春になると眠い・だるい原因は?「春困」とその対策をわかりやすく解説

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
春になると、
「とにかく眠い…」
「体が重くてやる気が出ない」
そんな不調を感じることはありませんか?
実はこれ、中国では古くから「春困(しゅんこん)」と呼ばれている現象です。
「春眠暁を覚えず」という言葉があるように、春は眠気やだるさが出やすい季節。
これは単なる気のせいではなく、季節の変化に体が追いついていないサインでもあります。
今回は春の不調である「春困(しゅんこん)」について症状と対策を解説してみようかと思います。
- 春になると調子が悪い
- 疲れや体の重だるさが気になる
- 不安でイライラする
春はなぜ不調が出やすいのか?


春は陰から陽に移り変わる「変化の季節」
※冬至が陰の極み・夏至が陽の極み
陽とは体を温める、活動的にするような性質。
そのため、私たちの体も、春になると冬の休息から活動へモードチェンジしていきます。
自然、外界と同じ様に、からだの奥深くに蓄えられていたエネルギーは、外側にと向かって動き出します。
これにより、体では新陳代謝が活発になり、外界からの刺激に対してのバリア機能や抵抗力も高まります。
昔から季節には性質があるとされ、
春生・夏長・秋収・冬蔵
=春に芽生え、夏に生長し、秋に収穫し、冬に貯蔵する
春は「誕生や生まれる」季節。
新しいことは始めたりすることに適した季節です。
しかしその一方で、体の不調も「誕生」しやすい季節です。
春は風が強く(風邪(ふうじゃ))花粉や黄砂、PM2.5などの影響を受けやすい。
また、細菌やウイルスなどが増殖しやすく、気圧は乱れやすく寒暖差も大きいです。
そんな、変化の多い春は慢性的な不調や持病が表面化しやすい時期でもあります。
春困が起こる3つの理由


春困が起きるのには、主に3つの原因があると考えられます。
① 気血の巡りに体が慣れていない
冬は活動を抑え、エネルギーを内側に蓄える季節です。
一方で春は、一気に「めぐり」が活発になります。
しかし、体がその変化にまだ対応できていないと、
→ 脳への血流が一時的に不足
→ 強い眠気や集中力の低下
といった不調が起こりやすくなります。
ただし、「巡らせなきゃ」と思って急に体を動かすのは逆効果。
かえって体調を崩したり、ケガの原因になることもあります。
これは毎年、春先によくある相談のひとつです。
大切なのは、ゆっくりめぐらせること。
適度な運動や、香りの高い食材を取り入れて、無理なく体を目覚めさせていきましょう。
春は漢方薬でも、紫蘇や薄荷など「香り」で気を巡らせる生薬がよく使われます。
代表的な処方としては、香蘇散や逍遥散などが挙げられます。
また、「めぐらせる」という考え方は生活にも活かせます。
春におすすめなのが「逍遥(しょうよう)」、つまり気ままに散歩することです。


古典である「黄帝内経」にも、春の養生として
- 髪をほどく
- ゆったりした服を着る
- 気持ちをリラックスさせる
といった記述があります。
ランニングや筋力トレーニングも良いですが、まずは自然の音に耳を傾けながら、気ままに散歩することから始めてみましょう。
それが、春の体にとって最も無理のない「めぐりのスイッチ」になります。
② 五臓の「肝」が活発になり「脾」が弱る


春は五臓の「肝」が敏感となる季節です。
肝は気や血の巡りをコントロールする働き(疏泄:そせつ)を持ちます。
この疏泄作用には、気の流れをスムーズにするだけでなく、消化吸収を助けるという重要な役割も含まれています。
しかし春はその働きが活発になることで、「脾(≒胃腸)」に負担がかかりやすくなります。
※五行説の相剋の関係
中医学では、肝は「木」、脾は「土」に例えられます。
木は土を押しのけて成長する性質があるため、春は胃腸が影響を受けやすいと考えられています。
その結果、胃腸の機能が低下し
- 食欲低下
- 消化不良
- エネルギー不足による倦怠感
といった症状が現れやすくなります。
中医学における胃腸(≒脾胃)は体のエネルギーを作る工場のような役割です。
胃腸が弱っていくとエネルギーが起き、倦怠感やヤル気のなさにつながります。(気虚という)
さらに肝には、「血を蔵(ぞう)す」という働き(蔵血作用)もあります。
この働きが弱ると、身体の各部位への血のめぐりが乱れ、特に脳への血流が不足しやすくなります。
その結果、
- 頭がぼーっとする
- 眠気が続く
- 神経伝達が鈍る
- 身体の重だるさ
- 貧血傾向
といった症状につながります。
一方で、肝の働きが強くなりすぎると、気の巡りが滞る「肝鬱(かんうつ)」の状態になりやすくなります。
これは体内に余分なエネルギーが停滞している状態で、
- イライラ・怒りっぽい
- 気分の浮き沈みが大きい
- 動悸、めまい
など、主に精神面を中心とした不調として現れます。
このように春は、肝の働きが「弱すぎても」「強すぎても」バランスを崩しやすい季節なのです。
③ 気温差や生活変化による自律神経の乱れ
春は寒暖差や生活環境の変化など、さまざまな「変化」が重なる季節です。
この変化に体がうまく適応できないと、自律神経が乱れやすくなり、
- 日中ぼーっとする
- 眠気が取れない
- 体が重い
といった状態になりやすくなります。
こうした不調に対しては、生活リズムを整えることが何より重要です。
- 朝日を浴びる
- 寝る時間を決める
- 湯船に浸かる
- すぐに羽織れるものを持つ
- 外に出る時間をつくる
- 軽く体を動かす
特に日光は、体内リズムを整える重要なスイッチです。
日光を浴びることでセロトニンの分泌が促され、その後メラトニンの生成へとつながります。
これにより体内時計が整い、睡眠と覚醒のスムーズになります。
生活リズムが乱れると、自律神経も乱れやすくなります。
一つひとつは小さなことでも、積み重なることで体調に大きく影響します。
寒暖差や生活の変化に慣れるまでは、こうした小さな工夫を意識して積み重ねていきましょう。
新生活でひとり暮らしを始めた方の中には、
「湯船に浸かるのはもったいない」「面倒くさい」と感じる方も多いと思います。
そんなときは、足湯がおすすめです。
下半身を温めることで全身の血流がよくなり、上半身までしっかり巡りが改善されます。
手軽にできる方法なので、無理なく取り入れてみてください。
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まとめ


春に起こる強い眠気やだるさは「春困」と呼ばれ、季節の変化に体がまだ適応しきれていないことで起こります。
冬から春へと移る中で、体は休息モードから活動モードへと切り替わりますが、この変化が大きいほど不調として現れやすくなります。
春困について簡単にまとめると
〈「春困」の原因と対策〉
- 気血の巡りの変化
→ 急な巡りの変化に体がついていかず、眠気や集中力低下につながる - 五臓の「肝」と「脾」のバランス
→ 肝の働きが強まることで胃腸が弱り、だるさやエネルギー不足を招く - 寒暖差や生活変化による自律神経の乱れ
→ 体内リズムが崩れ、日中の眠気や倦怠感が出やすくなる
これらはどれも「異常」ではなく、春という季節に体が適応していく過程で起こる自然な反応です。
大切なのは無理に頑張ることではなく、「春はのびのびと、ゆっくり慣らしていくこと」。
小さな積み重ねで、春を快適に過ごしましょう











