二十四節気でみる夏の暮らし方|立夏から大暑までの意味と養生の知恵

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
夏は陽気が最も盛んになる季節です。(極まるのは夏至)
気温や湿度が高くなり、汗をたくさんかくことで「気」と「津液(体の水分)」を消耗しやすくなります。
そのため、夏バテや熱中症、胃腸の不調、睡眠不足などが起こりやすい季節でもあります。
近年は「春が短く、急に真夏のような暑さになる」と言われますよね。
急激な気温の変化や長期間の猛暑は、心身に大きな負担をかけます。
こんな時こそ自然のリズムを細やかに捉えた「二十四節気」の知恵が役立ちます。
今回は、夏の六つの節気ごとの特徴と暮らしの工夫をまとめました。
ぜひ日々の養生に取り入れてみてくださいね。
- 夏バテしやすい
- 暑さや湿気が苦手
- 食欲が落ちやすい
■ 夏という季節の意味


夏は中医学では「蕃秀(ばんしゅう)」の季節と表現されます。
草木が勢いよく成長し、花を咲かせ、生命力が最も満ちあふれる季節です。
春に芽吹いたものが夏に大きく育ち、秋に実を結び、冬に力を蓄える。
自然界のサイクルと同じように、私たちの体も「成長し、活動する」方向へ働きます。
五行説で夏は「火」に属します。
火は上へ向かって燃え広がり、体を温め、活動を活発にする性質があります。
また、体では「心」と「小腸」がこの影響を受けやすくなります。
(五行説で夏と同じ「火」に属する)
心の働きが乱れると、
- 動悸
- 不眠
- 寝つきが悪い
- 疲れやすい
- 熱中症・夏バテ
- 食欲不振
といったトラブルが出やすくなります。
夏は暑さによって気や津液を消耗しやすく、心身ともに疲れがたまりやすい季節です。
中医学では、
・暑は気を傷る(暑邪は気を消耗する)
・暑は津を傷る(汗で体の水分が失われる)
と言われています。
そのため、疲れやすさや食欲低下、寝苦しさなどが現れやすくなります。
さらに梅雨から続く湿気も加わるため、胃腸の働きが低下し、「食べられない」「だるい」といった夏バテにもつながります。
だからこそ夏は、暑さ対策だけでなく、胃腸をいたわり、十分な睡眠で消耗した気と津液を回復させることが大切になります。
この夏に含まれる二十四節気は以下の六つ。
- 立夏(りっか)
- 小満(しょうまん)
- 芒種(ぼうしゅ)
- 夏至(げし)
- 小暑(しょうしょ)
- 大暑(たいしょ)
それぞれの特徴と養生法をみていきましょう。
【立夏(りっか)|5月5日頃】


暦の上では「夏の始まり」。
とはいえ、日本はこのあと梅雨を迎えるため、本格的な夏というより「暑さと湿気への準備期間」といえる時期です。
ゴールデンウィーク中は外食や旅行などで、つい暴飲暴食をしてしまう人も多い頃。
中医学では、食べ過ぎや飲み過ぎによって体内に「湿(しつ)」がたまりやすくなると考えます。
そこへ梅雨の湿気が重なることで、体に余分な水分が停滞しやすくなり、だるさ・体の重さ・食欲不振などの不調につながります。
<立夏の特徴>
- 夏の始まりで気温が上昇する
- 暑さに体がまだ慣れていない
- GW後で生活リズムや胃腸が乱れやすい
- 梅雨を前に湿気の影響を受け始める
<養生>
- 暴飲暴食を控え、胃腸をいたわる
- 適度に汗をかき、暑さに体を慣らす(暑熱順化)
- 軽い運動で気血水の巡りを良くする
- 睡眠をしっかり取り、夏に向けた体力を養う
【小満(しょうまん)|5月21日頃】


二十四節気の「小満(しょうまん)」。
陽気が増え、草木が成長し、天地に満ち始めるころです。
春から新生活が始まった方は、少しずつ「成長」を実感する時期かもしれませんね。
一方で、ここまで頑張ってきた反動から、疲れやストレスの反応が出始める頃です。
また、日本では少しずつ湿気が強くなり始める時期でもあります。
湿気は中医学でいう「湿邪(しつじゃ)」と関係が深く、体に余分な水分がたまると、むくみ・体の重だるさ・食欲低下などにつながりやすくなります。
<小満の特徴>
- 陽気が増え、草木が成長する
- 湿気が少しずつ強くなり始める
- むくみや体の重だるさが出やすい
- 新生活の疲れやストレスが表面化しやすい
- 胃腸の働きが低下し、食欲が落ちやすい
<養生>
- 冷たい飲み物や生ものを摂りすぎない
- 軽く汗ばむ程度に体を動かし、余分な湿を巡らせる
- 食べすぎを避け、胃腸に負担をかけない
- 豆類・とうもろこし・はと麦など、水はけを助ける食材を取り入れる
- 頑張りすぎず、休む時間を意識してつくる
【芒種(ぼうしゅ)|6月5日頃】


二十四節気の「芒種(ぼうしゅ)」。
稲や麦など、穂の出る植物の種をまく頃とされています。
梅の実が出回り、「梅仕事」を楽しむ家庭も増える季節です。
夏は万物が勢いよく成長する季節。
春に始めたことが少しずつ形になり、成果や成長を実感し始める頃でもあります。
一方、日本では梅雨が本格化し、湿気が一年でも特に強くなります。
中医学では、この湿気を「湿邪(しつじゃ)」と考え、体内の水分代謝が乱れると、むくみ・体の重だるさ・食欲不振・下痢などの不調を招きやすくなります。
水田が水の管理をしながら稲を育てるように、私たちの体も「余分な水分をため込まないこと」が大切です。
夏以降を元気に過ごせるかどうかは、梅雨の養生が大きく影響します。
<芒種の特徴>
- 梅雨が本格化し、湿気がピークへ向かう
- 体に湿がたまりやすくなる
- むくみ・体の重だるさが出やすい
- 胃腸の働きが低下し、食欲不振や下痢が増えやすい
<養生>
- 冷たい飲み物・甘いもの・脂っこいものを控える
- 汗ばむ程度の運動で水分代謝を促す
- 豆類・はと麦・とうもろこしなど利水作用のある食材を活用する
- 除湿や換気を行い、湿気をため込まない環境をつくる
【夏至(げし)|6月21日頃】


