みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。

太田胃散は生薬成分が入った、長年使われている胃腸薬ですね。

↓前回の記事

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この太田胃散の種類に「太田漢方薬胃腸薬II」というものがあります。
今回は太田胃散との違いも「漢方胃腸薬」という名前のことから漢方薬としての部分を解説していきます。

玄先生
玄先生
この記事がオススメの人
  • 胃腸の調子が悪い
  • 病院、漢方薬局に行く時間がない
  • 太田胃散を飲んでいる

太田漢方胃腸薬Ⅱ(安中散加茯苓)とは?

どういう漢方?

太田漢方胃腸薬Ⅱは、安中散をベースに茯苓を加えた処方で、冷えやストレスによる胃痛・胃もたれ・不安感を伴う胃腸不調を整える漢方薬です。

 

生薬名生薬の一般的な効能効果 ※合わさると別の効果もでる
茯苓(ぶくりょう)胃腸にたまりやすい余分な水分をさばき、
胃もたれや不安感をやわらげます。
桂皮(けいひ)胃を温め、冷えによる胃痛や不快感を改善します。
延胡索(えんごさく)気の巡りを良くし、ストレスや緊張による胃の痛みをやわらげます。
牡蛎(ぼれい)高ぶった神経を落ち着かせ、
胃の不調に伴う不安感や動悸を抑えます。
ウイキョウ・良姜胃腸を温め、冷えによる腹部不快感や胃痛を防ぎます。
縮砂(しゅくしゃ)胃の働きを助け、食後のもたれや張り感を軽減します。
甘草(かんぞう)胃腸を穏やかに整え、
他の生薬の働きを調和させます。

 

玄先生
玄先生
「安中散+茯苓」の組み合わせは胃腸を「温める」「気を巡らせる」「余分な水分をさばく」ことを重視した構成と考えることができます。

効能・効果(公式より)
体力中等度以下で、腹部は力がなくて、神経過敏で胃痛又は腹痛があって、ときに胸やけや、げっぷ、胃もたれ、食欲不振、はきけ、嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎、慢性胃炎、胃腸虚弱

太田漢方胃腸薬Ⅱは以上のような症状に適応します(第2類医薬品としての効能・効果より)。

安中散の基本的な考え方

安中散は、胃の冷え(胃寒によって起こる痛みや不快感を改善する処方です。
急性・慢性を問わず胃の調子が悪いときや、冷えが胃に停滞している状態に用いられます。

冷えで縮こまった胃を温めながら、消化の流れを整えることで、胃痛・胃のつかえ・胸やけに加え、消化不良や吐き気をやわらげます。
また、体を温める作用を活かして、婦人特有の腹痛に応用されることもあります。

冷たい食べ物や飲み物が原因で起こる胃痛や腹痛にオススメの漢方薬「安中散」について解説したブログのサムネイル画像
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構成生薬と働き

安中散では、桂皮・延胡索などが胃を温めて痛みをやわらげ、牡蛎が高ぶった神経を落ち着かせ、甘草が胃腸全体の調和をとります。

ここに、茯苓を加えたのが「安中散加茯苓」です。

茯苓は、

  • 胃腸にたまりやすい余分な水分をさばく
  • 不安感や動悸など、気持ちの不安定さをやわらげる

といった働きをもち、
「冷え+ストレス+水分停滞」が重なった胃腸トラブルに対応しやすくなっています。

どんなタイプに向いている?

太田漢方胃腸薬Ⅱは、次のような人に向きます。

  • 冷えると胃が痛くなる
  • 空腹時や緊張時に胃がキリキリする
  • ストレスで胃腸の調子が乱れやすい

一方で、辛い物の食べ過ぎやお酒の飲み過ぎなどの胃に熱がこもるタイプ(口臭、強い胸やけ、舌苔が黄色い)には他の漢方薬の方が有効なことが多いです。

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太田胃散との違い

太田胃散は「温め、香り高い、苦味」の生薬成分がバランスよく配合されており、そこに制酸作用の成分、消化酵素などを加えた市販薬です。

【太田漢方胃腸薬Ⅱが向いている人】

  • 単純な漢方薬がよい
  • 胃腸が冷えている
  • 胃の中に不要な水を感じる

【太田胃散が向いている人】

  • 胃がムカムカする(制酸剤あり)
  • 冷え、熱など明らかな原因がわからない
  • 消化不良が顕著(消化酵素あり)
玄先生
玄先生
個人的に太田漢方胃腸薬Ⅱは「冷たいビールで胃腸の調子を崩した!」こんな時に適していると考えます。

太田胃散に関してはコチラ

香砂平胃散との違い

少し前に紹介した「ホワイトルナ(香砂平胃散)」も胃腸の働きを改善する漢方薬です。

コチラとの違いも見ておきましょう。

小林製薬からホワイトルナ(タベルナ)という商品名で販売されている香砂平胃散について解説したブログのサムネイル画像
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■香砂平胃散:胃を動かす力が強い
食べ過ぎ・湿・気滞が中心。消化を助ける処方

■安中散加茯苓(太田漢方胃腸薬Ⅱ):温めが強い
冷え・ストレス・痛みが中心。胃を温めて落ち着かせる処方

玄先生
玄先生
同じ「胃腸薬」でも、狙っている体質が少し異なります。
自分に合ったものを選択しましょう。

まとめ(使い分けの視点)

今回は市販薬の「太田漢方胃腸薬Ⅱ」について解説してきました。
上手に活用すれば、病院や漢方薬局に行けないときなどにとても便利です。

今回の内容を簡単にまとめると

太田漢方胃腸薬Ⅱは、安中散+茯苓をベースとした処方で、胃の冷えと水分代謝の低下が関係する胃腸トラブルに対応できる、漢方薬由来の胃腸薬。

【次のような特徴がある人に向いている】

  • 体力は中等度以下
  • お腹に力が入りにくい
  • 緊張しやすく、神経過敏な傾向がある
  • 胃痛や腹痛が出やすい
  • 胸やけ、げっぷ、胃もたれ、食欲不振が起こりやすい
  • 吐き気や嘔吐を伴うことがある

このような体質背景をもつ、神経性胃炎・慢性胃炎・胃腸虚弱などの胃腸の不調に用いられます。

玄先生
玄先生
冷たいビールや冷飲食などによって起こる胃の冷え由来の不調に有効だと考えられますね。
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漢方薬剤師 玄
✅資格:国際中医師 | 薬剤師 |健康運動実践指導者 ✅漢方相談歴10年以上✅胃腸を中心とした漢方相談が特徴。✅健康や中医学の情報を『楽しく面白く』発信中。 お気に入りにするとあなたの生活の質がちょっぴり向上するかも!