最近は日本でも手に入りやすいですし!!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
感冒(かぜ)に使う漢方では葛根湯や麻黄湯がとてもですね。
これらは『体を温める』漢方薬です。
でも、症状は寒気などの冷え症状だけでしょうか?
高熱や熱感、のどの痛みがでることもあります。
私が注目している漢方薬が『柴葛解肌湯(さいかつげきとう)』
あまり知られていない漢方薬ですがとても便利な漢方薬です!
そこで今回はあまり知られていない風邪の漢方薬『柴葛解肌湯(さいかつげきとう)』について解説していきます。
- 熱感が強い風邪が多い
- 強力な風邪の漢方薬が欲しい
- インフルエンザの漢方薬が知りたい
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)ってどんな漢方薬??
簡単に説明すると
インフルエンザの様な『激しい風邪』の症状によく効く漢方薬です。
具体的には
- 発熱悪寒
- 四肢の痛み
- 全身倦怠感
- 口喝
- 食欲不振
この様な症状に有効な漢方薬です。
もちろん症状によりますが、インフルエンザをはじめとする流行性の感冒に対してファーストチョイス薬として使うことができます。
この柴葛解肌湯はかつて日本でスペイン風邪が流行した時にも活躍した漢方薬としても有名です。
スペイン風邪とは
1918年流行したインフルエンザの俗称で世界で多くの死者が出ました。
世界でも数千万人、日本でも40万人近くの人が亡くなった流行性の疾病です。
構成生薬
生薬名 | 効能 |
---|---|
柴胡 | 気の流れを改善。抗炎症作用 |
葛根 | 体を冷やしながら風邪の邪気を去る 首肩の凝りを去る |
桂皮 | 体を温め寒さの邪気を去る |
麻黄 | 桂皮と組み合わせることで強い発汗。咳止め |
黄芩 | 抗炎症、解毒 |
芍薬 | こわばりを去る |
半夏 | 咳止め、吐き気止め |
石膏 | 熱を下げる(強力) |
甘草 | 各生薬の調和、補気 |
生姜 | 体を温める |
じつはこの柴葛解肌湯という漢方薬は色々な出典があります。
日本で製品化されているのは江戸から明治にかけての名医・浅田宗伯先生の「勿誤薬室方函口訣」が出典です。
浅田家の柴葛解肌湯は
体を温める生薬と冷やす生薬がバランスよく配合されている漢方薬で、風邪の初期から中期までに有効な構成になっています。
処方だと
- 葛根湯
- 小柴胡湯
- 桔梗石膏
この辺りを混ぜて人参、大棗、桔梗を取り除いた内容です。
体を温める、冷やす生薬が同時に含まれ一見バラバラな内容に見えますが、強いウイルスが原因の場合は寒熱の症状が同時にあらわれることがあります。
その様な時にとても便利な漢方薬となっています。
柴葛解肌湯(さいかつげきとう)が良く効く症状
幅広く風邪症状に有効な漢方薬ですが特に有効な症状を解説していきます。
ポイントは
- 葛根湯⇒太陽病~陽明病(病邪が浅い&温める)
- 桔梗石膏⇒石膏剤(熱を去る)
- 小柴胡湯⇒少陽病(風邪が少し奥に入り込んでる)
激しい風邪の症状(インフルエンザなど)
柴葛解肌湯は石膏、黄芩といった強力な清熱薬を含みます。
高熱(38℃以上)の風邪に有効です。
また麻黄+桂皮の組み合わせは発汗作用を強化!
悪寒にも有効です。
具体的には激しい症状で
- 発熱悪寒
- 倦怠感
- 四肢の痛み
- 頭痛
インフルエンザでよく出る症状に良く効きます。
という症状には最適です!
- 咳が強い
- 寒気が強い
食欲不振
小柴胡湯を含むので胃腸の症状に応用することができます。
ただ、単独の胃腸障害に使うというよりは
風邪の症状+食欲不振
この様なときに有効です。
まとめ
インフルエンザをはじめとするウイルス性の激しい風邪に有効な柴葛解肌湯。
覚えておくと色々なとても便利です。
簡単にまとめると
【インフルエンザのような激しい症状の感冒に有効な漢方薬】
- 高熱&寒気
- 四肢の痛み
- 全身の倦怠感
- 頭痛
- 風邪を伴う食欲不振
まぁインフルエンザにもとても有効ですしね。
兎にも角にもうまく使えれば便利な漢方薬じゃ!!