬で不眠の原因が取り除かれることで体の欲求に対して素直になった。』
と考えています。
例えば、
【強いストレスにさらされていた人】
ストレスが原因で不眠(肝欝や陰血不足)→常に緊張状態→漢方治療→緊張が緩和→自覚していなかった疲れが表面化→日中でも眠気
※夜の睡眠も改善
たまにこんなパターンの人がいます。
これらが眠くなるのは一時的で、基本的には夜間しっかり寝る事が出来れば日中の眠気は改善されていくことが多いです。
緊張状態やイライラ、不安感が改善されているなら治っている過程と考えています。
ただ、【体調に合ってない漢方薬を服用】これには注意が必要。
不眠とは逆に眠くなってしまう症状を嗜眠(しみん)と言います。
漢方薬を服用することが『嗜眠の原因』になれば眠気が出る可能性があります。
特に多いのが胃腸が弱い人。
胃腸が弱い人が体質に合っていない漢方薬を服用すると消化吸収に気(エネルギー)を使ってしまいます。
すると脳に気が巡らなくなり眠気が出ることがあるかもしれません。
特に潤す(補血や補陰)漢方薬には注意が必要です。
そのほかにも
『体が虚してる人に瀉の漢方』
これは、さらに虚が進んで疲労感や眠気が出る可能性があります。
ちゃんと体質に合っていれば基本は問題ないよ。
心配な人はキチンと専門家に相談しましょう。
まとめ
基本的には不眠の薬とはいえ漢方薬で日中に眠気が出ることは少ないです。
車の運転など制限のかかる漢方薬はありません。
ただ、
- 症状によっては一時的には出る可能性
- 体調に合ってない漢方薬を服用すると出る可能性
※特に胃腸の弱い人は注意
これは理解しておくとよいと思います。
正しく漢方薬を服用すると不眠の原因も解決することがありオススメです!
不眠の漢方薬と言えどきちんと用法用量通りに服用するのが良いと考えられます。
もちろん、西洋薬の睡眠薬も大事なお薬です!
どちらが良い!ではなく適切に使い分けていきましょう!
面倒くさくてもきちんと飲まなきゃダメなのね!
その方が不眠になった原因の治療もできるから再発予防にもつながるよ。