アルピタンは五苓散?二日酔い・頭痛に使われる漢方を漢方薬剤師が解説

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「昨日ちょっと飲みすぎた……」
そんな二日酔いの頭痛対策として、ドラッグストアなどで見かける「アルピタン」。
実はこのアルピタン、中身はまったく新しい薬というわけではありません。
使われているのは、漢方薬の「五苓散(ごれいさん)」です。
五苓散は二日酔いだけでなく、むくみ、頭痛、暑気あたりなど、体内の水分バランスが崩れたときに幅広く使われる漢方薬です。
「アルピタンと普通の五苓散は何が違うの?」
「二日酔いなら誰でもアルピタンを飲めばいい?」
「アルピタンγとは何が違うの?」
今回は市販薬「アルピタン」について、漢方薬剤師の視点から五苓散との関係や、向いている症状、注意点をわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- アルピタンと五苓散の関係
- なぜ五苓散が二日酔いに使われるのか
- 五苓散が向いている二日酔い
- アルピタンとアルピタンγの違い
- 五苓散を使うときの注意点
※本記事は一般的な医薬品・漢方薬の情報提供を目的としています。服用中の薬がある方、治療中の方、妊娠中・妊娠の可能性がある方などは、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。
アルピタンと五苓散は同じ?

結論からいうと、
アルピタンは「五苓散」を配合した第2類医薬品です。
アルピタン1日量(3包)には、次の5種類の生薬から抽出した五苓散エキス2.3gが配合されています。
- 沢瀉(タクシャ)
- 猪苓(チョレイ)
- 茯苓(ブクリョウ)
- 白朮(ビャクジュツ)
- 桂皮(ケイヒ)
これらは五苓散を構成する基本的な5種類の生薬です。
そのため、
「アルピタンという名前の二日酔い専用の西洋薬」ではなく、「五苓散を二日酔い・頭痛向けに商品化した市販薬」
と考えると理解しやすいでしょう。
また、二日酔いに5~6回服用しても症状がよくならない場合は、服用を中止し、製品の箱を持って医師・薬剤師・登録販売者へ相談するよう記載されています。
なぜ五苓散が二日酔いに使われるの?


お酒を飲んだ翌朝、
「のどが渇いているのに、なんだか顔がむくんでいる」
という経験はありませんか?
漢方では、このような状態を単純な「水分不足」だけで考えず、必要なところには水分が足りず、不要なところには水分が滞っている状態として考えることがあります。
五苓散が得意なのが、このような「水分の偏り」です。
五苓散には沢瀉・猪苓・茯苓・白朮など、水分代謝に関係する生薬が配合されています。
漢方では、このように体内の余分な水分をさばき、水分バランスを調整する働きを「利水(りすい)」と表現します。
単純に尿をたくさん出せばいい、という考え方ではないのがポイントです。
二日酔いで、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- 顔や体がむくむ
- 吐き気がする
- 水を飲むと気持ち悪い
- 頭が重い、頭痛がする
などがみられる場合は、五苓散を考える目安になります。
アルピタンの効能・効果にも「のどが渇いて尿量が少ないもの」という条件が記載されています。
五苓散=二日酔い専用ではない
商品名やパッケージから「二日酔いの薬」という印象を持つかもしれません。
しかし、
五苓散は本来、二日酔い専用の漢方薬ではありません。
アルピタンにも、
- 水様性下痢
- 急性胃腸炎
- 暑気あたり
- むくみ
- 頭痛
- 二日酔い
などの効能・効果が認められています。
一見すると、まったく違う症状ですよね。
しかし漢方的に考えると、共通するキーワードがあります。
それが「水分バランスの乱れ」です。
五苓散そのものについては、構成生薬や頭痛・めまい・暑気あたりなどへの使い方を別の記事で詳しく解説しています。
→ 水の偏りによる症状に!五苓散(ごれいさん)を漢方薬剤師が解説
五苓散が整える「水分の偏り」とは?
中医学では、体に必要な水分を「津液(しんえき)」と呼びます。
津液はただ体に存在しているだけではなく、必要な場所へ運ばれ、不要になったものは適切に排出されることが大切です。
この流れがうまくいかなくなると、必要なところには水分が足りないのに、別のところには余分な水分が停滞するといった「水分の偏り」が生じることがあります。
例えば、
「口は渇いているのに、体はむくんでいる」
という状態。
一見すると矛盾しているようですが、中医学では単純な「水分不足」「水分過多」ではなく、水分の巡りや代謝がうまくいっていない状態として考えることができます。
五苓散は、このような水分代謝の乱れを整える代表的な処方です。
漢方では病名だけを見るのではなく、「なぜその症状が起きているのか」を考えて処方を選ぶことが大切です。
どんな二日酔いにアルピタン(五苓散)が向いている?
二日酔いだからといって、全員に五苓散が適しているわけではありません。
特に五苓散を考えやすいのは、「水分の偏り」が目立つ二日酔いです。
例えば、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- むくんでいる
- 頭が重い・痛い
- 吐き気がする
- 水を飲んでも気持ち悪い
など。
特に、
「のどは渇くのに、むくんでいる」
という一見矛盾した状態は、五苓散を考えるうえでわかりやすいポイントです。
一方で、
明らかな脱水状態では、漢方薬だけに頼らず、適切な水分・電解質補給などが重要です。
「二日酔い=とりあえず五苓散」ではなく、症状を見て使い分けましょう。
アルピタンとアルピタンγは何が違う?
名前は似ていますが、
アルピタンとアルピタンγは、中身の漢方処方が違います。
五苓散(ごれいさん)
アルピタンγ
茵蔯五苓散(いんちんごれいさん)
茵蔯五苓散は、その名前の通り、五苓散を構成する5種類の生薬に茵蔯蒿(インチンコウ)を加えた処方です。
アルピタンγの効能・効果は、
「体力中等度以上をめやすとして、のどが渇いて、尿量が少ないものの次の諸症:嘔吐、じんましん、二日酔、むくみ」
となっています。
アルピタンγは「強いアルピタン」ではない
ここは商品を選ぶうえで大切です。
「γが付いているからアルピタンの強力版」という単純な関係ではありません。
アルピタンは五苓散。
アルピタンγは茵蔯五苓散。
そもそも使われている漢方処方が違います。
漢方薬は単純な「強い・弱い」ではなく、その人の症状や状態に処方が合っているかを考えることが重要です。
また、アルピタンは顆粒タイプ、アルピタンγは錠剤タイプという違いもあります。
アルピタン(五苓散)を使うときの注意点