二十四節気の「夏至(げし)」。
一年のうちで最も昼が長く、陽の気が最も盛んになる節気です。
東洋医学では、陽が極まると少しずつ陰へ転じ始める大切な節目と考えます。
そのため、活動的になりやすい一方で、頑張りすぎると気や津液を消耗し、夏バテにつながりやすい時期でもあります。
また、暑さで寝苦しい日も増え始めます。
睡眠不足は消耗した気や津液の回復を妨げるため、この時期は質の良い睡眠を意識することも大切です。
<夏至の特徴>
- 一年で最も昼が長い
- 陽気が極まり、活動量が増えやすい
- 暑さで気や津液を消耗しやすい
- 寝苦しさから睡眠不足になりやすい
<養生>
- 適度な運動で陽気を上手に発散する
- 夏野菜や苦味のある食材を取り入れ、余分な熱を冷ます
- 夜更かしを避け、十分な睡眠で陰を養う
- 無理をせず、疲れを翌日に持ち越さない
【小暑(しょうしょ)|7月7日頃】


二十四節気の「小暑(しょうしょ)」。
梅雨明けが近づき、本格的な夏の暑さが始まる頃です。
ちょうど七夕を迎える頃。
願い事と一緒に、「元気に夏を過ごす体づくり」も意識したい季節ですね。
近年はこの時期から35℃を超える猛暑日になることも珍しくありません。
暑さにまだ体が慣れていないため、熱中症にも注意が必要です。
中医学では、暑さは「気」と「津液(体の水分)」を消耗すると考えます。
大量に汗をかくことで、水分だけでなくエネルギーも失われ、疲れやすさや食欲低下、夏バテにつながりやすくなります。
<小暑の特徴>
- 本格的な暑さが始まる
- 汗をかく量が増え、気と津液を消耗しやすい
- 熱中症のリスクが高まる
- 食欲不振や疲労感が出始める
<養生>
- こまめな水分・電解質補給を心がける
- 十分な睡眠と適度な休息で疲労を回復する
- 冷たいものを摂りすぎず、胃腸をいたわる
- 暑い時間帯の無理な運動や外出は避ける
【大暑(たいしょ)|7月23日頃】


二十四節気の「大暑(たいしょ)」。
一年で最も暑さが厳しくなる頃です。
■ 土用の丑の日とウナギの話
この頃は「土用の丑の日」。
夏バテ予防としてウナギを食べる風習で有名ですね。
この習慣は、夏に売れないウナギを何とかしたいと考えたお店に対し、平賀源内が「土用の丑の日にウナギを食べよう」と提案したことが広まったという説があります。
もちろん、ウナギは栄養価が高く、体力を補う食材です。
ただ、夏バテの原因は栄養不足だけではありません。
実際には胃腸の疲れが原因になっていることも多く、そんな時に脂の多いウナギは負担になることがあります。
胃腸が元気な方はウナギでしっかり栄養補給。
食欲がない方は、おかゆやスープなど消化の良い食事で胃腸を休ませる方がおすすめです。
近年は40℃近い危険な暑さになる地域もあり、まさに「歴史的猛暑」が珍しくない時代になりました。
中医学では、夏の暑さは五臓の「心(しん)」にも負担をかけると考えます。
そのため、イライラ・不眠・動悸・集中力の低下など、心身の不調が現れやすくなります。
暑さを我慢しすぎず、体と心の両方を休ませることが、大暑を元気に乗り切るポイントです。
<大暑の特徴>
- 一年で最も暑さが厳しい
- 熱中症のリスクが最も高まる
- 五臓の「心」に負担がかかりやすい
- イライラ・不眠・動悸など「心」の不調が出やすい
<養生>
- エアコンを上手に活用し、室温を適切に保つ
- こまめに休息を取り、体も脳もクールダウンする
- ゴーヤなど苦味のある食材で余分な熱を冷ます
- 無理をせず、睡眠で消耗した気と津液を回復する
夏の養生まとめ


夏は「蕃秀(ばんしゅう)」の季節。
万物が勢いよく成長し、生命力が最も満ちあふれる時期です。
一方で、暑さや湿気によって「気」と「津液(体の水分)」を消耗しやすく、胃腸にも負担がかかります。
五行では「火」に属し、「心」と「小腸」が影響を受けやすい季節でもあります。
【夏の養生の共通ポイント】
- 暑さ対策を行い、熱中症を予防する
- 汗で失われる水分・電解質をこまめに補給する
- 冷たいものを摂りすぎず、胃腸をいたわる
- 十分な睡眠と休息で「気」と「津液」を回復する
- 適度に汗をかき、暑さに体を慣らす(暑熱順化)
【各節気の養生】
- 立夏:胃腸を整え、夏への準備を始める
- 小満:湿気対策を始め、水分代謝を整える
- 芒種:梅雨を乗り切り、胃腸を守る
- 夏至:陽気を上手に発散し、睡眠で陰を養う
- 小暑:熱中症・夏バテ対策を本格化する
- 大暑:心身を休ませ、秋への土台をつくる
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