他にはどんな症状が気になるのかな?
食欲がなくて少し疲れ気味なのよね~!
それは心脾両虚(しんぴりょうきょ)かもしれないね!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
『体が疲れてるのに寝れない』
『不安感が強くて食欲も無い』
こんな経験はありませんか?
そんなあなたは『心脾両虚(しんぴりょうきょ)』かもしれません。
漢方薬局では不眠、不安感の相談は多いですが上記の様な症状はとても多いです。
放っておくと他の病気の原因になってしまうかも!?
そこで今回は、この『心脾両虚』とその症状に有効な『帰脾湯(きひとう)』という漢方薬について解説していこうかと思います。
- 眠りが浅い
- 不安感がある
- 虚弱体質
帰脾湯ってどんな漢方薬?
簡単に言うと
体・胃腸が弱った人の不眠・不安感に有効な漢方薬です。
専門的に書くと心脾両虚(しんぴりょうきょ)に対する代表処方になります。
矢数道明先生の『臨床応用漢方処方解説』には
元来胃腸の弱い虚弱体質の者が、身心過労の結果、種々の出血を起こして貧血をきたしたり、健忘症となったり、精神症状を起こしたりしたときに用いる。
矢数道明 臨床応用漢方処方解説 より引用
この様に記載されています。
だからどんな不眠、不安感に効く訳ではないので注意だよ!
具体的には
- 大病後
- 極度の疲労
- 貧血傾向
- 失血(血液を失う)
この様に肉体が衰弱した上で、精神に負担がかかった時に適しています。
特徴としては日中眠い(気虚)と夜寝れない(心血虚)が同時に出る人にオススメです。
心脾両虚(しんぴりょうきょ)って?
心脾両虚とは名前の通り五臓の『心』と『脾』が両方弱っている状態です。
具体的には脾気虚と心血虚が同時に起きている状態の事を指します。
大きい流れとしては2パターン
- 精神ストレス→胃腸機能低下→倦怠感などの肉体的虚弱
- 胃腸の機能低下→精神の失調&倦怠感なと
心脾両虚とはこの様に体、胃腸の疲れと精神的な疲れが同時に出ている状態のことを言います!
構成生薬
生薬名 | 効能 |
---|---|
人参 白朮 茯苓 甘草 大棗 生姜(四君子湯) | 補気健脾←胃腸をととのえ元気にする |
黄耆 | 補気←四君子湯をさらに強化 |
当帰 | 補血←精神安定物質『血』を生成 |
竜丸肉 酸棗仁 遠志 | 養心安神←精神を安定させる |
木香 | 理気健脾←胃薬的な意味合い!当帰や酸棗仁などの胃腸に重い生薬対策 |
帰脾湯には
脾虚の代表処方『四君子湯』
- 人参
- 白朮
- 茯苓
- 甘草
補気・補血薬の代表処方『当帰補血湯』
- 黄耆
- 当帰
この処方に精神を安定させる生薬で構成されています。
また他の精神を安定させる漢方薬と決定的に違うところは
『脾(胃腸)虚薬を含む』
このおかげで胃腸が弱い人や虚弱者に対してとても使いやすくなっています。
加味帰脾湯との違い
実はこの帰脾湯は加味された「加味帰脾湯(かみきひとう)』の方が有名な漢方薬です。
この加味帰脾湯は「帰脾湯」に「柴胡(さいこ)」と「山梔子(さんしし)」を加えた処方
※メーカーによっては牡丹皮も入る
この生薬どれも体の熱を去る物
そのため
- 寝汗
- 微熱
- イライラ
- 熱感
これらをともなう場合は加味帰脾湯の方が有効です。
- 冷えタイプなら帰脾湯
- ほてりタイプなら加味帰脾湯
よく使うタイプ
体力中等度以下で,心身が疲れ,血色が悪いものの次の諸症:貧血,不眠症,神経症,精神不安
厚生労働省 薬局製剤指針より引用
心身が疲れてる人の不眠、不安感
上記の通り体に栄養をあたえることで不眠症、不安感を治す帰脾湯。
日ごろから
- 疲れやすい
- 食欲不振
- 貧血傾向
このようなタイプにはよく効きます。
>体が疲れ、血を失うとき…
出産後、生理後に来る不安や不眠に使うことが多いです。
おぼえておくように~☆
貧血の薬で胃腸に負担かかる人
西洋薬、東洋薬ともに貧血の薬は胃腸に重い傾向があります。
西洋薬の代表は『鉄剤』
漢方薬の代表は『四物湯』
どちらも胃腸が弱いタイプにはオススメしにくい薬なんだよ!
せっかく貧血の薬を飲んでも胃腸を壊してしまえば消化吸収率が低下。
結果、貧血が悪化してしまいます。
そのため胃腸薬(四君子湯)を含む帰脾湯は胃腸が弱いタイプにも適した貧血の薬として使えます。
注意すべき点
イライラタイプの不眠症。
イライラして寝れない人は気の滞りがあるタイプ。
エネルギーを補う漢方薬の帰脾湯には向きません。
滞りが改善していないのに補ってしまうと、さらに詰まってしまう可能性があるので注意が必要です。
川の流れも川幅が狭いのに水ばっかり増えたら氾濫してしまいますよね?
体に滞りがあるのに補うと体の中で氾濫してしまいます。
このタイプは抑肝散や加味逍遙散が適しています。
まとめ
不眠・不安感の代表『帰脾湯(きひとう)』
非常に有効な漢方薬ですが、どんな不眠症にでも効くわけではありません。
簡単にまとめると
【よく使うタイプ】
- 胃腸・虚弱体質
- 産後、生理後
- もともと貧血傾向
【注意すべき点】
- 体が元気な人
- イライラタイプ
女性は『血』を失いやすいからね!!
でも最近は男性にもよく処方するよ!
ストレスと疲れが多いの・・・。
男性も大変だ☆
https://gen-kanpo.com/seisin