四季の養生

二十四節気でみる秋の暮らし方|立秋から霜降までの意味と養生の知恵

みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。

秋は「陽」から「陰」へと大きく変化していく季節です。
人間はもともと変化に弱い生き物で、この時期はみなさんが思う以上に不調が増えます。

例えば、口内炎・ヘルペス・帯状疱疹・蕁麻疹など。
免疫の低下やバランスの乱れから出やすい症状の相談も増えてきます。

近年は「秋が短い」と言われますね。
暑い夏が長引き、一気に寒くなる。
この急激な変化は心身に負担をかけやすいのです。

だからこそ、自然のリズムを細やかに捉えた「二十四節気」の知恵が役立ちます。
今回は、秋の六つの節気ごとの特徴と暮らしの工夫をまとめてみました。

ぜひ日々の養生に取り入れてみてくださいね。

玄先生
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この記事がおすすめの人
  • 秋に不調になりやすい
  • 疲れやすい
  • メンタルが落ちやすい

秋という季節の意味

秋は中医学では「容平(ようへい)」の季節と表現されます。
「容平」とは、万物の形が整い、自然が実りを迎えながら、やがて訪れる冬に備えていく姿を指します。
夏の勢いを終えて自然界の陽気は次第に収まり、陰気が増えてくるのが秋です。

玄先生
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春に種まきしたことが、夏に成長し、秋に収穫する!ってイメージですね!

五行説では秋は「金」に属します。
金は収斂(しゅうれん)の性質。
つまり物事を引き締め、収める性質をもつとされます。

体では「肺」と「大腸」がこの影響を受けやすくなります。
※同じ金に属する

「収斂」性質が過剰になると体にも悪い影響を与えます。
肺は鼻や呼吸器をつかさどるため、呼吸器や皮膚が乾燥して収縮しやすくなるなどのトラブルが出たりします。
また、便秘や下痢といった腸の不調が増えます。(特に便秘)

また、感情の面では「悲(哀)」の感情が強まりやすい季節で、秋はメンタルが落ちやすいです。
夏の高揚感が落ち着き、ふと物悲しさを覚えるのも自然の流れのひとつ。

感情が沈みがちになるからこそ、秋は生活のリズムを整え、静かに心を養うことが大切になります。

この秋に含まれる二十四節気は、立秋・処暑・白露・秋分・寒露・霜降の六つ。

それぞれの特徴と養生法を知ることで、自然に沿った暮らしを取り入れることができますよ。

玄先生
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二十四節気の食養生が知りたい方はこちらの記事

立秋(りっしゅう)|8月7日頃

暦の上で「秋の始まり」を意味します。
朝晩には涼しさを感じることが増えるとされ、寒暖差に注意するとされます。

実際にはまだ夏の暑さが厳しい時期。
立秋の後の暑さは「残暑」とされ、これ以降の季節の挨拶は「暑中見舞い」ではなく「残暑見舞い」に切り替えます。

【立秋の特徴】

  • 一年で最も暑い頃に重なることが多い
  • 残暑が強く、秋らしさはまだ遠い
  • 夜風や虫の声に、かすかに季節の移ろいを感じられる

【養生】

  • 残暑が厳しいが寒暖差、冷房による寝冷えや薄着によるカゼに注意
  • 暑さで気と陰を失いやすい→水分補給+休息を多めに
  • 秋に敏感な「肺」を守る準備しはじめる。夜更かしを避けて十分な睡眠をとる
  • 梨やブドウなど、体を潤す果物を少しずつ取り入れる

