アルピタンとアルピタンγの違いは?五苓散・茵蔯五苓散を漢方薬剤師が解説
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「アルピタンとアルピタンγって何が違うの?」
商品名がよく似ているので、
「γの方が強力なの?」
「二日酔いがひどいときはγ?」
「どっちを選べばいいの?」
と疑問に思う人もいるのではないでしょうか。
実は、この2つは単純な強さの違いではありません。
アルピタン=五苓散
アルピタンγ=茵蔯五苓散
名前は似ていますが、中身の漢方処方が違います。
漢方薬は「強い・弱い」で選ぶのではなく、そのときの症状や体の状態に合った処方を選ぶことが大切です。
そこで今回は、アルピタンとアルピタンγの違いを、漢方薬剤師の視点からわかりやすく解説します。
- アルピタンとアルピタンγの違いを知りたい
- 五苓散と茵蔯五苓散の違いを知りたい
- 二日酔いに使われる漢方薬について知りたい
アルピタンについて詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
アルピタンは五苓散?二日酔い・頭痛に使われる漢方を漢方薬剤師が解説
アルピタンとアルピタンγは何が違う?


まずは結論から。
アルピタンとアルピタンγでは、使われている漢方処方が異なります。
【アルピタン】
五苓散(ごれいさん)
【アルピタンγ】
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
アルピタンに使われている五苓散は、
- 沢瀉(タクシャ)
- 猪苓(チョレイ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 白朮(ビャクジュツ)
- 桂皮(ケイヒ)
の5種類の生薬から構成されています。
一方、アルピタンγの茵蔯五苓散は、この五苓散の構成に、
茵蔯蒿(インチンコウ)
を加えた6種類の生薬から構成されています。
つまり、
アルピタン
五苓散
→ 水分バランスの乱れを中心に考える
アルピタンγ
茵蔯五苓散
→ 五苓散+茵蔯蒿
という違いがあります。
アルピタンは「五苓散」
アルピタンに使われている漢方処方は「五苓散」です。
五苓散は、体内の水分バランスが乱れたときに使われる代表的な漢方薬。
一般用漢方製剤では、
「体力に関わらず使用でき、のどが渇いて尿量が少ないもの」
を目安として、頭痛、むくみ、二日酔い、暑気あたり、水様性下痢などに用いられます。
例えば二日酔いで、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- 体や顔がむくむ
- 頭痛がする
- 吐き気がする
といった症状がみられる場合があります。
「のどが渇いているのに、体はむくんでいる」
一見すると矛盾しているようですが、漢方では必要な場所には水分が足りず、別の場所には余分な水分がたまっている「水分の偏り」と考えることがあります。
五苓散は、このような体内の水分バランスの乱れを整えるときに使われる代表的な処方です。
漢方でいう「利水」は、体内の水分代謝を整えるという考え方なんですよ。
五苓散について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
五苓散(ごれいさん)とは?二日酔い・頭痛・めまいに使われる漢方を漢方薬剤師が解説
アルピタンの成分・効能効果・用法用量については、公式サイトでも確認できます。
アルピタンγは「茵蔯五苓散」
一方、アルピタンγに使われているのが、
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)です。
茵蔯五苓散を簡単に表すと、
五苓散+茵蔯蒿(いんちんこう)
茵蔯蒿は、中医学では「清熱利湿(せいねつりしつ)」などの働きをもつとされる生薬です。
「湿」とは余分な水分などが停滞した状態。
「熱」とは体に生じた余分な熱。
この2つが組み合わさった状態を、
「湿熱(しつねつ)」
と呼びます。
茵蔯五苓散は、五苓散が得意とする「水分の偏り」に、「湿熱」の要素が加わった状態を考える処方です。
一般用漢方製剤では、
「体力中等度以上をめやすとして、のどが渇いて、尿量が少ないもの」
の、
- 嘔吐
- じんましん
- 二日酔い
- むくみ
などに用いられます。
茵蔯五苓散について詳しく知りたい人はこちらの記事も参考にしてください。
茵蔯五苓散とは?二日酔い・むくみと五苓散との違いを漢方薬剤師が解説
アルピタンγの成分・効能効果・用法用量については、公式サイトでも確認できます。
アルピタンとアルピタンγの違いを比較


ここまでの違いを簡単に整理してみましょう。
| 比較 | アルピタン | アルピタンγ |
|---|---|---|
| 漢方処方 | 五苓散 | 茵蔯五苓散 |
| 構成 | 5種類の生薬 | 五苓散+茵蔯蒿 |
| 漢方的なポイント | 水分の偏り | 水分の偏り+湿熱 |
| 二日酔い | 効能・効果に含まれる | 効能・効果に含まれる |
| 剤形 | 顆粒 | 錠剤 |
どちらにも二日酔いという効能・効果がありますが、漢方的にみると処方を考えるポイントが異なります。
二日酔いならアルピタンとアルピタンγのどっち?


