じゃあ安中散とかいいかもね!
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)です。
「冷たい物を食べてお腹が痛くなってしまった!」
一度は経験したことがあるのではないでしょうか?
漢方薬には寒熱がありこんな時は「熱」胃腸を温めるものが適当です。
温める漢方薬でも胃を温める代表が「安中散(あんちゅうさん)」です。
冬→外気で冷える
夏→冷たい飲食物で冷える
胃腸の弱い日本人は1年中活躍する漢方薬です!
ぜひ!覚えていってくださいね!
- 胃腸が弱い
- 冷たい物が好き
- ストレスが胃に来る
安中散ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
冷えが原因でおこる胃腸の不具合に有効な漢方薬です。
安中散の「中」とは体を三等分した時の「中」
「体の中(脾胃など)を安ずる」という意味合いがあるとされます。
出典の和剤局方には
慢性・急性で胃痛吐き気があり、口から酸っぱい水を吐き、寒邪が内に留滞して、蓄積した飲食物が消えず、胸ががいっぱいになり苦しく、腹の脇に刺すような痛みがあり、悪心嘔逆して、顔が黄色く肌が痩せ、四肢がダルイものを治す。又、婦人の刺すような痛みが、下腹脇より腰に連なり、重痛いものに対してよく治します。
※超意訳
この様に書かれています。
少し長いので要約すると
- 急性・慢性で胃の調子が悪い
- 冷えが停滞
- 消化不良、吐き気に使う
- 婦人特有の腹痛にも応用できる
こんな感じでです。
現在だと単独で婦人病に使うのは珍しく、胃腸の不具合で使うことが多いとおもいます。
構成生薬
≪生薬名≫ | ≪効能・効果≫ |
---|---|
桂皮 | 温中散寒止痛 |
延胡索 | 理気止痛 |
牡蠣 | 制酸 |
茴香 | 散寒止痛 理気和胃 |
甘草 | 諸薬の調和 |
縮砂 | 理気消食 |
良姜 | 散寒止痛 |
牡蛎(微寒)・甘草(平性)以外は温性の生薬になります。
辛味が強い芳香性の健胃薬も多いのも特徴です。
桂皮(桂枝)で温め気血をめぐらす。
延胡索には鎮痛作用があるので腹痛・胃痛に有効。
牡蛎は酸を中和する作用があるとされます。
よく使う症状
体力中等度以下で,腹部は力がなくて,胃痛又は腹痛があって,ときに胸やけや,げっぷ,胃もたれ,食欲不振,はきけ,嘔吐などを伴うものの次の諸症:神経性胃炎,慢性胃炎,胃腸虚弱
厚生労働省 薬局製剤指針より引用
胃痛・腹痛
温性の生薬を多く含むので、冷えが原因ので起こる痛みに対してよく使います。
冬場に活躍する処方ですが夏でも…
- ビールを飲み過ぎた
- アイスを食べ過ぎた
- 生ものを食べ過ぎた
この様な時の胃痛・腹痛には最適かと思います。
食欲不振・吐き気
こちらも冷えが原因の症状に有効です。
冷えると胃の動きが悪くなり食欲不振や吐き気が出やすくなります。
神経性胃炎
安中散は神経性胃炎に有効です。
牡蛎が安神作用、芳香性の生薬を気を流す作用が関係していると考えられています。
ストレスからくる胃炎には炎症が強いタイプがあるので、その場合は半夏瀉心湯などの方が適しているかと思います。
注意すべき点
温める処方
安中散は胃腸を温めることで機能を改善する漢方薬です。
- 温めて悪化する
- 炎症が強い
- 胃潰瘍
この様場合は悪化する恐れがあります。
補剤は含まない
脾胃自体を元気にする生薬(人参・黄耆)は含みません。
単独で使う場合は急性症状の方が使いやすいと思います。
胃薬関係で多いのですが…
「胃薬に頼りすぎる」
食べ過ぎる→胃薬
これを繰り返すとその場は良くても少しずつ胃腸の機能は低下していきます。
安中散は胃を温め、動きを改善する素晴らしい漢方薬ですが頼り過ぎるのはやめましょう!
まとめ
シンプルな処方で急性の胃痛・腹痛に有効な安中散。
夏場→冷たい飲食が多くなる時期
冬場→飲み会シーズン
活躍すること間違いない漢方薬です。
今回の内容を簡単にまとめると
安中散は冷えが原因でおこる胃腸の不具合に有効な漢方薬
【よく使う症状】
- 胃痛・腹痛
- 食欲不振・吐き気
- 神経性胃炎
【注意すべき点】
- 温める処方
- 補剤を含まない
じゃあ冷たい物を…
ちょっと行ってくる!!!
※頼り過ぎちゃダメ!