処暑(しょしょ)|8月23日頃

「暑さが処する」と書くように、「暑さが終わる」という意味を持ちます。

本来は、夏の熱気が次第に落ち着いてくる時期ですが、日中はまだ暑い日が多いのが現実です。
ただ、朝夕の涼しい風に秋の気配を感じ始めます。

玄先生
玄先生
お盆に暴飲暴食した人が多く、胃腸の相談も増えてくる頃です。

処暑の頃は、ちょうど夏休みが終わる時期です。
学生にとっては新学期が始まり、生活リズムの変化からメンタルの不調が出やすい時期でもあります。

また、この変化は子どもだけでなく、大人の生活にも影響します。

  • 夏休み中は電車が空いていたのに、再び混雑するようになる
  • 子どもを朝起こしたり、朝食を準備したりと、日常の家事が戻ってくる

夏休み期間には一時的に生まれていた“ゆとり”が失われ、知らず知らずのうちに大人も負担を感じやすくなるのです。

【処暑の特徴】

  • 台風のシーズンで天候、気圧が不安定になりやすい
  • 夏の疲れが出やすく、胃腸の疲れや気分の落ち込みが目立つ
  • 子供も大人も生活リズムが変化し、心身に負担がかかる時期

【養生】

  • 冷房の使いすぎに注意し、朝晩の寒暖差に備えて寝具や衣服を調整しはじめる
  • 自律神経を整えるために、朝の散歩や軽い深呼吸を習慣に
  • 夏の冷食で疲れた胃腸を回復させるため、胃腸にやさしい食事(米・芋・豆類)心がける
  • 夏休み明けに向けて生活リズムを徐々に戻し、心身の負担を軽減する

白露(はくろ)|9月8日頃

草木に朝露が降り、秋が一段と深まる頃。
白露は、この朝露が光に照らされて白い粒のように見えることを意味します。

近年は、まだまだ暑い日が多いですが、朝晩の寒暖差で体調不良が増える時期でもあります。

さらに、この頃はシルバーウイークが重なることもあり、一見すると体は楽に感じるかもしれません。

ですが、

  1. 夏休みのだらだら
  2. 新学期の疲れ
  3. そしてシルバーウイークで再びだらだら
  4. 連休明けに憂鬱感MAX
玄先生
玄先生
この様なパターンの人をよくみます。

もちろん休息は大切ですが、生活リズムを崩しすぎないことが心身の安定につながる大事なポイントです。

【白露の特徴】

  • 空気が乾き始め、喉や肌の乾燥を感じやすくなる
  • 夏の冷たい飲食で弱った胃腸が、肺に影響を及ぼす時期
  • 自然の変化と生活環境の変化が重なり心身に負担がかかりやすい

【養生】

  • 大きな変化は体に負担!生活リズムの乱さない
  • 「肺を守る養生」加湿や保湿を心がけ、入浴で体を温めて深い呼吸を促す
  • 暑さの反動で出るだるさを防ぐため、冷たい飲み物を控え、消化のよい食事を
  • 読書や瞑想の時間を取り、心を落ち着かせるのに良い時期

秋分(しゅうぶん)|9月23日頃

太陽が真東から昇り真西に沈み、昼と夜の長さがほぼ等しくなる日。
自然界では陽から陰への移行がはっきりと表れ、夜の時間(陰の時間)が長くなっていきます。

秋分を過ぎると日照時間が短くなりますが、意識的に太陽の光を浴びることは、セロトニンやビタミンDの生成を助け、心と体を整える養生になります。

秋のお彼岸は秋分の日を中心とした一週間。
昔から「暑さ寒さも彼岸まで」といい、夏の厳しい暑さ(残暑)は秋分(9月20日前後)の頃までには和らぎ、過ごしやすくなるされます。

一般的な衣替えは10/1ごろ(秋分から寒露)
この時期からは冬に向けて、衣服や寝具などの「冷え」の対策も考えて行きましょう。

玄先生
玄先生
これからは「陰」優勢になってくる時期!
陽気を補うために運動をするのも養生です。

【秋分の特徴】

  • 陰陽のバランスが整う特別な日。
  • 外界のバランスが整っているので、極端なことをするとバランスが崩れる
  • 心の揺れが出やすく、「悲(哀)」の感情が強まりやすい
  • お彼岸の行事があり、お墓参りなど祖先を敬う文化が息づいている

【養生】

  • 短くなっていく日照時間を有効活用する
  • 秋の養生である「早寝早起き」を心がけ、自然のリズムに寄り添う
  • 感情が沈みがちなときは、自然に触れたり、静かに散歩をして心を調える
  • 衣服、寝具を冬仕様にしていき、内外のバランスを保つ

