胸の辺りが張る感じもある。
みなさん、こんにちは!
漢方薬剤師の玄(@gen_kanpo)
ストレス社会の現代、漢方薬局には不眠や不安感などの相談がとても多いです。
今回はこのような相談の時に活躍する漢方薬の1つを紹介
その名も
『柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)』
心がお疲れの人はぜひ覚えていってくださいね。
- なんだか不眠気味
- 心療内科に行こうか悩んでいる
- パニックになりやすい
柴胡加竜骨牡蛎湯ってどんな漢方薬?
簡単に説明すると
不眠、不安感、イライラなどの精神疾患に応用されることの多い漢方薬です。
出典の傷寒論には
寒さが原因の風邪にかかり8.9日、下剤で治そうとしたら胸の辺りが苦しく驚きやすく、おしっこが出にくく、うわ言を言い、体が重く感じ、寝返り出来ないようなときは柴胡加竜骨牡蛎湯で治す。
※超意訳
この様に本来は急性の症状に対して治療法を間違ったときに使う処方として紹介されています。
現代においてはシンプルに精神疾患に使われることが多いです。
特徴としては
単純な落ち込みが強いタイプよりも神経が高ぶったり、パニックになってしまう人のほうが効きやすいイメージです。
体が強い人向きという説明もありますが極端に弱くなければ使えると思っています。
※胃腸弱は注意(後述)
そして、条文にあるように胸の辺りが苦しくて驚きやすい(パニックになりやすい)人にオススメです。
構成生薬
生薬名 | 効能 |
---|---|
柴胡 | 少陽の熱を去る 肝の気の流れを助ける |
黄芩 | 熱を去る 柴胡の散邪を助ける |
人参 | 胃腸を元気にする 邪を散らすのを助ける |
半夏 | 胃の気の逆流を防ぐ |
大黄 | 熱を下す |
生姜 | 半夏の毒を去る 胃腸を温め余分な水分を抜く |
大棗 | 胃腸を整える |
竜骨 | 牡蛎と共に鎮静作用 |
牡蛎 | 竜骨と共に鎮静作用 |
茯苓 | 不要な水を去る 気持ちを落ち着かせる |
桂枝(皮) | 残った邪を発散 |
小柴胡湯がベースの漢方薬です。
甘草を抜き、竜骨・牡蛎・大黄・茯苓・桂枝(皮)を加えてあります。
小柴胡湯は虚実が入り混じった症状に使う処方です。
極端な虚実がなければ使えるので精神疾患のファーストチョイスになりやすい処方ともいえます。
竜骨・牡蛎は重鎮安神薬と呼ばれ鎮静作用があるとされ不眠や動悸を鎮める役目があります。
柴胡&黄芩の組み合わせはイライラ、熱症状を落ち着かせます。
さらに下剤として協力に熱を去る大黄が入っているので熱を下ろす作用は強めになります。
大黄を入れずに作っているメーカーもあります。
よく使う症状
体力中等度以上で,精神不安があって,動悸,不眠,便秘などを伴う次の
諸症:高血圧の随伴症状(動悸,不安,不眠),神経症,更年期神経症,
小児夜泣き,便秘
厚生労働省 薬局製剤指針より引用
今回は入っている方の効能効果に基づいて解説してきます。
神経症・精神不安
メインで使う症状です。
ヒステリー気味、驚きやすい、パニックになりやすい人によく使います。
小児の夜泣きでも使いますが、胃腸が弱い子は注意が必要。
抑肝散などの方が使いやすいかもしれません!
不眠
神経過敏で
- 寝ていても落ち着かない
- 物音が気になる
- ドキドキする
こんな時の不眠によく使います。
治療者によっては寝る前だけ飲んでも良い!って人もいます。
動悸
息苦しい、動悸などによく使います。
動くと動悸がするタイプよりもストレスやプレッシャーでドキドキしてしまうタイプに良く効きます。
動くと動悸・息切れするタイプは気虚の可能性。
その他、血流が悪くても動悸は起きるので見極めが大事です。
注意すべき点
小柴胡湯を含む処方
柴胡加竜骨牡蛎湯は小柴胡湯がベースの漢方薬。
小柴胡湯はかつて重大な副作用があった漢方薬です。
小柴胡湯が禁忌の人は専門家の確認をとってから服用するようにしましょう。
胃腸がとても弱いタイプ
特に大黄入りの柴胡加竜骨牡蛎湯は要注意。
胃腸に負担がかかる場合があります。
ベースの小柴胡湯は胃腸障害にも応用しますが、胃腸が弱いタイプは帰脾湯などの方がオススメ。
冷えが強い
大黄・黄芩・柴胡など体の熱を逃がす生薬が多く含まれます。
そのため体が冷える人にはあまり適してはいません。
人参・桂枝・生姜など温性の生薬も入っていますが極端に冷えるタイプは✖。
まとめ
精神疾患で頻用される柴胡加竜骨牡蛎湯。
ストレス社会の現代においてとても覚えておくと便利な漢方薬です。
簡単にまとめると
胸脇部がつまる感じがしてほてるタイプの人合う漢方薬
【よく使う症状】
- 神経過敏
- 不眠症
- 動悸
【注意すべき点】
- 小柴胡湯が含まれる
- 胃腸が弱いタイプ
- 冷えが強いタイプ
日中のドキドキとかも減ってない??
不眠も日中のドキドキもつながっているのね。