特に注意したいのが、「水分の偏り」がみられないケースです。
五苓散には体を積極的に潤すことを目的とした生薬は入っていません。
そのため、
- 乾燥傾向が強い
- 水分不足・脱水が疑われる
- 水分の停滞を示す症状がほとんどない
といった場合は、漢方的にも五苓散が合わない可能性があります。
またアルピタンの添付文書では、
- 医師の治療を受けている人
- 妊婦または妊娠していると思われる人
- 薬などで発疹・発赤、かゆみなどを起こしたことがある人
について、服用前に医師・薬剤師・登録販売者へ相談するよう記載されています。
服用後に発疹・発赤、かゆみが出た場合も服用を中止し、添付文書を持って医師・薬剤師・登録販売者へ相談してください。
「市販薬だから誰でも気軽に飲める」と考えず、添付文書を確認して適正に使用しましょう。
二日酔い対策の基本は「飲みすぎない」
そして忘れてはいけないのが、
二日酔い対策で最も重要なのは「飲みすぎないこと」です。
アルピタンや五苓散を飲めば、大量にお酒を飲んでも大丈夫ということではありません。
体調に合わせて上手に利用していきましょう。
まとめ|アルピタンは「五苓散」を使った市販薬


アルピタンの中身は、漢方薬の五苓散です。
五苓散は体内の水分バランスを調整する「利水」の代表的な処方。
そのため二日酔いでも、
- のどが渇く
- 尿量が少ない
- むくむ
- 頭痛・頭重感
- 吐き気
など、水分の偏りがみられるタイプに使われます。
ただし、
五苓散は二日酔い専用の漢方薬ではありません。
頭痛、むくみ、暑気あたり、胃腸症状などにも使われる、応用範囲の広い漢方薬です。
また、似た名前の「アルピタンγ」に配合されているのは五苓散ではなく茵蔯五苓散。
「γの方が強い」と考えるのではなく、症状や体質に合わせて選ぶことが大切です。
五苓散についてさらに詳しく知りたい方は、構成生薬や漢方的な使い方をこちらの記事で詳しく解説しています。
→ 水の偏りによる症状に!五苓散(ごれいさん)を漢方薬剤師が解説