寒露(かんろ)|10月8日頃

「草花に冷たい露が降りるころ」という意味を持つ寒露。

秋の空気が澄み渡り、朝晩の冷え込みがぐっと強まるとされます。
秋の深まりを実感できる頃です。

10月の第2月曜日はスポーツの日!
気温も落ち着いてきて運動が適した季節です。

玄先生
玄先生
寒い冬から運動を始めるのはハードルが高いので、この頃から本格的に運動習慣をつけておきましょう。

【寒露の特徴】

  • 乾燥と冷えが同時に進み、カゼをひきやすい時期
  • 紅葉が始まり、秋の実りが豊かに出回る
  • 冬の足音が聞こえ始める

【養生】

  • 首・腰・足元を冷やさないよう衣服で調整
  • 汁物や煮込み料理など温かい食事で体を養う
  • 軽い運動や散歩で気血の巡りを整え、体力を養う

霜降(そうこう)|10月23日頃

「露(つゆ)が冷気によって冷やされて凍る」ことから霜降と呼ばれます。

霜が降りるほど冷え込みが進み、秋も終盤を迎える時期。
冬の訪れがすぐそこまで迫ってきています。

この頃から各地で 五穀豊穣を祈る祭りや収穫祭 が行われます。
ハロウィンも元々は収穫祭としての意味合いが強い行事です。

霜降のころは旬を迎える食材が多く、栄養価が高まる季節でもあります。
冬に備えて食養生を始めるのにぴったりの時期といえるでしょう。

ただし、食べ過ぎには注意が必要です!
食材が一番美味しくなる季節ですが、胃腸の調子を崩してしまうと逆効果になってしまいます。
特に、立冬前の18日間は「秋土用」。
土用は次の季節に向けて胃腸を大切にすべき期間です。

玄先生
玄先生
「旬」を楽しみつつも、腹八分目を意識して体調を整えていきましょう。

【霜降の特徴】

  • 暦の上で秋最後の節気
  • 朝晩の冷え込みが厳しくなり、乾燥による呼吸器・皮膚の不調が目立つ
  • 紅葉が最も美しい時期であり、自然が冬への準備を整えていく

【養生】

  • 「冬に備えて力を蓄える」ことを意識。無理な夜更かしや過労は避ける
  • 立冬前の「秋の土用」には胃腸を特に大切にし、消化のよい食事を心がける
  • 加湿と保湿を強化し、体を温める根菜や温かいお茶を取り入れる
  • 早寝早起きで生活リズムを整え、エネルギーを冬に向けて温存する

秋の暮らしのまとめ

秋は「容平(ようへい)」の季節。
自然界が形を整えて冬に備えるように、私たちの心身も「収めて備えることが求められます。
五行で金に属する秋は、肺と大腸が敏感になる季節です。

【秋の養生の共通ポイント】

  • 暑さ対策→冷え対策
  • メンタルを安定させるために深呼吸や軽い運動
  • 胃腸を大切に(通年)
  • 秋は早寝早起きを心がける

【各節気の養生】

  1. 立秋:冷えと乾燥の始まりに注意
  2. 処暑:夏の疲れを整え、生活リズムを戻す
  3. 白露:潤いを守り、肺を養う
  4. 秋分:心身のバランスを意識
  5. 寒露:冷え対策と体力づくり
  6. 霜降:食養生に適するが、胃腸は大事に!

陽から陰に移り変わる秋は、乾燥・冷え・感情の揺れを意識し、生活に二十四節気の知恵を取り入れてみよう。
自然のリズムに寄り添った健やかな暮らしが実現しますよ。

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漢方薬剤師 玄
✅資格:国際中医師 | 薬剤師 |健康運動実践指導者 ✅漢方相談歴10年以上✅胃腸を中心とした漢方相談が特徴。✅健康や中医学の情報を『楽しく面白く』発信中。 お気に入りにするとあなたの生活の質がちょっぴり向上するかも!