ここが一番気になるところだと思います。
結論からいうと、
「二日酔いが軽いならアルピタン、ひどいならアルピタンγ」という選び方ではありません。
漢方的には、そのときに現れている症状から考えます。
アルピタン(五苓散)を考える目安
五苓散では、「水分の偏り」が重要なポイントです。
例えば、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- むくむ
- 頭痛がする
- 吐き気がする
など。
特に、「のどは渇いているのに体はむくんでいる」
という状態は、五苓散を考えるときにわかりやすい目安のひとつです。
アルピタンγ(茵蔯五苓散)を考える目安
茵蔯五苓散では、五苓散のような水分の偏りに加えて、
「湿熱」がポイントになります。
例えば、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- むくんで重だるい
- 吐き気がある
- 舌苔が黄色くべったりしている
- 熱感など「熱」の要素がある
などが判断材料になります。
水分の偏りに「熱」の要素も加わっている場合には、漢方的に茵蔯五苓散を検討するひとつの目安になります。
アルピタンγは「強いアルピタン」ではない
ここは大切なので、もう一度確認しておきましょう。
商品名を見ると、
「アルピタン」
↓
「アルピタンγ」
なので、アルピタンγの方が強力な商品のように感じるかもしれません。
しかし、
アルピタンγは「アルピタンの強力版」ではありません。
中身は、
アルピタン=五苓散
アルピタンγ=茵蔯五苓散
と異なる漢方処方です。
漢方薬では、
「どちらが強いか?」
よりも、「今の症状や体質には、どちらの処方が合っているか?」
という視点が大切です。
顆粒と錠剤という違いもある
処方以外にも剤形が違います。
アルピタン
→ 顆粒タイプ
アルピタンγ
→ 錠剤タイプ
漢方処方の違いが一番重要ですが、服用しやすさという点では剤形も選ぶ際のポイントになります。
顆粒が苦手な人にとっては錠剤の方が飲みやすい場合もあります。
ただし、
「錠剤だから効き目が強い」「顆粒だから効きやすい」という違いではありません。
アルピタン・アルピタンγを使うときの注意点


どちらも市販されている漢方薬ですが、
「二日酔いだから、とりあえず飲んでおけばいい」という薬ではありません。
まず大切なのは、飲酒量を抑えること。
「アルピタンシリーズを飲んだから今日はいっぱい飲むぞ!」
これで飲みすぎては本末転倒です。
そして二日酔いでは脱水を伴っていることもあるため、状態に応じて水分や電解質を補うことも重要です。
強い脱水、意識がおかしい、繰り返し嘔吐して水分を摂れないなどの症状がある場合は、市販薬だけで対処せず医療機関への相談を優先してください。
また、アルピタンとアルピタンγでは処方だけでなく、対象年齢や用法・用量なども異なります。
実際に使用するときは、それぞれの製品の添付文書を確認してください。
治療中の人、妊娠中または妊娠している可能性がある人などは、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談しましょう。
アルピタン・アルピタンγを確認する
【アルピタン】
五苓散を配合した顆粒タイプです。
アルピタンを購入する
【アルピタンγ】
茵蔯五苓散を配合した錠剤タイプです。
アルピタンγを購入する
購入前に効能・効果、用法・用量、使用上の注意を確認してください。
まとめ|アルピタンとアルピタンγは漢方処方が違う


今回の内容を簡単にまとめると
【アルピタン】
五苓散
- 水分の偏りを中心に考える
- 二日酔い・頭痛・むくみなどに用いられる
- 顆粒タイプ
【アルピタンγ】
茵蔯五苓散
- 五苓散+茵蔯蒿
- 水分の偏り+湿熱を考える
- 二日酔い・むくみ・嘔吐・じんましんなどに用いられる
- 錠剤タイプ
アルピタンとアルピタンγは「弱い・強い」の違いではなく、中身の漢方処方が違います。
二日酔いだからと商品名だけで選ぶのではなく、そのときの症状や体の状態を確認することが大切です。
漢方的に考えると、
「水分の偏り」が中心なら五苓散。
そこに「湿熱」の要素が加わっている場合は、茵蔯五苓散を検討するひとつの目安になります。
漢方薬は、症状と体質に合った処方を選ぶことで、その特徴を活かすことができます。
そして、二日酔い対策の基本はやっぱり「飲みすぎないこと」。











